なんとも美味しそうな、ワンハンド焼にパンケーキお好み焼。屋上バーベキューに花火、ヨーヨーと風船。ホースで作った虹。そして、皆の笑顔が煌めいて見える蒼介(仲野太賀)が撮った「家族写真」。見ていると、気づけば心がホワッとジュワっと和むドラマ『#家族募集します』の第5話が8月27日に放送された。

今回の一大イベントは、蒼介が企画した「にじやフェス」の開催だった。そんな中、「にじや」の面々は、家出してきた黒崎(橋本じゅん)の娘・いつき(板垣樹)を一晩預かることになる。5年前に離婚して以来一緒に暮らしたことがなく、3カ月前から半年限定でシングルファーザーをやっている黒崎は、娘とどう接していいのかわからないらしい。黒崎親子の仲を取り持ち、いつきが見たことがないという「父親の笑顔」を見せたい、逆に黒崎に「娘の笑顔」を見せたいと、俊平(重岡大毅)は、持ち前の「お節介力」で2人を「にじやフェス」に巻き込んでいくのだった。そこに礼(木村文乃)の夫・芳樹(橋本淳)まで登場し、いろいろな人の感情が淡く入り乱れ、ゆっくりと何かが変わっていく。

そんな第5話は「北風と太陽」の話だった。笑わない黒崎をなんとか笑わせようと必死になって、自らおどけて踊ってみせたりする俊平は、それでも笑わない黒崎を見て一旦諦める。「俺がやってることって、北風と太陽の北風だったなって。自然にふっと滲みでるような笑顔じゃないと意味ないんだよ。気の置けない家族の前で見せるみたいな」と彼は言う。その時の俊平が「北風」だったなら、「太陽」となったのは蒼介だ。

蒼介は、黒崎親子にとっての初めての「家族写真」を撮った。なぜなら、いつきが幼い時、一緒に過ごしていた頃の「家族写真」は、離婚した妻によって捨てられたために存在しないからだ。その蒼介が撮った「家族写真」は、親子が笑顔で笑いあう2ショットではない。離れたところでいつきを見守りながら、思わず優しい笑顔になった、父・黒崎を切り取ったベストショットだった。

一緒にいなかった時間が長すぎて、どういう顔で笑い合えばいいのか分からなくなってしまった親子は、第5話終盤においてもまだ、絶妙な距離を保ったまま歩いている。それでも、いつきが父に「私も小さい頃、お父さんと手繋いで歩いてた?」と問いかけ「ああ」と父が答える姿には、きっといずれ、そう遠くない未来に、親子は再び手を繋ぎなおし、素直に笑い合える時が来ると、予感させるものがあった。

このドラマの登場人物は、皆が皆、太陽に似ている。突然のいつきの訪問に動揺している「にじや」のメンバーの張りつめた緊張を一瞬で霧散させ、たちまちいつきを安心させる「来てくれてありがとね」という俊平の声と優しい笑顔。カメラを通して、「家族」たちを愛おしげに見つめている蒼介。軽やかに皆を包み込む歌を歌い、礼に「たまにはなりゆき主義でいかない?明日は明日の風が吹くって」と告げることで、礼の心を圧倒的に楽にしためいく(岸井ゆきの)。

そしてその言葉は、頑なだった礼の表情まで変え、人生観までも変え、「夫と正式に離婚する」という重大な決断にまで導いてしまった。互いが互いにいい風に影響を受け、皆の肩の力が抜けつつある今、新しい恋の予感が吹き荒れようとしている。

(文・藤原奈緒/イラスト・まつもとりえこ)

【第6話(9月3日[金]放送)あらすじ】

正式に離婚を決意したことを、俊平(重岡大毅)や蒼介(仲野太賀)ら、にじやの家族に報告した礼(木村文乃)。すると、思わぬ余波が・・・なんとめいく(岸井ゆきの)が、礼の新しいスタートに触発され、「恋がしたい!」と言い出したのだ!
さらに、早速"恋のお相手候補"として、音楽仲間のナオト(井口理)をにじやに連れてきたため、俊平たちは大混乱!ナオトを囲む和やかな食事会のはずが、黒崎(橋本じゅん)や銀治(石橋蓮司)まで参戦して、まるで家族面談のような緊迫した雰囲気になってしまい・・・!?

一方、みどり(山本美月)が海外で取材の際に使っていたボイスレコーダーとスケッチブックを見つけた俊平は、亡き妻に思いを馳せていた。ボイスレコーダーでみどりの生き生きとした声を繰り返し聴いているうちに、俊平はみどりが遺した思いに気付き──

◆番組情報
『#家族募集します』
毎週金曜22:00からTBS系で放送中。
地上波放送後には動画配信サービス「Paravi」でも配信。