嘘だけは許せない元小学校教師の冴島千歳(大原櫻子)と嘘が巧みでブレイク寸前の注目俳優・藤代瀬那(櫻井海音)の関係が急接近した『つまり好きって言いたいんだけど、』(テレビ東京ほか)第2話。

千歳が取ってきたとある映画の容疑者役の端役オーディションが、瀬那の俳優人生を大きく変えようとしていた。芸能事務所の全員が反対する中、「容疑者役を演じる藤代さん、面白いかなってパッて浮かんだんです」という千歳の言葉に瀬那はこっそりオーディションを受けていた。その演技を見た監督たちが映画の"チョイ役"ではなく準主役を瀬那にオファーしてきたのだ。

実は早くマネージャーを辞めたい千歳は塾講師の面接を受けようとしていたのだが、その面接日とオーディション日時が丸かぶりしていたのを知った瀬那は、彼女に面接を受けさせまいと自身がオーディションに出たところもあるのだろう。そして、何よりせっかく千歳が取ってきた初仕事を無駄にせず、彼女の顔に泥を塗りたくないという想いもどこかであったのかもしれない。あるいは、彼女が自分に見出してくれた新たな側面、新しい顔に自分自身も可能性を懸けてみたい、信じてみたいと思い、その想いに応えたかったのかもしれない。いずれにせよ、なんだかんだ良いコンビの2人である。

もう1つ彼らの距離を一気に近づけることになったのは、千歳の契約した物件がネット詐欺物件で一気に家なき子になってしまったことだ。荷物はひとまず瀬那の家に置いておかせてもらえることになり、さらに「荷物だけってちぃーちゃん泊まるとこあるわけ?」と、これまた何やら千歳の私生活まですっかり瀬那ペース、瀬那色に染められていきそうな予兆が描かれた。

本作の原作は円城寺マキの同名コミックだが、同じく彼女の作品が原作の『恋はつづくよどこまでも』(TBS系、以後『恋つづ』)と共通点が挙げられる。

まず主人公は、行く行く恋することになる相手の近くでサポートする役どころとして配置され、本作では新米芸能マネージャー、『恋つづ』では新米看護師・七瀬(上白石萌音)だ。そして、恋心を寄せる相手はどちらもドSで掴み所のないキャラクターだ。

『恋つづ』での"魔王"こと天堂(佐藤健)は、冷徹で人を簡単には信用しない。しかし、双方共に主人公のピンチには助けてくれ、一見意地悪に見えて実は相手のことを思いやっていたりもする。そして、不器用で一生懸命な主人公の姿に徐々に人間味を取り戻していく。

本作での瀬那は女癖が悪いものの、住まいのない千歳に一緒に住むことを提案してきたくらいだ。本音をはぐらかしてばかりの瀬那だが、そんな彼に真っ向からぶつかってきてくれる千歳はやはり"特別"で、「じゃあちぃーちゃんがなってよ、そのパートナーに」という言葉も全くの嘘ではないだろうし、「冴島さんのおかげで初心にかえれた」という感謝や「放っておける訳ないだろ。ちぃーちゃん、いっそのこと俺と一緒に住まない?」は彼の本心から出た言葉だろう。そう言えば、両者ともに大人になる前に、実は別のところで出会いを果たしている2人という点も似ている。

『恋つづ』ではドSながら超ド級のツンデレっぷりで七瀬はもちろん、テレビの前の視聴者のことも赤面させ心拍数を一気に上げさせ続けた天堂だったが、その一端は本作でも既に見受けられる。あまりに自信満々で余裕たっぷり、そして天邪鬼なところもある瀬那の甘噛みのような千歳への攻めに食らわされている視聴者も少なくないだろう。

時に観ているこちらが恥ずかしくなるほどの恋の攻防を見せてくれる千歳と瀬那が、互いの本音に近づいていく様をハラハラしながら見守りたい。

(文:佳香(かこ)/イラスト:月野くみ)

【第3話(10月20日[水]放送)あらすじ】

ひょんなことから瀬那(櫻井海音)との同居生活が始まった千歳(大原櫻子)。瀬那に何かとこき使われ、マネージャーとして瀬那を支えつつも教師に戻る決意を新たにする。
一方瀬那は大女優・一色涼香(黒木瞳)との共演で役者としての壁に突き当たっていた。
ある日千歳が塾の教師の面接を受けていると瀬那から電話が。慌てて戻った千歳を待っていた事態とは!瀬那のマンションを出る決意をした千歳は最後に瀬那と飲む。すると翌朝、まさかの事態に...!?

◆番組情報
ドラマParavi『つまり好きって言いたいんだけど、』
毎週水曜深夜0:30からテレビ東京ほかで放送。
動画配信サービス「Paravi」で前週水曜日の夜9時より毎話独占先行配信中。