「真由美が社畜になったのは、チャレンジャーだからだ」

残業三昧の社畜OL "まるちゃん"こと丸山真由美(中村ゆりか)と堤司部長(竹財輝之助)が公私ともに良きパートナーとしてスキップしながら軽い足取りで歩む姿が最後に見られた『部長と社畜の恋はもどかしい』(テレビ東京ほか)最終話。

堤司部長は営業部着任早々に、自身がかつて担当していた大手リゾートホテルに商談を取り付け、この大型案件の伴走者に拝島(佐野岳)を任命。見事大型契約に漕ぎ着け、打ち上げでは拝島のファインプレーぶりを褒め称え、手柄を独り占めにせず、部下に花を持たせる。正に上司の鑑、お手本すぎる・・・!

まるちゃんを巡るこの2人のバトルだが、完全に堤司部長に軍配が上がったのは、彼女が社畜になった理由を言い合った瞬間だろう。ここで2人の決定的な違いが明白になった。

「まるこは自分に自信がないんですよ。だから人の何倍も頑張らなきゃって、そうしなきゃ自分の存在価値がないって思い込んじゃってるんですよ」とする拝島に、堤司部長は間髪入れずに「それは違うと思う」と言って冒頭の言葉を続けた。「社畜」というワードから連想されるネガティヴな側面ではなく、堤司部長はまるちゃんのその特性を「チャレンジャー」だと変換した。まるちゃんの前でも「真由美は仕事を通じて自分をもっともっと成長させたい、向上させたいから、だろ?」と語りかける。

そう言えばかつて"いいよいいよのまるちゃん"だという自身の異名について彼女が傷ついていた時にも、堤司部長は「"いいよいいよのまるちゃん"になったのはお人好しで流されやすい人間だからじゃない。君の"いいよ"は流されての"いいよ"じゃない、覚悟の"いいよ"なんだ」ときっぱり断言し、彼女のモヤモヤを晴らしていた。

だからこそ、堤司部長はまるちゃんを営業アシスタントのまとめ役に抜擢し社内の意識改革の担い手を託したのだし、今回もEC事業部を発足させるという新規事業の責任者に彼女を任命したのだろう。どちらも堤司部長の目論見通り、まるちゃんは早期にプロジェクトを軌道に乗せ、想定以上の実績を上げることに成功する。

「自分を追い込みすぎなくても成長はできる。自分の中に仕事以外の"余白"を持つことが大切だ」
この堤司部長の言葉は、長く働き続ける上で誰にとっても重要で、真の「働き方改革」「ライフワークバランス」の実現に繋がるものだろう。これを理解してくれている上司が、パートナーが身近にいるなんてまるちゃんはかなり恵まれていて羨ましい。

「その余白をくれたのは部長です。部長がいれば私はずっとずっとチャレンジャーでいることができます」とまるちゃんも自覚していた通り、周囲から見れば"いいよいいよのまるちゃん"だと勘違いされやすかった自身の本質を正しく見抜いて、そこに敬意を示し愛でてくれる・・・そんなパートナーが近くで見守りサポートしてくれるなんて、さらには一緒に歩んでいけるなんてこれほど心強いことはないだろう。さらには家事能力まで抜群に高くて、やっぱり堤司部長は最高最強の働く女子の味方だ。堤司部長みたいな人、どこに落ちてますか・・・?

まるちゃんにしたって、単に慰めてくれたり優しく声を掛けてくれる、そんな上辺の労りではなく、正当に真っ当に自身の働きを認め、評価してくれる堤司部長の言葉だからこそ頑なにならずに耳を傾けられ、自分の中に自然と"余白"を取り込んでいけたのだろう。

もちろん「堂波(ドーハ)の悲劇」の二の舞になんてならずに、むしろ互いを高め合い補い合っているまるちゃんと堤司部長に皆は祝福の拍手を送り、彼らはオリエント・ホープ内の"社内恋愛"の定説まで見事覆した。願わくば、そんな彼らの結婚生活も覗いてみたいものだ。

(文:佳香(かこ)/イラスト:月野くみ)

◆番組情報
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