益田ミリの同名人気漫画を原作とし、原田知世が主演を務める連続ドラマ『スナック キズツキ』(テレビ東京)の第11話が12月17日に放送された。今回の来店客は、トウコ(原田)の店にミネラルウォーターなどの配達に来る「こぐま屋」さんこと、ウエダさん(浜野謙太)。いつも明るく元気で、お調子者のこぐま屋さんのようなタイプこそ、実は日頃からたくさんキズツいていたり、1人になると案外暗かったりしそうな気がする。
そんな彼は、「こぐま屋」でシフト制で働くバイトだった。大学生のテスト期間、代わりにシフトを増やしてほしいと店長に言われ、快諾する。「たくさん入ってくれて助かる」と言われ、社員に推薦すると提案もされるが、そこで学生らしきバイト仲間がすかさず「ダメですよ」「ウエダさんはお笑い芸人目指してるんスから」と割って入る。
店長は「すごいじゃない!」「テレビ出るときは教えてね」と盛り上げてくれるが、善意しかない店長もバイト仲間もまた、おそらくウエダさんをキズツケている。
しかも、そんなウエダさんは突然、相方・山田からコンビを解消したいと言われてしまう。これからはピンでやる予定だと聞き、肩を落とすが、そんなとき母から上京の予定を知らせるメールが。
母を心配させまいと、奮発してご馳走するウエダさんだが、母は帰り際にお金を渡し、「体に気をつけて頑張ってね」と励ます。おそらくこんなやり取りをもう長く続けているのだろう。
親が1人で帰る後ろ姿を寂しく見送るウエダさんは、養成所のネタ見せに行き、慣れないピンネタで盛大にスベリ、落ち込む。さらにダメ押しとなったのが、ピンでやると言っていた元相方の山田が別の相手とコンビで登場し、そこそこ笑いをとっていたことだ。
「ネタのとき、明るいんだな。もしかしてツッコミじゃなくて、ボケやりたかったの? 言ってよ~」。キズツキから目を背け、自分を守るためにあえて明るくおどけて見せるのは、おそらくウエダさんのクセなのだろう。
しかし、山田は解散のときはピンでやろうと思っていたから、ウソをついたわけではないと言い、解散の理由について「気を遣うんですよ! 10コも歳上じゃ」「見てきたお笑いも違うし、やっぱ俺らと感覚違うし」と率直に言う。「それにウエダさんって・・・」、そこでいったん飲み込んだ言葉のほうが、むしろ解散したい理由の核なのだろう。
スナック キズツキに、配達ではなく、珍しく客として来たこぐま屋さん(ウエダ)は、夢を見るのは簡単だけど、見続けるのはしんどいとつぶやく。
そこでトウコは「やってみる? 漫才」「今のあんたの気持ち、しゃべってみない? テキトーに合わせるから」と提案。
戸惑うこぐま屋さんの前で「けったいな男が配達に来るんですわ。ここ(胸)にクマが描いてあるTシャツ着てましてね」となぜか突然関西弁で始めるトウコに、「それ、俺のことでしょう!」とすかさずツッコむこぐま屋さん。
そこからこぐま屋さんがお笑い芸人を志した理由が漫才で語られる。さらに山田とコンビを組むきっかけや、コンビ名決め、ネタ作りと稽古の日々が語られ、解散の話題へ。別れ際に山田が言った「それにウエダさんって・・・」の続きは、
「イケてるね」(こぐま屋)「なんでやねん!」(トウコ)
「モテるでしょ」(こぐま屋)「なんでやねん!」(トウコ)
「面白くないですよ」(こぐま屋)「なんっ・・・」気まずそうに顔をポリポリかくトウコに、こぐま屋さんが言う。
「トウコさん、俺、面白くないスかね?(笑)」
それに対するトウコの返しは「あ〜、よう寝た~」
「寝てたんかい!?」
「ありがとうございました!」
ふんわりしたやわらかな口調でボケを入れ、要所要所でツッコミにもまわるトウコとこぐま屋さんのコンビなら、ひょっとしてイケるのではないかと思うクオリティだ。
こぐま屋さんは別れ際に言う。
「トウコさん、俺とコンビ組みません?」
「なんでやねん!・・・・・・いいネタ、できたらね」
いよいよ次回は漫画家だったトウコ自身のキズツキの物語。長いキズツキ→キズツケのリレーはどこに着地するのだろうか。
(文:田幸和歌子/イラスト:たけだあや)
【最終話(12月24日[金]放送)あらすじ】
スナックには『本日休みます。』の張り紙。店主トウコ(原田知世)は法事のため実家に帰っている。思い出の場所と共に、亡き父のことや夢半ばで諦めた漫画家時代に思いを馳せる。スナック キズツキ今日のお客さんは、まさかのトウコ自身。偶然居合わせたこぐま屋さん(浜野謙太)にオムライスを振る舞い、自分やお客さんの日々のモヤモヤを音楽に乗せてデュエット! スナック キズツキは今夜もきっとどこかで営業中。心温まる最終話!
◆放送情報
『スナック キズツキ』
毎週深夜0:12からテレビ東京で放送。※12月24日(金)の放送は深夜0:27から。
地上波放送後、動画配信サービス「Paravi」でも配信されている。
- 1