動画配信サービス「Paravi」にて、今の時代を牽引する若きスターたちに密着取材したドキュメンタリー番組『Real Folder』Season2の独占配信が開始された。Season2の記念すべきトップバッターは人気バンド・緑黄色社会への初の長期密着取材だ。

ボーカル長屋晴子の、モヤモヤを吹き飛ばしてくれ、たちまち晴れ間が現れるような伸びやかで力強い歌声と、そこに掛け合わされる他メンバーのコーラスと演奏が心地よく胸に刺さる "リョクシャカ"こと緑黄色社会は、今年結成10周年を迎える。

彼らの出会いは高校時代の軽音楽部。同級生だったボーカルの長屋、キーボード・peppe、ギター・小林壱誓の3人と、小林の幼馴染・穴見真吾をベースに迎え10代の青春時代を共に駆け抜けてきた。すぐにオリジナル楽曲を作り始め6年かけてメジャーデビューを掴むなり、立て続けに話題の映画やドラマの主題歌への起用が決まり注目を集める。

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「Mela!」はストリーミング配信数1.5億回を突破しロングヒットを飛ばしている。長屋が話していた通り「国民的な存在になりたい」と思いながら歩んできた彼らは、どこまで今実際に自分たちが立っているステージを想像できていたのだろうか。高校時代なんていう人格形成にも多大な影響を与える濃厚な期間を一緒に過ごし、そこから4人それぞれに幾通りもの分岐点があっただろう中、今こうやってあの頃軽音楽部の部室の中で、練習の帰り道に、教室の隅っこで語り合っただろう夢を、青写真をどんどん自分たちでカラフルに彩っている。

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そんな彼らが高校時代度々出演した地元のライブハウス「アポロベース」のラストライブに臨む姿はとてつもなく眩しかった。自分たちを大きくしてくれた場所に、一回りも二回りも大きくなった姿で帰ってきて会場ごと飲み込んでいく。これ以上にないタイミングでの"答え合わせ"の瞬間でもあっただろう。「どんなに広い会場でライブをするようになっても僕ら自身、根っから本当に変わってないんで」と小林はインタビューで答えていたが、この時に当時と何ら変わらぬ純度や熱量を自分たちの中に改めて見つけられたのかもしれない。

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"ホーム"の姿形はなくなれど、その"ホーム"が彼らの真ん中にしっかりと息づいている。そして、そんな軌跡が見えるところが、安定的かつ抜群の歌唱力、演奏力がありながらも、なんだか常に勢いだけでなく瑞々しさが損なわれず、変幻自在さを感じさせる彼らの底知れぬパワーに繋がっているのかもしれない。

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彼らの魅力は、そのバンド名の通り、多様な個性、バックグラウンドを持つメンバー全員が曲作りに関わることで、彩豊かな表現、表情を見せてくれるところだろう。メンバーを牽引するリーダー不在の"民主主義のバンド"。平和的な響きとは裏腹に、これを実現し、維持し続けるにはメンバー全員の相当な弛まぬ努力が求め続けられるのは想像に易しい。「他のバンドより面倒臭いと思う」「一筋縄ではいかない」「バランスで成り立っている」そんな言葉が本人たちの口から出ていたのにも頷ける。

全員が対等に意見を出し合い、互いの想いを尊重しながら最良の答えを共に見つけ続ける心意気、探究心、それが叶う環境がなくては成立し得ない"運命共同体"。ある意味"完成形"がないスタイルだとも言えるだろう。確かに、彼らにはもちろん長くバンド活動を続けてきたがゆえの連帯感、確かな信頼感が横たわっているのは間違いないが、その中心にあるのが他でもない"音楽"で、彼ら同士もその音楽を通して他のメンバーの気持ちを感じ、それに応え、語り合い、互いに作用し合っている。

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彼らの根底には"自分が"音楽をやる理由以外に、いやそれ以上に"自分たち4人で"音楽を続ける理由が明確にあり、それを共有し合えているのではないだろうか。メンバー皆が曲作りに携わる分、それは紛れもない彼ら全員の宝物で共有資産であり、それぞれの分身なのだろう。「一生離れ離れにならないことが音楽を、自分たちが作った楽曲を一人ぼっちにさせないこと」という小林の言葉が、彼ら4人同士の、そして彼らと音楽のこの10年間で紡がれた関係性を物語っているように思える。

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10年間"いつもの4人"で音楽をやり続けてきた彼らだからこその"当たり前"だけれど決して"当たり前"じゃない現在地を見た。

【文:佳香(かこ)】

◆番組概要
『Real Folder』
【配信ページ】https://www.paravi.jp/title/89311

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