企画・原作を秋元康、演出を三木康一郎が手掛ける "不倫コメディ"『じゃない方の彼女』(テレビ東京)の第9話が12月6日に放送された。冒頭では雅也(濱田岳)が困り果てた様子で先輩・片桐(山崎樹範)に相談していた。片桐は、相手にグイグイ来られて仕方なくという雅也の中途半端な優しさを指摘し、「覚悟もないくせに断らなかったお前の責任だ」と言う。

実はこれ、怪我をした教授のかわりに、雅也が入試問題の差し替えを頼まれた話なのだが、片桐はその状況と、雅也と妻・麗(小西真奈美)、雅也の道ならぬ恋の相手・怜子(山下美月)がバーベキューで一緒になった地獄の展開を引っかけ、イジってくるのだった。そして、片桐と共に、山奥の旅館に泊まって差し替え作業をすることになる。

正直、この流れは「修羅場の設定」以外に必然性がまるでわからない。だが、ドラマ自体が、「相棒」「不倫ボーイズ」とはしゃぐ片桐のノリに強引にのせられるかのように進んでいく。雅也の「じゃない方」力は、実は主体性のない相手任せのズルさで、不倫の進展に関しても他者のレールにのるカタチで進んでいくのだった。

一方、怜子は友人・彩菜(東野絢香)に雅也との仲を勘づかれ、「自分がしてること、わかってるの?」と問いただされていた。しかし、彩菜は怜子が悩む様子を見て、本気で好きなら止めないと言う。そこで背中を押されたのか、怜子は雅也に連絡。雅也が旅館にいることを知ると、突然差し入れを持って、訪ねるのだった。

バーベキューでは家族の幸せそうな写真などを見て、涙目で去った怜子だが、「バーベキュー、びっくりしましたね。でも、楽しかったですよね」と切り出す。その調子は明るいが、唐突にニューヨークの道端で売っているホットドッグを死ぬまでに食べてみたいと語り出し、人生なんてあっという間だから、やりたいことをやろうと思うと言う。

怜子のこういう思い出語りは、たいてい何かの暗示や決断の比喩であるだけに、若干怖い。そして、秋はサンマの塩焼き定食、冬はカキフライと、雅也と一致する食の好みを挙げ、「春は・・・」と2人同時に言う。

「カツオのタタキ」(怜子)
「タラの芽の天ぷら」(雅也)

カツオのタタキは「好きだけど、一番じゃない」と言う雅也。その言葉に、怜子はうつむき、バーベキューが本当に楽しかったか尋ねた後、姿を消す。

怜子を探しに行く雅也。雨の中、怜子を見つけると、怜子は「好きなんです。好きが止められなくて、自分ではどうにもならない」「ダメですね、私」と言う。しかし、雅也は「違うよ! ダメなのは僕だよ!」と珍しく主語を自分として語る。

そこから雨に濡れた2人は、片桐が言う「ジャパニーズエロス」の浴衣姿になり、山奥の旅館で絵に描いたような不倫温泉旅行が始まりそうだが・・・。

突然、そこに雅也への差し入れを持った麗がやって来る。娘に勧められたからとはいえ、都心から1時間の山奥の旅館に、一泊の仕事くらいで差し入れを持って行くような妻は、正直、ほぼいない。

慌てて怜子を隠す雅也だが、雅也が拒むのも聞き入れず、部屋に強引に入り、止められても強引にトイレに入り・・・風呂の浴槽に隠れた怜子と鉢合わせにはならず、そのまま帰る麗。しかし、その手にはトイレで拾った保湿化粧水のゴミが握られていた。 

やはり麗は気づいているのだろう。にもかかわらず、泣いたり、相手を詰問したりせず、明るく笑顔で接し続ける妻が、相手の罪悪感を促すキレ者だと思っていたが、さすがに怖くなってきた。

(文:田幸和歌子/イラスト:月野くみ)

【第10話(12月13日[月]放送)あらすじ】

雅也(濱田岳)は、旅館で怜子(山下美月)と麗(小西真奈美)の鉢合わせのピンチを乗り越え一安心。嘘が上手くなる自分に危機を感じながらも怜子と過ごす時間が少しずつ増えていた・・・。そんなある朝、妻の麗から衝撃の一言が・・・!? 動揺が止まらない雅也が取った驚きの行動とは!?
一方、怜子の前に誠(豊田裕大)が突然現れ・・・。麗からの言葉に胸騒ぎを覚えた雅也が急いで帰宅すると、家の明かりは消えていて・・・!?

◆放送情報
『じゃない方の彼女』
毎週月曜23:06からテレビ東京系で放送。
※12月13日(月)は、10分押しのため23:16から放送いたします。
地上波放送終了後には、動画配信サービス「Paravi」にて配信中。
Paraviでは、『じゃない方の彼女』とParaviオリジナルストーリー「じゃない方の夜~恋は突然、生まれない。~」の第10話を12/14(火)24:05から配信。