祖父江(鈴鹿央士)の"新たな冒険の始まり"が、彼を学校や主人公・泉(飯沼愛)から遠ざけてしまう歯痒い展開に見舞われた『この初恋はフィクションです』(TBS系)第9週目。
文化祭の準備も佳境に入った頃、祖父江の元にカリフォルニアドリームピクチャーズのインターンシップ合格の通知が届く。その面接の日程が文化祭当日と重なってしまっていることがわかり、祖父江は泉や他のクラスメイトへの遠慮や申し訳なさ、そして何より"これ以上距離が近づいてしまうとお別れが寂しくなってしまう"という予感から来る予防線のために、泉のことを結果的に避けるような形になってしまう。
泉にインターンシップのことを話そうと意を決して電話するも、肝心なことは話せずじまいだ。早乙女(山時聡真)とは泉のおかげで和解でき、学校に行く約束もしたその日にこのビッグニュースが舞い込む怒涛の展開に、今まで家に引きこもっていた祖父江にとっては気持ちが追いつかない部分もあるのかもしれない。
祖父江が初めて足を踏み入れた教室は、夜の学校で誰もおらず真っ暗だ。自分の席に座りながら、LINEでのやりとりや泉からの見聞きを通して"ずっと前から知っている気がする"と思えるほどになったクラスメイトの姿を思い浮かべ、嬉しいような寂しいような表情を覗かせる祖父江がなんとも切ない。一度もクラスメイトと過ごしたことがなかったはずの桜彩館高校2年1組の教室には確かに祖父江の居場所があったのを感じているようだ。
結局、一人で悶々と悩み続けた祖父江は、泉にアメリカ行きを伝えるのが文化祭前日になってしまう。
「僕は来月アメリカに行ってしまうから、だから...僕にとって泉さんはすごく大切な人で、泉さんがいなかったら僕は今こうやって変われてなかっただろうし、何もできなかった」
「会えない時もいつだって泉さんのこと考えてた。だからこれ以上一緒にいると、思い出を作っちゃうと別れが余計に辛くなると思う」
どうしてそうなる祖父江...互いに好意を自覚している2人なのに、祖父江の出発までの残された時間を一緒に過ごせないなんてあんまりだ。これには泉も「何それ。そんなこと一人で決めないでよ。私の気持ちは...?」と訴えるが、その通りである。
祖父江は中学時代のトラウマもあり、人との距離感に対してより慎重なところがあるのは重々承知の上で、それでも今回の彼の選択は自分が傷つくことから逃げているだけの格好になってしまっている。中学時代、唯一の居場所だった児童劇団を引越しのため突如離れることになってしまった苦い思い出が祖父江には残っているのかもしれない。また、祖父江からしてみれば泉の顔を見れば判断が鈍ってしまう、なかなか切り出せないなんて事情もあったのだろうが、それでも、ずっとずっと祖父江のことを信じて待っていた泉からしてみれば、一方的な報告ではなく少なくとも一緒に悩む時間を共有してほしかっただろう。
「私、明日待ってるからね。待ってるから!」と叫んだ泉の気持ちは祖父江に届くのか。祖父江の母が言ったように「文化祭に行けないのは残念だけど、学校には行く」という選択肢があってもいいだろう。もういよいよ最終週、この眩しくきらめき、甘酸っぱくもほろ苦くもある彼らのとっておきな冒険の結末が気になる。
(文:佳香(かこ)/イラスト:まつもとりえこ)
【最終週(12月6日[月]~12月9日[木])あらすじ】
ついにやってきた文化祭当日。
祖父江(鈴鹿央士)が来るか不安で仕方ない泉(飯沼愛)だったが、長谷部(飯塚悟志)から祖父江が欠席と知らされ動揺してしまう。
さらに来玖(窪塚愛流)もまだ来ておらず、電話もLINEも繋がらないという状況にクラスの皆の焦りは増すばかり・・・。
その頃、インターンシップのオリエン会場にいた祖父江の元に、ノジ(坂東龍汰)から着信が。あまりに鳴り続けるビデオ通話が気になり、出てみるのだった――。
そして文化祭も無事終わり、遊園チーズのメンバーで打ち上げがスタート! 遅れて行った泉の後ろから、現れたのは・・・!?
泉がずっと待ち望み続けた祖父江との高校生活は、果たして・・・?
◆番組情報
よるおびドラマ『この初恋はフィクションです』
毎週月~木曜 深夜0:40~0:55
TBS公式YouTubeでも全話配信。地上波放送後に、動画配信サービス「Paravi」でも配信。
TBSスター育成プロジェクト『私が女優になる日_』は動画配信サービス「Paravi」で全話配信
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