定時上がりの総務部長・堤司治(竹財輝之助)の「わかってるよな?俺たちは大人だから。言わなくてもわかるよな?」の真意が明かされた『部長と社畜の恋はもどかしい』(テレビ東京ほか)第3話。

これは「大人だから俺たちの運命の恋は体から始まっても許してくれるよな?」の意で、残業三昧の社畜OL "まるちゃん"こと丸山真由美(中村ゆりか)との関係は"体だけの大人の関係"なんかではなく、彼の中ではれっきとした"付き合いたての恋人同士"という認識だったのだ。にもかかわらず、堤司部長が恥ずかしがって面と向かって伝えられずにいるうちに、まるちゃんの中では全てが正反対の意味に変換されていくすれ違いぶりが見事だ。

まるちゃんの目から見える堤司部長の顔面に書かれた清々しいまでの既成事実もシュールで笑える。

起きたら食卓にはオシャレで栄養バランスの取れた朝食がデザートまで手作りで用意されていて、人知れず彼女のオーバーサイズの"彼パーカー"姿に悶える堤司部長の"デレ"顔をまるちゃんに見せてあげたい。さらには、彼女の仕事の負担を減らそうと、自身が営業部時代に使っていたマニュアルを最新版にアップデートしてくれるなんて・・・そんな愛情に溢れた堤司部長は、まるちゃんの正真正銘の"最高の彼氏"だ。しかし、ここで彼女の目を曇らせてしまうのもまた周囲からの"お願い"に受け身でばかり応えてきたこれまでの自分自身の経験則で、さらにはあまり高いとは言えない自尊心、自己肯定感がどこか邪魔をしてしまっているように思える。

そんな中、彼女の中で"「いいよ、いいよ」のまるちゃん"への疑問、卒業の兆しが見られた回でもあった。何でも「いいよ、いいよ」と自分が仕事を引き受けることで、実際にはアイドルオタクの後輩アシスタント・三森さとみ(小野莉奈)の成長する機会を奪ってしまっていたことに気づく。そして、堤司部長もまるちゃんが自分と今の関係になったのも、彼女の断り切れない性格ゆえかと一瞬不安になっていた。しかし、さすがは長年まるちゃんを近くでフラットな目線で見守ってきた堤司部長。ここでまた欲しい言葉をくれるのだ。

「"いいよ、いいよのまるちゃん"になったのはお人好しで流されやすい人間だからじゃない。君の"いいよ"は流されての"いいよ"じゃない、覚悟の"いいよ"なんだ」

その後、食事に誘った堤司部長にまるちゃんは初めて"No"を突きつけた。

「いいえ、行きません。今日は帰ります」

三森さんに「先輩の推しは仕事だから」と言われたことにさすがのまるちゃんも危機感を覚えたのかもしれない。あるいは、はっきりと"「いいよ、いいよ」のまるちゃん"のおかげで定時に帰ることができ「遊びもデートの予定もドタキャンなし」、「超便利だもん」という周囲の社員のあからさまに露悪的な発言を耳にしてしまったからかもしれない。

まるちゃんもどこかで気づき始めたのだろう。"「いいよ、いいよ」のまるちゃん"のままでは、都合良く軽んじられている自分のままでは、自身が好きで選び取った"良い"ものにも価値を見出してもらいづらいことに。そう、堤司部長を不安にさせてしまったように。そして何より自分を軽んじていたのは他の誰でもない自分自身だったことにも。

長年染み付いた習慣を変えるのには相当な努力を要するだろうが、まるちゃんがどんな変貌を遂げていくのか、彼女の足掻きを見守りたい。堤司部長とのすれ違いもどこで解消されるのか、次回も愛らしい2人から目が離せない。

(文:佳香(かこ)/イラスト:月野くみ)

【第4話(1月26日[水]放送)あらすじ】

真由美(中村ゆりか)を食事に誘うも、あっさり断られてしまい、負の妄想が止まらない堤司(竹財輝之助)。一方の真由美は、大人の関係を脱出して彼女として認めてもらうため、自分磨きに力を入れようとしていて・・・。
ある日、ひょんなことから定時前に直帰することになった真由美は、同僚たちのような趣味を探そうと街を歩きまわっていた。しかし、結局何をしていいかわからず、自分から仕事を取ったら何もないことに気づく。そんな中、真由美はナンパ男に絡まれてしまい・・・!?

◆番組情報
ドラマParavi『部長と社畜の恋はもどかしい』
毎週水曜深夜0:30からテレビ東京ほかで放送。
動画配信サービス「Paravi」で前週水曜日の夜9時より毎話独占先行配信中