益田ミリの同名人気漫画を原作とし、原田知世が主演を務める連続ドラマ『スナック キズツキ』(テレビ東京)の第10話が12月10日に放送された。
今回の来店客は、第4話の来店客・瀧井潤(小関裕太)の兄で、第8話の来店客・南さん(堀内敬子)の同級生の和也(八嶋智人)だ。家族想いの和也は、久しぶりに会った弟と、体調を崩した祖母の話や、弟の奨学金の話など、近況を語らう。
弟との再会の後、和也は駆け足で「スナック キズツキ」へと向かう。そして、「まだあったんだ」と一言。これまでの来店客が、迷い込むようにしてスナック キズツキと出会うのに対して、和也は明確にここに赴いていた。
というのも、スナック キズツキの前店主は、和也の父だったのだ。スナック キズツキという店名を考えたのも、和也の父だという。昔自分がテーブルに付けてしまったペンの跡など、そのまま残る店内の様子に、当時を思い出す。父の特製カレーを食べたこと、カウンターで学校の宿題をしたこと、弟・潤の名前を考えたこと。スナック キズツキは、早くに亡くなった父との思い出そのものだった。
「2号店も出したりしてさ」などと語っていた父が、体調を崩して入院したときのこと。見舞いに来た父の従兄弟が、父が自分以外にもあちこちから金を借りていたと母に話しているところを目撃してしまう。店の休業を知らせる張り紙をしに行くと、スナック キズツキのドアにはいくつもの督促状が貼られていた。
当時を思い出し、「弟は、一回り以上も年下で、良い時のおやじの思い出も少なくて。それがちょっと可哀想だなって」と語る和也。父に「もう心配すんな」と伝えたいと話す和也に、現在の店主・トウコ(原田知世)は、店の電話を指差し、「かけてごらんよ、お父さんに」と提案する。その電話とは、和也の父が店主をしていた当時から変わらず置いてあったものだ。徐に立ち上がった和也は、公衆電話の受話器を取る。
まだスナック キズツキが同じ場所に同じ名前で当時と変わらずあったこと、息子が来年中学生になること、父が作るカレーが美味しかったことなどを、受話器に向かって語りかける。そして、母に代わってもらうように言うと、弟・潤が今でもだし巻き卵が大好きなことを告げる。和也は「俺たちは大丈夫だから。心配ないから」と言葉を残し、受話器を置く。
瀧井家の「焼肉」が、肉ではなくソーセージばかりのものでも、高級ワインの名前を知らなくても、スナック キズツキに2号店ができなくても、和也は確かに幸せだったのだ。自身も妻と子を持ち、祖母の面倒を見る和也は、誰よりも「家族」がかけがえないことを知っていたのではないか。
店を出た和也は潤に「あの後、いい店見つけた」というメッセージを打ちかけ、「また一緒に飯、行こう!」と送り直す。スナック キズツキを、自分と父だけの思い出の場所にしておきたかったのかもしれない。
そんなメッセージを受け取った潤は、恋人の中田(成海璃子)に兄との再会について話す。「互いの好物を知っている人間がそばにいるっていうのは、良いもんだぞ」という兄の言葉を思い出し、祖母の見舞いについてきてほしいと中田に頼む潤。昔、父が入院して以来、病院が怖いと打ち明ける。恋人に対してそっけなかった潤を変えたのは、和也の存在だったのではないだろうか。
ラストには、スナック キズツキの店主・トウコの意外な過去が明らかになる。そのきっかけは、お酒の宅配業者・こぐま屋(浜野謙太)がトウコが手に持つ漫画の原稿を目にしたことだ。「漫画家だったの。もうずっと昔」と口にするトウコの過去が気になるこぐま屋。そんな彼もまたキズツイていた。明るく見える彼のキズツキとはどのようなものなのだろうか。
(文:田幸和歌子/イラスト:たけだあや)
【第11話(12月17日[金]放送)あらすじ】
今回スナックを訪れる客は配達に来ているこぐま屋さん(浜野謙太)。いつも元気なひょうきん者・・・かと思ったら彼もまた傷ついていた。若い人ばかりのお笑い養成所。ネタ見せでは全くウケず、相方ともコンビ解消・・・それでも夢は諦めきれなくて・・・今回、店主トウコ(原田知世)のおもてなしは、なんと"漫才"!? クリームソーダを飲みながら夢について話し、漫才を始める二人。トウコらしいツッコミで、気づけば暗い気持ちも晴れやかに!
◆放送情報
『スナック キズツキ』
毎週金曜深夜0:12からテレビ東京で放送。※12月17日(金)は深夜0:52から放送予定
地上波放送後、動画配信サービス「Paravi」でも配信されている。
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