舞(田島芽瑠)の行方不明騒動から幕開けした『吉祥寺ルーザーズ』(テレビ東京ほか)第3話。桜(田中みな実)のたくましい想像力、もとい妄想力よって池上さん(國村隼)がいつの間にやらこの辺り一帯で起こっている連続女性誘拐の殺人犯に仕立て上げられてしまう。

これまでの生活を見ていても朝帰りは珍しくなかった舞だけに、数日帰宅がなくともLINEに既読がつかずともそう心配することもなさそうにも思えるが、桜を筆頭にここまで舞のことでああでもないこうでもないと話し合える皆の様子を見るにつけ、すっかり彼らは"同居人"然としてきたものだと少々感慨深くもなる。

そう言えば、幡多(片桐仁)や翠(濱田マリ)に仕事をするよう促され"家庭教師"を勧められるなり手が震え怯えたような様子を見せた聡(増田貴久)の変化に真っ先に気づいたのも桜だった。なんだかんだ人のことをよく見ていて、時折覗く愛情深い桜の一面はとても魅力的だ。よく人のことを見ているからこそ、他人の一挙手一投足が気になり、口出ししてしまいたくなるという面もある訳だが、誰しも長所と短所は表裏一体だ。

本作、今のところ示唆に富んだ発言をするのは決まって最年長の池上さんか桜である。今回も、"先生のせいだからね、大っ嫌い""それでも先生なの?しっかりしろよ"という生徒の声がリフレインし、気絶してしまった聡が意識を戻した後に声を掛けたのは池上さんだった。

「みんな、いろんなものを抱えて生きてます。(中略)一緒に暮らしてるからってすべてを知る必要はないですよ」は、正に自分と周囲との適正距離の保ち方、極力ストレスフリーに集団生活を過ごす極意でもあるだろう。皆それぞれに何かしらの事情を抱えながら生きているのはもちろんだが、その事情が殊更複雑だったり極端だったりする"ルーザーズ"6人だからこそできる心地良い共有スペースの築き方がきっとあるに違いない。

そして、もう1つ。池上さんがこぼした言葉は、ある意味"生きる"ということの真理まで突く。

「人のために何かするっていうのは自分のためにも大切なことなんだっていうのが1人になってよくわかりました」

"自分1人なら手抜きでもいいや"と何かにつけ生活の様々なことを雑にしてしまうことはままある。たまのチートデーは大切だが、自分を粗末に扱うことに慣れてしまい歯止めがかからなくなってしまうと、ありとあらゆることがどうでもよくなり、自分自身をネグレクトしてしまって、自身の心を蝕んでしまう。人は"自分のため"に頑張るには限界があれど、"人のため"となれば自分でも想像していなかったような底力を発揮できることがある。ここに集まった6人も、個々で過ごす分には"ルーザーズ"でも、皆が集まればその凸凹を相互補完し合えるに違いない。

さて、この6人の間で取り交わされたたった1つのルール「日曜の夜だけみんなでご飯を食べること」の日曜日はもうすぐそこだ。舞は無事帰ってくるのか。舞を探しているらしい調査会社の男・黒鉄真二(坪倉由幸)によると彼女は大きな犯罪に巻き込まれている可能性もあると言う。

さらには、聡のことを探しているらしい間宮リコ(岩本蓮加)という女子高生の存在、聡との間に何があったのかも気になるところだ。

(文:佳香(かこ)/イラスト・月野くみ)

【第4話(5月2日[月]放送)あらすじ】

望月舞(田島芽瑠)が帰らなくなってから約6日が経過。大庭桜(田中みな実)はかなり心配している
様子だ。安彦聡(増田貴久)も舞を訪ねてきた謎の男・黒鉄真二(坪倉由幸)のことが気に掛かっていた。やがて舞から「同窓会で福岡に戻っている」との連絡が。無事だとわかり一安心する中、今流行りだという同窓会の知らせが続々と住人に届く。そこには一ヶ月先に開催予定の舞宛ての案内状も。舞はなぜウソをついたのか・・・?

◆放送情報
ドラマプレミア23『吉祥寺ルーザーズ』
毎週月曜23:06~23:55放送
地上波放送終了後、動画配信サービス「Paravi」にて配信