――この作品がドラマ化されるにあたって感じたことは?
しっかりと世界観がある原作漫画で、これをどうやってドラマ化するんだろうという未知の部分があり、私も主婦役を演じる機会がそんなにあったわけではないので、どうやったら"人妻感"が出るのかなと思っていて・・・今回はチャレンジでしたね。
――その人妻感はどう出そうと思われたのですか?
衣装とメイクに助けてもらおうと思いました(笑)。原作でもエプロン姿が印象的で。それと、撮影当時は私自身も髪が長く、麻衣子はヘアゴムで一つにまとめているイメージがあったので、見た目の部分で助けてもらおうと思いましたね(笑)。
――ご自身と麻衣子の似ている部分は?
本当に共通する部分が少ない役だったので、感情移入の部分が難しかったです。共感ができないし、想像もつかなかったので、その都度演じながらどう思うか・・・という感じでした。
――原作で魅力に感じたことは?
すごく行間があるというか、セリフで説明しないという感じがして、どこか映画的な漫画だなと思いました。
――その"間"の部分をドラマでも大事にされていると思いますが、実写化ならではの魅力をどんなところに感じますか?
麻衣子の妄想癖などは漫画ならではのファンタジー感が強い印象があったので、それをどう映像化するのかなと思っていたんですけど、やはり人間が映ることによって、実写ならではの良さがあるなと思いました。例えば、(二葉の妻の)聖さんは原作では顔が出ていなかったりするんです。(麻衣子の夫)たっくんの描写もそんなにないんですが、それを、すごく魅力的な俳優さん2人が演じられていて。それぞれのキャラクターの悲しさみたいなものも、深堀りされていますね。
――今回、初共演の森山直太朗さんの現場での印象はいかがでしたか?
本当に面白いチャーミングな方でした、ギャグセンスも高くて(笑)。お会いする前は、小さいころからテレビで見ているミュージシャンの方という、パブリックイメージ通りの印象で、今回ご一緒することが決まってからも、あえて自分から過去の映像を見たりせずに撮影に臨もうと思っていました。でも、撮影前の取材でご一緒する機会があって、その時にリモートでしたが初めてお話したんです。その時に「多分、相当面白い方だ!」と思って、「私、きっとすぐ仲良くなってしまうだろうな」と危険を察知して(笑)、現場でも最初はあまり話さないようにしていました。
――現場での距離感を大事にするために、そうされていたんですね。
そうですね。
――そうしたなかでも印象深い撮影エピソードはありますか?
実際、直太朗さんの全ての行動がツボだったんです。直太朗さんとは、ベランダの仕切り越しに話すというシーンが多くて、顔を見ないで芝居をする回数が多かったんです。せっかくの初共演だったので、鮮度があったほうがいいなとも思って、最初はあんまり仲良くしすぎないようにしようと思っていました。けど、後半戦のとあるシーンで、直太朗さんが部屋に入ってくるだけで面白すぎて笑ってしまい・・・3回ぐらいリテイクになりました。反省してます。
今回は、すごく相手の声を聞いた作品だったと思います。今も思い出すと、直太朗さんの顔より先に声のほうが思い出されますね。シチュエーション的に、見ている方も、あの"ベランダ越し"というのがドキドキすると思うんですけど、その手の届かない感じが、すごく緊張を与えてくれるし、演じていて楽しかったですね。
――本作の好きなシーンは?
麻衣子が妄想の中で二葉と一緒に砂場遊びをしていて、それを大東(駿介)さんが演じるたっくんが壊していく、第3話のシーンです。あれは、本当に面白かった! 一発本番だったんですけど、リハーサルの時から、笑いが止まらなくて。壊す瞬間に笑っちゃいそうだから、カメラマンさんに何回か「私を映さないでほしい」って言ったぐらいでした(笑)。大東さんに「最高でした!」って連絡したら、大東さんも「でもなんであんなに無邪気だったか、自分でも覚えてない」って(笑)。
――そんな大東さんの印象はいかがでしたか?
大東さんは本当に、近所のお兄ちゃんみたいな感じで、すごく仲良くしていただきました。無邪気な方なので、いつも2人で現場でゲラゲラ笑ってましたね。大東さんとは「このシーン、どうしようかな」とか、お芝居の話もしました。
――撮影で大変だったシーンは?
麻衣子のオープニングと妄想シーンの海関連の撮影は大変でした。洋服を着て海に入るということが初めてだったので、だいぶ苦戦しましたね。水の中で目を開けなければいけないのが、大変でした。
――劇中の踏み込めない"ベランダの壁"にちなみ、門脇さん自身が、何かを踏みとどまったエピソードはありますか?
お芝居の時に振りきっちゃって自分のリミッターが外れちゃう時があるんですけど、そういう時、大体ケガしがちなんですよ。なので、いつも振りきるギリギリで留めようと心に決めています。「ちょっと冷静になろう」ということは、しょっちゅうありますね。
――最後に視聴者の皆さんにメッセージをお願いします。
物語はどんどん新たに展開していきますし、麻衣子と二葉の関係性や、周囲のキャラクターもどんどん深まっていきます。優しく、悲しく・・・どんな結末を迎え、登場人物みんながどんな決断を出していくのか、みんなの姿を見守るような気持ちで見ていただけたら嬉しいなと思います。
(文:齊藤恵)
◆番組情報
『うきわ ―友達以上、不倫未満―』
毎週月曜23:06よりテレビ東京系にて放送
本編地上波放送終了後に動画配信サービス『Paravi』にて配信中。
見逃し配信のほか、Paraviオリジナルストーリー「うきわー他人以上、友達未満ー」を独占配信中。
(C)野村宗弘・小学館/「うきわ ―友達以上、不倫未満―」製作委員会
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