企画・原作を秋元康、演出を三木康一郎が手掛ける "不倫コメディ"『じゃない方の彼女』(テレビ東京)の第3話が10月25日に放送された。特別目立つことのない人生を送ってきた「じゃない方」の男性で大学准教授の雅也(濱田岳)と女子大生・怜子(山下美月)の距離は、「3回の偶然」を経て近づき、さらなる偶然により、怜子の20歳の誕生日の瞬間を一緒に祝うことになる。

しかし、翌朝目を覚ますと、二人は怜子の部屋のベッドに裸で寝ていた。そこに妻から所在を尋ねるLINEが・・・。雅也は床に落ちたブラジャーを拾い上げ、震えあがりつつ、起きてきた怜子に「もしかしてなんですけど...しちゃいましたかね?」。おそるおそる尋ねると、「もしかしてですけど、覚えてないんですか?」と言い、「ひどい!」と怜子は泣いてみせる。ここまではなんともベタな展開だ。

しかし、土下座して謝罪する雅也に、ワンピースがわりに着たブカブカTシャツ姿で朝食を勧める怜子は、二十歳になったばかりとは思えない余裕を見せる。おまけに、雅也の髪をぐしゃぐしゃにし、試験の採点をしているうちに寝てしまったと妻に言えば良いという朝帰りの言い訳までアドバイスしてみせるのだ。

しかし、今回は、そんな怜子の小悪魔ぶりに負けず劣らず、妻・麗(小西真奈美)の魅力が発揮される回でもあった。何故なら、朝帰りの夫をおそらく寝ずに待ち、何度も連絡したと怒ってみせるのに、「電源が切れちゃってて」という見え透いた嘘をつかれると、「そっか~」と笑顔で労ってくれるのだから。娘が「お花畑のニオイがする」と言い、自身も嗅いで「ほんとだ。めっちゃフローラル」と言っても、それ以上追及しない。

おまけに雅也が「片桐先輩(山崎樹範)の話」として母(YOU)に「ヤッたかヤッていないか覚えていない」相談をしているのを耳にし、「してるでしょ、確実に」「病気ね」と割り込むくせに、このあからさまに怪しい話に疑惑を抱かない。雅也がやましさから突然ケーキを買ってきても、「どういう風の吹き回し?」と何か隠している、やましいことがあるのではとツッコみつつ、「ウソ。ありがとう」とニッコリ。その後、雅也の忘れ物を届けに大学にやってきて、片桐に遭遇し、本人に「修羅場だったそうですね」と問い質してしまうわけだが・・・。

麗がすごいのは、何も感じない鈍感ではなく、ひょっとしたら真実に気づいている可能性もあるのに、本人の言い分をそのまま飲み込むこと。勘ぐったり、追及したり、責めたりするわけでなく、笑顔で逃げ場を作ってくれるのだから、男性にとってこんなにもありがたい妻はいないだろう。だが、だからこそ「不倫は絶対にダメ」と雅也は怜子の誘惑に必死に抗っているわけでもある。これは麗の手中にあるということなのか。

それでも怜子は雅也に差し入れをし、拒絶されると、「先生のことが好きだから」と告白し、キスする。しぶとくたくましい二人の女性の間でオロオロする雅也が、次第に滑稽に見えてくるくらいだった。

(文:田幸和歌子/イラスト:月野くみ)

【第4話(11月1日[月]放送)あらすじ】

怜子(山下美月)からの突然の行動に驚いた雅也は焦ってその場から逃げ出してしまう。その後、ちゃんと話をしようと大学で怜子を捜すも中々再会できず・・・。
一方雅也の妻・麗(小西真奈美)と娘の沙織はある運命的な出会いが待っていた。怜子と話すタイミングが掴めず悶々とする雅也。大学で怜子が風邪を引いたという噂を聞き、雅也は驚きの行動にでて・・・!?

◆放送情報
『じゃない方の彼女』
毎週月曜23:06からテレビ東京系で放送。
地上波放送終了後には、動画配信サービス「Paravi」にて配信中。
Paraviオリジナルストーリー「じゃない方の夜~恋は突然、生まれない。」を独占配信中。