嘘だけは許せない元小学校教師の冴島千歳(大原櫻子)と嘘が巧みでブレイク寸前の注目俳優・藤代瀬那(櫻井海音)がプライベートでも大接近した『つまり好きって言いたいんだけど、』(テレビ東京ほか)第3話。
アイドルとマネージャー、かつ私生活でも同居人となってしまった2人。瀬那が千歳に手渡した合鍵は、今のところ公私共に彼女を縛り付ける首輪のようにも見えなくもない。
「あんな風にこれからもちゃんと見ててあげて。俳優っていつも周りに沢山の人がいて華やかに見えるかもしれないけど、実は孤独なのよ。だからマネージャーにはいつも近くにいて欲しいの。誰がなんて言おうとこの人だけはわかってくれる、たった一人だけは味方がいるんだって思えるから」
これは瀬那と共演する大女優・一色涼香(黒木瞳)から千歳が言われた言葉だが、瀬那にとって千歳は既にもうそんな特別な存在になっているのだろう。
"ライダー俳優"から脱するための転機を掴むべく事務所総出で気合が入っている中、大御所の迫真の演技を目の当たりにして自身の役者としての壁を感じていた瀬那は、「俺も本物の演技をしてみたい」と千歳の前でこぼす。それをそのまま即座に"私たちの目標にしましょう"と言ってくれた千歳の存在は、自身の実力不足や方向性に悩む彼にはどれだけ心強く頼もしく映ったことだろう。元々、誰かの夢や成長をサポートしたい思いが強く面倒見の良い千歳にはマネージャーという仕事は適職のように思えるが、真面目な千歳ゆえ自分が"腰掛けマネージャー"をしていること自体、無責任なことのように思えてきたようだ。いずれにせよ、瀬那は俳優として、千歳もマネージャーとして改めて真剣に自身の役割を自覚し直すことになったようだ。
一方で、瀬那の俳優としての顔にはいつも感動させられ心動かされるものの、自分の前では嘘ばかりついてからかい、邪魔をしてくる彼に千歳が言った言葉に不覚にも胸を締め付けられた。
「あなたの演技が素晴らしいのは嘘を本当だと信じさせる能力のおかげなんだって。あなたが最低の嘘つき男だからこそ、あんな素晴らしい演技ができるんだって。だから、これからも沢山の人を幸せにするために嘘をつき続けて下さい」
多くの人を魅了する才能のある人は、沢山の人に熱狂と感動を与えられるが、その裏で不本意ながらも最も大切にしたいたった一人の人を傷つけ泣かせなければならない時もあり、自分自身をも欺かなければいけない瞬間もあるのかもしれない。なかなか日常生活で凡人が経験できる類の痛みではないだろうが、それでも"仕事や夢"と"恋人の存在"の両立という観点では、これに近しい選択や決断に迫られたことがある人も少なくないのではないだろうか。それにそもそも一般人でも誰でも、一人の人間の中に"様々な顔"を持っているものだ。
相手にも自分にも恋人の前で見せる顔以外に"学校やバイト先、職場での姿"や"友人の前での顔"、"家族の中での様子"など"いろんな自分"がいる訳で、それら全てを嘘偽りなく統合させることはなかなか難しいことだったりもする。
瀬那の家を出てマネージャーも辞めると決意していた千歳はどうなるのか。また、瀬那と千歳の間に何があったのか、引き続き2人のドタバタ劇を追っていきたい。
(文:佳香(かこ)/イラスト:月野くみ)
【第4話(10月27日[水]放送)あらすじ】
一線を越えてしまったことを悔やむ千歳(大原櫻子)に、"同居もマネージャーも続けること"を条件に口外しない約束をする瀬那(櫻井海音)。
負い目を感じながらも同居を続ける千歳だが、なんと事務所の看板若手女優・あゆみ(松井愛莉)が突然の訪問!? 慌ててクローゼットに隠れた千歳が見たものは...! そんな瀬那は、あゆみといよいよスクープされてしまう!?
◆番組情報
ドラマParavi『つまり好きって言いたいんだけど、』
毎週水曜深夜0:30からテレビ東京ほかで放送。
動画配信サービス「Paravi」で前週水曜日の夜9時より毎話独占先行配信中。
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