益田ミリの同名人気漫画を原作とし、原田知世が主演を務める連続ドラマ『スナック キズツキ』(テレビ東京)の第3話が10月22日に放送された。

今回の来店客は、広告代理店営業部の佐藤悟志(塚地武雅)。前回、「主張できず、損ばかりで、そのストレスをコールセンターへの問い合わせで発散させていた」安達さん(平岩紙)がバスで隣席になり、大股開きでスペースを占拠されたサラリーマンである。

そんな彼は、甥が京大に合格したという知らせを受け、ご祝儀袋を用意しながら、ふと結婚も、子どもが生まれることも、子どもが大学に入学することも全て無縁の自分の人生について考えてしまう。そこで迷い込んだのが、スナック キズツキだ。これまでママ・トウコ(原田)がこぐま屋(浜野謙太)と路地で雑談するとき、背景に映り込んでいた貼り紙「お酒置いてないスナック」。そこに佐藤は気づいたうえで入店した初めての客でもある。

何故なら彼はお酒が飲めず、「いかに相手の懐に入り込むか」が問われるという営業部で浮いてしまっていたからだ。そんな事情を知る由もなく、トウコは「今日もお疲れさん」とコーヒーを出し、「カハヴィタウコ」がフィンランド語でコーヒータイムのことだと話す。すると、佐藤は海外に行ったことがないと恥ずかしそうにしつつも、電車の旅が好きで「乗り鉄」だという自分の趣味の話を楽しそうに始めるのだ。これができれば、きっと営業の仕事で盛り上がったこともあったろうに。

しかし、学生時代の電車の旅などを思い出すうち、改めて自分がいかに長く会社にいるかを考え、後輩が先に出世していったことや、自分が仕事を頼んでも顔すら上げずに返事をするクリエイター部門の若手社員の姿が浮かんで、モヤモヤし始める。

「今から一緒に行くかね? フィンランド」

客のモヤモヤを察知しても、そこに踏み込むわけではなく、絶妙なタイミングで妙な提案をするトウコは接客の天才だ。そこからストリートビューでフィンランドの町を見ながらコーヒーを飲み、「エア旅行」を堪能した後、「いっちょやっちゃいますか」とエアギターを提案する。

佐藤が断っても「言いたいことがある~あるある~」と、まるでRGの「あるある言いたい」ような感じにあおるトウコ。すると佐藤もノッてきて、「クリエイティブなお前」「会社にカーディガンで来るお前」とエアギターでノリノリに毒づき始める。気づけば、汗びっしょりで、もう一杯勧められたコーヒーは「アイスでお願いします」。

それにしても、最初にエアギターを渡されたときも、店を出るときに改めて「忘れ物」として渡されたときも、ストラップを首にまわし、しっくりくる位置に持ち直し、さりげなく弾きながら軽やかに帰る塚地の芸の細かさときたら。

ちなみに、この「クリエイティブなお前」「会社にカーディガンで来るお前」こそ、第一話で安達さんからのクレームに疲弊していたコールセンターの中田(成海璃子)が、一方的に自分の話を聞かされていた彼氏・潤(小関裕太)なのだ。まだ第3話なのに、意外なほど早くキズツケ→キズツキのリレーが一周し、つながってしまった。

それにしても、小関裕太のテレ東ドラマ出演頻度の高さは、もしかしたらテレ東に住んでいるんじゃないかと思うほどである。そして、次回はもちろんそんな潤がゲスト。ここからどこにつながっていくのか、新たな楽しみだ。

(文:田幸和歌子/イラスト:たけだあや)

【第4話(10月29日[金]放送)あらすじ】

今回スナック キズツキを訪れる客はイケメンの瀧井潤(小関裕太)。彼女の中田(成海璃子)にはそっけなく、上司の佐藤(塚地武雅)にもちょっと生意気なリア充男子・・・かと思ったら彼もまた傷ついていた。お金持ちばかりのBBQ。初めて見る世界で、自分を小さく感じてしまう。今回、店主トウコ(原田知世)のおもてなしは、なんと"詩の朗読"!? そして温かいだし巻き玉子が彼の心を解きほぐしていく。

◆放送情報
『スナック キズツキ』
毎週深夜0:12からテレビ東京で放送。
地上波放送後、動画配信サービス「Paravi」でも配信されている。