動画配信サービス「Paravi」の完全オリジナル作品『東京、愛だの、恋だの』第4話は主人公・かえ(松本まりか)の職場に恋人・達也(梶裕貴)の浮気相手(?)が乗り込んできたことをきっかけに険悪ムードになる2人の様子から始まる。(達也は全く何の弁明もしなかったが、本当に浮気相手なのだろうか...)

今話では、弁護士・正木優子(趣里)が自身の依頼人である夫に不倫された妻・美咲(安藤聖)と、不倫相手の千恵(安藤玉恵)の直接対決から自身の人生設計を立て直すことになる。妻と不倫女の矜持がぶつかり合い、弁護士まで含めた3人の女性の人生のリセットが描かれた。

「自分のものになりもしない物件に月々の家賃を払い続けるのがバカバカしくなってきちゃって」と賃貸からマンション購入に切り替えを検討していた優子だが、譲れない条件として「事務所から徒歩圏内の港区」「2LDK」を挙げる。

優子が手放そうとしていることを人間関係に当てはめると「自分のものになりもしない(=結婚など将来を約束したパートナーシップは築けない)物件(=男)」となるにもかかわらず、それに気づかないばかりか結局その男が通いやすい立地と間取りを要望し表面上の変化しかもたらせそうにない優子の矛盾もいたたまれない。

夫の挙動不審に気づき、血眼になって不倫相手のSNSアカウントを探し当て、毎日"ちえぞう"の更新状況をチェックしている美咲も、彼女が悪いだけではないもののやっていることは"ネットストーキング"と何ら変わらず、そこに書かれていないことまでLINEのやり取りや夫の帰宅時間などと照らし合わせ想像力をフル稼働させストーリーを紡ぎ出している。もはや、美咲は憎き"ちえぞう"のことを誰よりも事細かに把握できている状況で、彼女の中で"ちえぞう"の人物像が一人歩きしてしまっている。これもまたあまりに観ていて苦しい。

「好きな男にされて一番辛いことってなんだろって考えた時に"嘘をつかれること"だと思ったんです。だったら結婚なんてしない方がいい。だって"この先一生あなたしか愛しませんよ、あなたとしかセックスしませんよ"なんていう約束、誰が守れるんですか」と思わずこぼす千恵の言葉が、皮肉にも現代における結婚制度のアンマッチさ、難しさを表しているようにも思える。平均寿命は年々延び"人生100年時代到来"も迫る中、婚姻制度ができた時代には予想もしていなかった程に"結婚(後の)生活"の期間は延長されるばかりだ。同じように誓い合う"一生"の期間がどんどん長くなる一方で、当時とは異なり生き方の多様性も認められ始めている。

「バカ正直なあの人が好きだったのに。私にだけ嘘をついてたんですね、あの人」と言う妻に対して、「それはあなたが妻だからですよ」と答える、学生時代に同じ男と結婚を考えていた矢先に浮気をされた不倫相手の応酬は息を飲むものがあった。

「奥さんからどんなに高額な慰謝料請求されてもいつでも払えるように貯金してあるんです」という不倫女の矜持と、「私、あなたのことは許さないけど、夫のことは許そうと思います。だって、私はあの人と一生一緒に生きてくと決めたんだから」という妻の矜持。どちらが幸せかなんて一概には言えないし、どちらも無傷ではいられない決死の覚悟である。

「幸せ」は人それぞれだし、"絶対安全"だと思えていたポジションも視点を変えれば"不安でしかない"立場に思えたりもするものだ。「幸せ」にはグラデーションが広がっているからこそ、相手の価値観を根こそぎ否定してしまうようなことはせずに、どんな道を選ぶにしても自ら選び取り、「幸せにしてもらう」のではなく「幸せになる」強い意志と覚悟が必要なのかもしれない。

釈然としない中、達也にプロポーズされたかえにも正に今それが問われている。

(文:佳香(かこ)/イラスト:たけだあや)

◆番組概要
Paravi オリジナルドラマ『東京、愛だの、恋だの』
動画配信サービス「Paravi」で第1 話~第4話配信中。
10月2日(土)12:00 第5話配信
10月9日(土)12:00 第6話配信
10月16日(土)12:00 最終話配信