主演・門脇麦×共演・森山直太朗がお隣同士の危うい関係"サレ妻×サレ夫"を演じる『うきわ--友達以上、不倫未満--』(テレビ東京)の第1話が、8月9日に放送された。

原作は、コアなファンの多い野村宗弘の漫画『うきわ』。メイン二人の他には、『ゾンビが来たから人生見つめ直した件』(NHK総合)で浮気夫をズルく情けなく滑稽に演じたかと思えば、『浦安鉄筋家族』(テレビ東京)で春巻をアホ可愛く抜群の再現度の高さで演じた大東駿介、話題作『きれいのくに』(NHK総合)で吉田羊と同じ人物をそっくりに演じて芸達者ぶりが話題となった蓮佛美沙子、『にじいろカルテ』(テレビ朝日)での好演も記憶に新しい西田尚美、『夢中さ、きみに。』(MBS)でモテによるトラウマで可愛さを封印して生きる二階堂を演じた高橋文哉、主演作『猫』など、活躍目覚ましい小西桜子など、「ドラマ好きが反応する達者かつ旬の顔触れをよくぞここまで」と思うほどに揃えている。

主人公は、夫の仕事の都合で広島から上京した、自称「可もなく不可もない」主婦・中山麻衣子(門脇)。森山演じる二葉さんは、夫の上司で、社宅の隣人夫婦。お隣さん同士の揺れる思いと微妙な関係性というと、野沢尚脚本による、大人の文通を通して育まれる純愛名作ドラマ『恋人よ』(フジテレビ、1995年)をつい思い出してしまうが、この二人の交流が生まれるのは、早朝のゴミ捨て場や、壁一枚を隔てたベランダだ。

「ホヤホヤではないが、新婚」「初々しいけど、なれ合いにはなっていない」中山家が壊れ始めるのは、夫・拓也(大東)が職場で大学時代の後輩・福田歩(蓮佛美沙子)に再会したことから。一方、二葉もまた、妻(西田)に浮気されている。

「不倫」が描かれるということで、ちょっと尻込みする人もいるかもしれないが、原作のほのぼのやわらかな空気感・透明感と、ちょっと不穏なドキドキ感をドラマでは忠実かつ繊細に映像化している。

脚本は『刑事ゆがみ』や『今際の国のアリス』などの倉光泰子。また、夜や水の青みがかった柔らかで静かな映像と、差し込む光との対比が美しく、心理描写が丁寧だと思ったら、スタッフは『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』(通称「チェリまほ」)の風間太樹監督×本間かなみPの2度目のタッグなのだった。

門脇麦のどこか地に足着いていない新婚ならではのフワフワ具合は、映画『あの子は貴族』を思い出させるところもあり、まだ何者でもない麻衣子が夫の不貞を知り、どう変化していくのかが楽しみだ。また、そんな麻衣子と交流を深める「二葉さん」役の森山の"鈍感なフリ"や、一瞬かたまる表情が、なんとも切ない。

ちなみに、小動物的愛らしさがありつつも、周囲を鋭い観察眼と野次馬的好奇心で眺め、クールで達観したツッコミを入れる二葉の部下・愛宕(小西)が非常に魅力的だ。「結婚って、生活だから」と言う拓也には「失ってから気づくタイプですよね」、二葉には「白髪、増えてますよ」と指摘して、気を遣ってくれと言われると「私は気を遣わせないように気を遣ってるんですよ。課長と話すことないけど、こうやって自分を下世話な人間に思わせてまで会話してあげてるんですよ」。さらに二葉の鈍感さに対し「感情を出さないのって、思いやりなのかもしれないけど、保身でもあるじゃないですか。思いやってるようで、実は自分のためだったり」と痛いところを突いてくる。お隣夫婦と共に、目が離せないキャラだ。

(文=田幸和歌子/イラスト=月野くみ)

【第2話(8月16日[月]放送)あらすじ】

麻衣子(門脇麦)が知った、夫・たっくん(大東駿介)の裏切り。本人に浮気を問い詰める勇気もない麻衣子は、悶々としながら隣室に住む夫の上司・二葉さん(森山直太朗)から夫のことを聞き出そうとするが、実は二葉さんも秘密を抱えていることを知ってしまい...。お互いの傷と秘密を共有した麻衣子と二葉さんの、不思議な共犯関係が始まる――。

◆番組情報
『うきわ ―友達以上、不倫未満―』
毎週月曜23:06よりテレビ東京系にて放送
地上波放送終了後に動画配信サービス『Paravi』にて配信中。
見逃し配信のほか、Paraviオリジナルストーリー「うきわー他人以上、友達未満ー」を独占配信中。