何やらダメンズと付き合っていそうなことや、その男が原因で何らかのトラブルに巻き込まれ調査会社の謎の男・黒鉄真二(坪倉由幸)に追われているらしい舞 (田島芽瑠)のその悪縁がようやく断ち切られた『吉祥寺ルーザーズ』(テレビ東京ほか)第7話。
自称・博多の売れっ子ホスト・海斗(岡宏明)が遂にシェアハウスにやって来た。第4話で、舞に悲しき嘘をつかせた張本人だ。黒鉄いわく、海斗は投資詐欺を働いており、騙されているとは知らない舞がキャバクラの客にこの投資話を持ちかけ出資者を募ってしまったのだと言う。当然、配当金を配れなくなった海斗に代わって自身の常連客から責められるのは舞だ。海斗は都合が悪くなって舞のことを福岡から遠ざけたのだという。
桜(田中みな実)に舞との関係を問われても「こういう関係」と明言を避け、舞の苗字も知らない海斗はもちろん舞の彼氏などではなく、同棲中の彼女が別におり、何なら舞のような関係性の女性が他にも複数いるのだという。舞からの質問に答えられなくなったらすぐに声を荒げ、口を封じるような最低男だ。どう見たって対等な関係ではなく、舞は"利用価値のある都合の良い存在"でしかない。
それでも、恋は盲目だ。そんな男であっても舞が好きな相手には違いなく、少なくとも他人はそれに口出しできない。ただ、明らかに舞が幸せではなく、どこかに不安や疑惑を抱えながら、それを打ち消すために海斗の前では余計に明るく振る舞っている姿はなんだか痛々しい。海斗の好きなところを聞かれても、口を突いて出たのは「かっこいいところ」「すごくモテるところ」と、対自分との間で起きた出来事や内面的な話ではないものばかり。
そんな明らかに無理している"舞らしくない"姿を目の当たりにさせられるルーザーズは見るに耐えず、辛そうだ。どんなに疑わしかろうが、なんとか自分の中で都合の良いように整合性をとって愛されているのだと思い込みたい舞には、普段の彼女の思いきりの良さが影を潜めている。ある種、共依存のような関係にも陥っている舞の目を覚まさせようと、そして何より大切な舞が不用意に傷つけられるのは許せないと一致団結するルーザーズ5人の連携がお見事だった。
「おい!お前、ふざけんなよ!」
「私たちの大事な舞を傷つけるなんて!」
「許せませんね」
「もう舞には絶対に近づかせないから!」
「僕たちが舞ちゃんを必ず守ります!」
海斗を追い詰めて言った彼らのバトンには不覚にもグッと来てしまう。
渦中にいる時にはなぜか中毒性があるのに、一度冷静になり離れてみたらこれまで魅力だと思えていたあんなところもこんなところも全て色褪せて見える、海斗は舞にとって確実にそんなタイプの男だろう。
強がりでプライドも高い舞にとっては、自身の弱みや失態をそのままを気負わず見せられ、それだけで自分の人間性や全てをジャッジされることのないシェアハウスの住人との距離感、関係性は"ただ一緒に住んでるだけの関係"を既にはるかに超えて貴重なものとなっているのだろう。
舞がダメ男から卒業したということは記念すべき"ルーザーズ"卒業第1号とも言える。彼女はそれでもなおこのシェアハウスでの共同生活を続けるのだろうか。
(文:佳香(かこ)/イラスト・月野くみ)
【第8話(5月30日[月]放送)あらすじ】
秦幡多(片桐仁)がまたもオーディションに落選。安彦聡(増田貴久)が励ます一方で、大庭桜(田中みな実)らは厳しい言葉を・・・。そこに結婚報告のために妹・弥生(藤井美菜)が突然来訪。「まともな仕事に就いて欲しい」と懇願する。幡多の職業によっては婚約者の両親が結婚を認めてくれないという。聡ら住人たちまで馬鹿にする弥生と口論になった幡多は「次のオーディションに合格しなかったら家族の縁を切る」と啖呵を切るが・・・。◆放送情報
ドラマプレミア23『吉祥寺ルーザーズ』
毎週月曜23:06~23:55放送
地上波放送終了後、動画配信サービス「Paravi」にて配信
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