女性たちの欲望にまみれた愛憎サスペンスドラマ『女の戦争~バチェラー殺人事件~』(テレビ東京)の最終話である第6話が、8月7日に放送された。
ハイスペック御曹司・鳴戸哲也(古川雄大)の花嫁の座をかけて、7人の女性たちが恋愛バラエティ番組『ゲット・ザ・バチェラー』で競い合ってきたが、最終的に麗奈(トリンドル玲奈)、若菜(葵わかな)の2人に絞られる。しかも、若菜は実は哲也の父・英一郎(羽場裕一)に騙され、すべてを失い、自殺した仕事相手・ミヤマの娘だったことがわかる。もともと若菜のことを気にかけていたうえ、哲也の優しい人柄を思うと、ここで結論が出たかに見えた。
しかし、ここからさらにどんでん返しが。なんと麗奈が哲也の「元カノ」だったことが発覚する。麗奈が暴露タイムで明かされた秘密「整形」に、まさかそんな事情があったとは。そして、哲也が麗奈の正体に気づいたのは、遊園地デートで麗奈にキスされたとき。麗奈は哲也がニューヨークに行くことになり、別れた後も、なにをやってもダメで、忘れることができなかった。「今までの自分全部捨てて、生まれ変わって会いたかった」「そうでもしないと、また好きになってもらえないと思った」というのが、この番組に応募した理由だったのだ。お互いに忘れられない相手だったのだから、元さやにおさまるのが自然に思えるが・・・。
過去と関係なく、今のあなたは素敵だと麗奈に伝えたうえで、最終的に哲也の選んだ相手は、若菜だった。その理由は「僕が一緒に人生を歩きたいと思った」から。若菜の正体に気づいていた英一郎は猛反対するが、哲也に鳴戸グループを継がないと宣言され、結局、二人の結婚を認めることに。
そして3か月後。二人の結婚式には、かつての共演者であり、脱落していった女性たちと、スタッフと、懐かしい顔ぶれが集う。りお(寺本莉緒)と財閥令嬢・一香(尾碕真花)は、騙し騙され、一時は殺意も芽生えた関係なのに、揃って欠席し、ビデオレターを送ってくる。相変わらず、あるいはますます辛辣な言葉を浴びせ合う女性たちだが、誰もが楽しそうで、元気そうな姿に、案外良いかたちのハッピーエンドかも・・・と思いそうになったが、肝心の「事件」の真相が残っていた。哲也を刺殺したのは誰なのか。
その答えは、刺される直前に振り返り、相手に向けられた穏やかな哲也の笑顔にあった。最後の最後までどんでん返しが続き、たどり着いたのは、悲しすぎる結末である。
本家のバチェラーあるあるが散りばめられているかと思いきや、タブーだらけを盛り込んだ同じテレビ東京の『共演NG』のような風刺ネタも多数あり、ホラー展開もあり、実は「イヤミス」だったのか・・・。たった6話にいろんな味を詰め込んだ物語は、哲也の儚く美しい圧倒的ヒロイン感と共に終了した。
(文・田幸和歌子/イラスト・月野くみ)
◆番組情報
サタドラ『女の戦争~バチェラー殺人事件~』
動画配信サービス「Paravi」にて全話配信中。
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