町田啓太を主人公とした、テレビ東京×めちゃコミックの合同プロジェクト『僕を主人公にした漫画を描いてください!それをさらにドラマ化もしちゃいます!!』で大賞を受賞した大盛のぞみ原作のドラマ『ダメな男じゃダメですか?』。その最終回である第8話が、3月30日に放送された。
SNSで自分を偽って生きる大学生・田町権太(町田啓太)と、田舎暮らしのパワフルなおばあちゃん・カツヨ(宮崎美子)が入れ替わってしまう本作。前回ラストでは、再び権太とカツヨが入れ替わる様子が描かれた。ようやく元の自分に戻れた二人。しかし、権太はカツヨの手で自分の顔を何度も引っぱたこうとしたり、後ろからカツヨを抱きしめたりして、「戻れ! 戻れ!」と懸命に祈る。再びおばあちゃんになったカツヨが抗うならともかく、戻りたがる権太を不思議に思うカツヨだが、その理由がすぐに判明する。
カツヨをある人物が訪ねて来るが、それは医師だった。「先日お送りした診断結果について、大事なお話が・・・」と取り出したのは、「大腸がん ステージ4」というカツヨの診断結果だったのだ。
「権太、知ってたんか? 知ってたんだな?」号泣するカツヨ。権太は慌てて「戻ろうね!」と言い聞かせるが、カツヨが語ったのは、「嬉しいんだ! 知ってて戻らねえって言ってくれてたんだろう?」。権太が変わってしまったと思っていたが、昔から優しいところが全然変わらないという嬉し泣きだったのだ。
ところが、そのとき、医師は意外な告白をする。実は診断結果は別の人のモノで、カツヨはいたって健康だという。そんなとんでもないミスが起きたのは、医師と患者が注射を介して一時的に入れ替わってしまったためだというのだ。時折、咳をしているカツヨの様子に「大腸がんなのに、咳?」と不思議に思っていたが、それは「乾燥のせいだろう」と。まさかこんなオチがあったとは。衝撃の展開である。
事実がわかると、安心したカツヨは「死ぬの怖かった~!」と本音を漏らした後、元カノ・葛西(深川麻衣)の見合いを止めるよう、権太の背中を押す。
ところが、葛西の見合いの場所に駆け付けた権太は、葛西に見合いなのかと聞いたうえで「頑張って」と言って、去ろうとする。そこで踏みとどまらせたのが、カツヨの「いれもん(体)戻ったからって、中身まで戻ったら意味ねーぞ!」という言葉だ。そこで、今までもずっと葛西が好きだったこと、これからもずっと好きでいたいという思いを伝え、二人はようやく思いを確かめ合う。
しかし、ここでハッピーエンドとならないのが、実に権太らしい。
1年後、カツヨは中野(加藤清史郎)との起業でこんにゃくを手掛ける会社のCEOとして華々しく活躍している一方、権太は葛西と付き合い直して1年というタイミングに、初めて二人が言葉を交わした場所にわざわざ呼び出して、おそらく指輪もポケットに用意しているのに、「ここって、いい景色だよねえ」「じゃあ、今日のところは帰ろうか」と煮え切らない。
たまらず葛西が「今日はプロポーズする日じゃないの!?」と尋ねると、「もし仮にそういうこと言った場合、返事は?」。
権太の昔から優しいところは変わっていなかったが、パワフルなカツヨとの入れ替わりを経ても、優柔不断でヘタレなところもまた、変わっていなかった。そこで、葛西のビンタが飛ぶと、思いがけない展開が。
なんと権太とカツヨが入れ替わった場面―スタートに戻ってしまったのだ。カツヨには悲劇は似合わないし、権太が別人のような決断力・行動力を持つのもピンとこない。まさかの入れ替わり+ループのSF設定×2とは。そういえば、カツヨ(中身は権太)に一緒にいたいと言われた直後に、入れ替わったカツヨ本人から追い返されて混乱した又一も、田んぼのかかしを見ながら「おら、おめえになりてえ」とつぶやいていたが、まさか・・・。
入れ替わり2度目のカツヨと権太の人生はどこに向かうのか、ひそかに続編など期待しておきたい。
(文・田幸和歌子/イラスト:まつもとりえこ)
◆番組情報
『ダメな男じゃダメですか?』
動画配信サービス「Paravi」で 全話配信中。
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