真の"インビジブル"は、キリコ(柴咲コウ)の弟だった。シークレットキャスト・永山絢斗の登場で沸いた『インビジブル』第5話。物語は、誰も予想のつかない方向へと進みはじめている。
悪とは何か。志村と安野の最後の会話が意味するもの
やはりキリコは"インビジブル"ではなかった。キリコの目的は、本物の"インビジブル"をおびき寄せること。そのために、ハナカマキリのように"インビジブル"に擬態していた。彼女がずっと探していたのは、弟のキリヒト(永山絢斗)。彼こそが、真の"インビジブル"だったのだ。
武入(鈴之助)が安野殺しを偽証したのは、"キリシマ"という偽名を騙ったキリヒトに依頼されたからだった。報酬に目が眩んだ武入は、キリヒトの策に乗り、用済みとなって処分された。すべては、キリコが持っているデータチップを手に入れるため。データチップには、アメリカの"クリミナルズ"のリストが入っているという。そんなものを使って何をする気なのだろうか。
そもそも"インビジブル"の目的自体が今いちよくわからない。"クリミナルズ"を指揮して犯罪を起こす。その先に描いているビジョンは何なのか。ただの快楽か、それとも社会に対する提言なのか。なぜキリヒトが"インビジブル"になったのかを含めて、後半戦はこのあたりが描かれていくのかなと思う。
そこを考える上でもヒントになりそうな会話が、この第5話にはあった。それは、志村(高橋一生)が死の直前の安野(平埜生成)と交わした最後の会話だ。「悪って何なんですかね」と問う安野に志村はこう返した。
「正義も悪も同じ人間社会の中から出てくる。俺は本当の悪っていうのはその大前提をすっかり信じて疑わない世の中自体だと思っている。ただ、その中には本当に善良な人間たちもいるから厄介なんだよ。だからこそ、見極めていくしかない」
おそらくこの言葉が『インビジブル』最大のテーマだろう。そして、その言葉を引き取って、安野はこう決心する。
「俺は警察の正義を信じてます。世の中の善良な人々の心の正義を信じてます。どんなに悪にまみれようと、見極められるって信じたい」
だが、そう決意した安野はその直後に入ってきた通報に従って現場に向かい、そのまま命を落とした。この言葉を引用するなら、彼は見極められなかったのかもしれない。正義の顔をして世の中にはびこる悪を。だから殺されてしまった。
そして、「正義も悪も同じ人間社会の中から出てくる」ものであり「本当の悪っていうのはその大前提をすっかり信じて疑わない世の中自体」ならば、安野を殺したのも、正義と悪がないまぜになった存在なのではないかなと思う。
茅場町公園で殺された一ノ瀬奈未(江村あかり)は、生前、痴漢冤罪によってある男性を自殺に追い込んでしまった過去があった。そして、その男性の妻(伊勢佳世)のもとに、「恨みを代わりに晴らしてあげる」と謎の電話があったことも。妻は「まさか本当に殺すなんて思ってませんでした」と殺意を否定しつつ、「でも、後悔はしてません」と言い切った。つまり、妻にとって一ノ瀬奈未が殺されたという出来事は悪ではないのだ。
おそらく安野を殺した犯人は、そうやって他にも復讐代行としての殺人を実行してきたんじゃないだろうか。そして「俺は警察の正義を信じてます。世の中の善良な人々の心の正義を信じてます」という安野の言葉の裏返しなら、犯人は警察関係者という可能性も十分にある。有力候補は猿渡(桐谷健太)と犬飼(原田泰造)だが、まだ決定的なものは何も出ていない。次の回でキリヒトが何を語るのか。そして"インビジブル"と3年前の事件はどう関連してくるのか。あれこれ先読みしながら、次週の放送を待ちたい。
今回は、キャラクター萌えが大渋滞!
それはさておき、今週はなんだかキャラクター萌えが多い回でもあった。その筆頭は、近松(谷恭輔)だろう。これまでも何かとポンコツ扱いされがちな捜査一課に対し、そのITスキルの高さで、役に立っているのはこの鑑識員だけともっぱら評判だったけど、今回はそのオタク魂を遺憾なく発揮。ハッカーのローズ(DAIGO)の居所を突き止めるだけでなく、ローズにそそのかされて一緒にハッキングまでやっちゃってた。「これでも警察官なんで」と一旦は協力を拒みつつ、ローズのハッキングぶりにたちまち目を輝かせるところなんて愛らしさ全開。最後には「近松&ローズ」と連名でハッキング成功の報告メールを志村に送ってる。もしやこの2人の方が最強のバディなのでは...?
また、キリコの監視役だった島袋(後藤剛範)がキリコに対し「インビジブルさん」と敬称つきなところも萌え要素。見た目もゴツくてイカついのに、忠犬ハチ公感があるところが可愛い。たぶんキャラクター人気投票とかやったら、ちゃっかり8位くらいに食い込むタイプだと思う。
そして、志村はと言えば、近松とローズがハッキングで盛り上がっているその横でブランコの鎖に絡んでいるところが可愛かった。あれは絶対に高橋一生も狙ってやったと思う。2人に置いて行かれている蚊帳の外感も含めてとても愛らしかったので、今後も箸休め程度にこういうシーンがあると、こちらとしては大喜びです。
【第6話(5月20日[金]放送)あらすじ】
本当のインビジブルは、キリコ(柴咲コウ)の弟・キリヒト(永山絢斗)だった・・・。
姉を取り戻すために突然姿を現したキリヒトは、安野(平埜生成)が殺害された3年前の事件も自分がコーディネートしたと志村(高橋一生)に告げる。さらに、現在進行中の事件をほのめかし、今回依頼されたターゲットのうちの一人でも救うことができたらキリコを諦めると言い残し、去っていく。キリヒトを捕まえれば、いくつかの未解決事件の真相が解明され、新たな犯罪を食い止めることもできると緊急配備による捜索を強化する警察。
やがて、キリヒトの予告通り新たな犠牲者1人が発見される。その残忍な手口を聞いたキリコは、医師免許を持つ「ドクター」の仕業だと志村に告げる。磯ヶ谷(有岡大貴)と夏樹(堀田茜)が被害者の身辺を調べると、同様に命を狙われそうな人物2人が浮上する。
◆放送情報
『インビジブル』
毎週金曜22:00からTBSで放送中。
地上波放送後には、動画配信サービス「Paravi」でも配信中。
- 1