本作は社宅のベランダを舞台に、パートナーに浮気をされてしまった"サレ妻×サレ夫"の隣人同士の、「不倫まで壁1枚」という危うい関係を描いた野村宗弘の名作「うきわ」が原作で、"チェリまほ"ことドラマ『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』(2019年・テレビ東京)でギャラクシー賞マイベストTV賞のグランプリに輝いた風間太樹監督らがドラマ化。

「平々凡々な結婚生活を送ってきた麻衣子に、夫に浮気をされるというショッキングな出来事があった」人妻・麻衣子を演じた門脇は、役作りについて聞かれ、「あえて何もしませんでした」とコメント。「現場に入って生まれてくるものだけを拾い上げて役を作りたかったんです。役作りを放棄するというのは、私にとってはチャレンジングな経験で怖かった」そうで、演じるにあたり「自分でも自覚していなかった芯の強さみたいなものをちょっとずつ出せたらと思いました。麻衣子がどう成長していくかを、常に慎重に探りながら意識していました」と明かした。

また、麻衣子の隣人で、妻に浮気されてしまう二葉を演じた森山は「同じような境遇の麻衣子と出会い、彼女の境遇を自分と立場に置き換えて、励ましたり、寄り添ったりするなかで、自分の本当の気持ちや弱さ、甘えに気づいて、それに乗り越えてい・・・ある一人の何の変哲もない男性が、起こった事件を通じて成長していく物語」と、役の見どころについて言及。さらに「不倫する側、される側にも原因があるというけれど、原因というよりは"理由"だな、と。すごくナーバスな問題なので、それを先送りにしてしまうけど、ある一つの出会いを通じて向き合っていく・・・そんな心の逡巡を描きに描いた作品」とドラマの魅力を語った。

そして、演じるにあたり「台本をとにかく読みました。綿密に原作漫画のテイストを引き継ぎながら、どうドラマに落とし込むかという工夫が成されていた台本だったので、台本に書かれていない部分、行間や沈黙、間合いみたいなものを想像して、読解力をフルに使って演じました」と明かした。

そんな2人は初対面だったそうで、お互いの印象については、「直太朗さんはすごく面白い方。ありとあらゆるところがツボにはいってしまって。だから、あんまり仲良くなるのが怖かったんです(笑)。とてもチャーミングで、魅力的な方だと思います」と門脇。森山は、「麻衣子さん役が麦ちゃんでよかった。初めての現場に参加して、麦ちゃんがいてくれたことで、僕も救われることがたくさんあった。まぁ、僕は笑われてるんですけど(笑)。それで心の開き方も変わるので」と明かしてくれた。

撮影に入ると、「物語が進んでいくのと、門脇さんと距離が縮まっていくのが全く同じ速度感だった」(森山)のだとか。門脇は役の関係性を考慮して、あえて森山と距離を置いていたそうで、「撮影のラスト1~2週間前まで心は開かなかったです(苦笑)。お芝居の時にしゃべるぐらい。最初の1ヵ月ぐらいは話しかけたかったけど、話さなかったです」と明かした。とはいえ現場は、「穏やかな現場でした」(門脇)、「支度部屋のスタッフの方がとにかく明るくて、学校のようでした(笑)」(森山)というほど和気あいあいの様子。風間監督も、「キャストの皆さんのにぎやかさに救われました。中山夫婦も二葉夫婦も、休日一緒にBBQやるんじゃないかなってぐらい(笑)」と明かしていた。

また、炎天下や雨などで過酷な撮影もあったが、森山は「過酷な撮影現場を、情熱とスキルだけでなく、みんなで、気力で乗り越えたということは、成功体験になりました」と語り、体当たりの芝居を見せた門脇にも賛辞を。風間監督も「今回の現場では、改めて気力の部分、麦さんが頑張ってくれたからこそできたシーンがたくさんありました」と、門脇に感謝の言葉を送っていた。

終盤では、タイトルにちなみ「男女間の友情は成立するか」という質問も。門脇は「お互いのことを大切にしていて、尊重して、その関係を守って楽しく過ごしていきたいという思いがあれば、友情は成立すると思う」、森山は「難しい質問ですね」と考えて言葉を選びながら、「お互いが自立した関係であれば、友情と位置づけることは簡単にできると思う。だから、答えはイエス(笑)。でも、できない人も多いと思う。弱さや寂しさで引き合ってしまうことも、歴史が証明しているから」と自身の考えを述べた。

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最後に見どころについて、風間監督は「原作の空気感を丁寧に描いたつもりです。その緩やかな空気感を楽しんでいただけたら。続々と登場するキャラクターの個性も注目です。書き下ろしのテーマ曲など、音楽含めトータルで楽しんでいただけたらと思います」とコメント。森山は「僕自身、何度見ても面白い作品になっています。何度見ても面白いものって、普遍的なものが流れていると思う。刺激ばかりを求めあうエンタメに胃もたれしている人には、ぜひ見ていただきたいです。そういうものが好きでも、好き嫌いを超えた世界観になっています。僕は、1シーン1シーンが愛おしかったです。きっと感じてもらえるものがあると思う」と語った。

そして門脇は、「しっかり引きがあって、一本の緊張感があるなかで、日常が描かれています。自分が出ている作品とか関係なく、『あ、いい1話だな』とすごく思いました。直太朗さんが最高でした。直太朗さんがこの作品に出る、ドラマに出るということに対して、どういう向き合い方をされているかというのが、1話の1カットを見た時にすごく伝わってきて。無事できてよかったなと思いました」と笑顔を見せていた。

◆番組情報
ドラマプレミア23『うきわ ―友達以上、不倫未満―』
2021年8月9日(月)スタート 毎週月曜23:06からテレビ東京系で放送
放送終了後、動画配信サービス『Paravi』にて配信。
本編放送終了後、Paraviオリジナルストーリー『うきわ -他人以上、友達未満-』を配信。

(C)野村宗弘・小学館/「うきわ ―友達以上、不倫未満―」製作委員会