企画・原作を秋元康、演出を『来世ではちゃんとします』(テレビ東京)や映画『植物図鑑 運命の恋、ひろいました』などを手掛ける三木康一郎らが手掛ける "不倫コメディ"『じゃない方の彼女』(テレビ東京)が10月11日にスタートした。

「じゃない方」というフレーズが広く認知されたのは、おそらく2009年放送の『雨上がり決死隊のトーク番組 アメトーーク!』(テレビ朝日)の「じゃない方芸人」がきっかけだが、「お笑い芸人の目立たないほう、クラスの主役じゃないほう、モテないほう」などなど、どこにでもいる普通の人。つまり"圧倒的多数派"の物語である。

そうした「じゃない方」をコミカルに演じるのは、『シェフは名探偵』出演や『フルーツ宅配便』主演などでもおなじみ、"テレ東役者"とも言うべき濱田岳。

彼が演じる主人公は、特別目立つことのない人生を送ってきた「じゃない方」男性で大学准教授の・小谷雅也だ。大学准教授である時点で学業優秀だったはずだし、しっかり者の美人妻・小西真奈美がいるなんて、むしろ「選ばれし人」に見える。これで「じゃない方」だとしたらハードルが高すぎて、我々一般人はミジンコ以下じゃないか・・・と、多くの視聴者が若干の妬みにとらわれそうな気がするが、それはそれとして。

そんな彼が、「天然系魔性」の女子大生・野々山怜子(山下美月)との出会いから、「じゃない方」じゃないことに巻き込まれていく。出会いは、ショッピングセンターの停電したエレベーター内に2人だけで閉じ込められたこと。ベタなエロ小説のようだが、気まずさから「パクチー買い忘れちゃったなぁ・・・」などと「大きな独り言」を言う雅也。すると、「あの~、パクチーお嫌いですか」と美女が話しかけてきて、こう言うのだ。
「私は大好きです。あのどっくとく(独特)のっ臭みが!」

これはあざとい。「じゃない方」にとって、もはや自分への口説き文句にすら聞こえる。しかし、もちろん本人に他意はない。それが天然系魔性だと瞬時に理解できる強烈なつかみだ。

妻はトムヤムクンを作るが、自分はサンマの方が食べたいという雅也は、やはり圧倒的多数の「じゃない方おじさん」である。

そんな出会いを経て、二人はほどなく、今度は大学のエレベーターで再会する。実は怜子は雅也の勤める大学の学生だった。しかし、エレベーターから降りる時、怜子のカーディガンが雅也に引っ掛かり、それを真剣に解こうとするために二人の顔は大接近。濱田岳が目をトロンとさせ、腑抜けた様子で見つめる様子はさすが職人芸である。

そして、三度目の再会は、盆栽教室。「若い美人女子大生が渋い趣味」というのも、その後、食事に誘ってくれ、その店が普通のおじさんの好きそうな「サンマ定食のオイシイ定食屋」というのも、「3回の偶然が続いたら奇跡」と言い、別れ際に走り寄って頬にキスをして「何もないと、3回の偶然がもったいないかなって思って」と小悪魔的に笑うのも、見事におじさんのベタな妄想てんこ盛りの展開である。

今のところ不倫のドロドロは全くなく、むしろ何十年も前から少年漫画誌のラブコメで展開される「平凡な男がなぜか可愛い子たちにモテまくる」展開のおじさん版という気も。そうした意味で、昨年テレビ東京で放送されていた、山里亮太原作×山里役で主演を仲野太賀が務めた『あのコの夢を見たんです。』にも近いか。

「じゃない方」というキャッチーなタイトルでつかみ、安心のベタ展開を見せるのが、秋元康の巧さという気もした。

(文:田幸和歌子/イラスト:月野くみ)

【第2話(10月18日[月]放送)あらすじ】

女子大生の怜子(山下美月)から突然、頬にキスをされたことを思い出す雅也(濱田岳)。忘れようと決心するが、意図せず、連絡先を交換することに。魅力的な怜子に戸惑う雅也だが、「自分には家族がいる」と言い聞かせ、妻・麗(小西真奈美)と娘との時間を大切にしようとするのだが・・・。盆栽教室で開かれた飲み会をきっかけに雅也と怜子は思わぬ形で距離を縮めてしまい・・・。

◆放送情報
『じゃない方の彼女』
毎週月曜23:06からテレビ東京系で放送。
地上波放送終了後には、動画配信サービス「Paravi」にて配信中。
Paraviオリジナルストーリー「じゃない方の夜~恋は突然、生まれない。」を独占配信中。