ブレイク寸前の注目俳優・藤代瀬那(櫻井海音)が初めて自身の天賦の才とも言える嘘が巧みなことを心底恨んだ『つまり好きって言いたいんだけど、』(テレビ東京ほか)第6話。

度重なる極度のストレスから突然女優を辞めることを宣言した栗尾あゆみ(松井愛莉)はマネージャーの千歳(大原櫻子)に最後のお願いをする。瀬那と2人きりで食事をしたいのだと言うあゆみのために、人気者の2人が人目を気にせず食事できるレストランを手配し瀬那を連れ出す千歳。瀬那からすれば"ちぃーちゃんが外で2人で食事しようなんて珍しい"と半信半疑の様子だが、実はどこか嬉しさや期待を胸に秘めていた部分もあったのだろう。仮にも彼が自分の好意を千歳にはっきりと口に出して伝えた後のことだ。もしかしたら、いつも一緒に過ごしている自宅ではなく、改まった場で気分を変えて「千歳と」普段とは違う話ができると思っていたかもしれない。

それなのに到着するなりある意味残酷な種明かしが待ち受けている。そして奇しくもあゆみの「自分の正直な気持ちを伝えるのって大事なことだと思ったから」という言葉を受けて、瀬那の中でムカつきや苛立ちと共に何かしらの決意が固まったようだった。彼の中でここで生じた苛立ちというのは何も鈍感な千歳に対してだけのものではないだろう。

真正面から自分の想いを伝えたことなんて人生で初めてだったかもしれないのに、その一世一代の告白が全く届かない、そんな状況を作り上げてしまった自分のこれまでの行いを悔い、そしてくだらない嘘はいくらでも信じ込ませられるのに、大勢の人間を喜ばせるための"彼氏"的な振る舞いはできても肝心のたった一人の大切な人に自分を見てもらえない、本当の気持ちが伝わらないことに対するやるせなさもあったのだろう。あまりに悲しきオオカミ少年の成れの果てだ。

そして、いつかこうなることが怖かったからこそ、最初から誰にも深入りしないように、自分自身にも深入りされないように、甘い嘘で自分自身をコーティングし、その人にとって都合の良い自分像を切り売りして見せていたのが瀬那だったのかもしれない。その方が、"本当の自分"は消耗されないで守れるから。

そう言えば瀬那は第1話で千歳に対して「俺の言うことなんて誰も本気にしてくれないから。子どもの頃に一人だけ、俺の嘘も本当も全部信じる奴もいたけどね」と話していた。その後「嘘だけどね」と重ねていたが、あれは本当に嘘だったのだろうか。

いつもポーカーフェイスで、どこに本心があるのかわかりづらい瀬那も、今回ばかりはかなりご立腹のご様子で帰宅するなり「俺の気持ちを何だと思ってんだ」「この嘘つきの特技がこれほど厄介だと思ったのは初めてだ」そして極め付けには「俺は本当のことを本当にしなきゃいけないってことだな、これから」と自分自身に対して宣言していた。

この瀬那の決心が、千歳との関係にはもちろん彼の俳優業や演技にどう影響し、彼自身にどんな変化を与えていくのか楽しみだ。あんなにすかしてばかりいた瀬那の全力本気モードをぜひとも拝ませてもらいたい。

さらに、やはり瀬那の新任マネジャー・加賀見(東啓介)からは千歳への好意が滲み出し、それに瀬那も気づいている。何とも狭い世界で四角関係が成立してしまった訳だ。一旦、あゆみはここからは自ら離脱した訳だが、そうなればより一層千歳を巡る三角関係が激化しかねない。

次週は2人の同棲生活が遂にバレてしまうようだが、このピンチを彼らはどう乗り越えていくのか、一気に加速していく彼らの恋模様を引き続き追いかけたい。

(文:佳香(かこ)/イラスト:月野くみ)

【第7話(11月17日[水]放送)あらすじ】

瀬那(櫻井海音)の好きな人はまさかの自分だった!? 千歳(大原櫻子)は無理やり瀬那にキスされ戸惑う中、再び瀬那の担当となり動揺を隠せない。一方映画の初主演に抜擢された瀬那と千歳は、ヒロイン役の妖艶な女優、白川雪乃(森田望智)と会うのだが、驚いたことにマネージャーとして現れたのは、元同僚の原真知子(佐藤江梨子)だった!
瀬那は俳優としての大きな壁にぶつかりながら、一方で雪乃と親密になっていく。二人を前に千歳の気持ちにも徐々に変化が・・・。そんな中、千歳と瀬那に最悪の事態が訪れる!?

◆番組情報
ドラマParavi『つまり好きって言いたいんだけど、』
毎週水曜深夜0:30からテレビ東京ほかで放送。
動画配信サービス「Paravi」で前週水曜日の夜9時より毎話独占先行配信中。