"強く楽しく可愛く"がモットーの無敵メンタル・白川さん(井桁弘恵)が形成されるきっかけとなった悲しき過去が明かされた『メンタル強め美女白川さん』(テレビ東京ほか)第6話。
上司の東郷賢吾(柏原収史)と白川さんの間に不倫疑惑が持ち上がり、周囲の女性社員たちは"みんながそう言っている"と口々に言う。「そんな嘘を信じる"みんな"とは私仲良くしませんから」と笑顔で切り返す白川さんの心のシャッターは完全に下ろされていた。その笑顔とは裏腹に、白川さんの心が一気に凍てついたのが伝わってくる。梅本さん(秋元才加)が見抜いていた通り、正に"完全にカーテン閉めた"状態だ。
どうやらこの正体不明、実態のない"みんな"に白川さんが苦しめられたのはこれが初めてではないようだ。クラスのリーダー的女子によるクラスを巻き込んでの無視、お弁当を捨てられるなど陰湿極まりないいじめを受けていた高校時代の記憶が呼び起こされる。
母親お手製のお弁当をトイレの個室に籠もって一人泣き笑いしながら食べる白川さんの姿に胸が痛む。多感な時期に自身の尊厳をたった一人自分だけで守り抜くしかなかった白川さんの孤独に飲まれる。この時、あの名言が思い浮かんだ人も少なくなかったのではないだろうか。
「泣きながらご飯を食べたことのある人は、生きていけます」
『カルテット』(TBS系)で、主人公の真紀(松たか子)が泣きながらカツ丼を頬張るすずめ(満島ひかり)に伝えた言葉だ。
それからの白川さんは自分の心を守ることを第一に、「みんなはみんな、私は私」と事ある毎に唱えてきたのだろう。はなから相手に一歩も踏み込まず、相手にも踏み込ませないガードの固さは彼女が負った傷の深さの表れでもあり、まだそれが完全には癒えていないことの裏返しでもあるだろう。
「私が仲良くする人は私が決めます」「上辺だけ順調な人間関係なんて要らないです。誇れる自分でいるために"私は私"を変えません」と言い切る彼女の言葉はもちろん気高いし、無理な強がりや虚勢は感じられないものの、どこか諦めや寂しさ、ともするとちょっとした窮屈さが滲むのも否めない。周囲の誤解を解こうとするより先に、とにかく"私は私"を貫こうとする。それは周囲に不要な期待はせず、その現実に、彼らの悪意に傷つかないように先回りしているようにも見える。
ただ、今回は当時と違って、"白川さんがそんな風に誤解されることを黙っていられない、嫌だ!"と自分のことのように心配し、怒ってくれる人がいた。傷ついてくれる人がいた。声を上げてくれる人がいた。くだらない噂話に勤しむ女性社員たちに向かって一喝してくれた梅本さんの姿に白川さんも「カーテン開いてみようかなって」と突き動かされる。
「一人でもいい、大丈夫だって思ってました。"私は私"、それは今でも変わらないけど、でも切り捨てちゃったこともあったのかなって」
そんな風に思える素敵な仲間との時間を、自分の居場所を得た白川さんはさらに自由で軽やかだ。
文:佳香(かこ)
【第7話(5月18日[水]放送)あらすじ】
メンタル強めな美女白川さん(井桁弘恵)は年齢を重ねることを恐れていない。そんなある日、社員たちが一点を見つめて見惚れている。現れたのは、メイクや姿勢、佇まいが完璧な美女、羽柴美雪(遊井亮子)。しかし、なぜ誰もが憧れる美女、羽柴さんが本社から異動してきたのか・・・。そんな中、梅本カンナ(秋元才加)が羽柴さんの本社時代の噂を聞いてしまう。次第に、羽柴さんの本性が現れ、女性社員たちは振り回されていく・・・。◆番組情報
ドラマParavi『メンタル強め美女白川さん』
毎週水曜深夜0:30からテレビ東京ほかで放送。
動画配信サービス「Paravi」で前週水曜日21:00より毎話独占先行配信中
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