2016年に始まった『有田ジェネレーション』(TBS)は、正統派のフレッシュな芸人から泥臭い芸風の地下芸人まで、さまざまなキャラの若手芸人がしのぎを削るネタ番組として異彩を放っており、ディープなお笑いファンに愛されていた。だが、惜しまれながらも2021年3月に地上波での放送を終了してしまった。

そんな『有ジェネ』は、4月から動画配信サービス「Paravi」に舞台を移して配信されている。最初に行われているのは『有田ジェネレーション Season1~ようこそ。迷える子羊芸人』と題したトーク企画である。MCの有田哲平と小峠英二が「有ジェネファミリー芸人」と呼ばれる18組の若手芸人と個別に面談を行う。

若手芸人たちは大先輩2人を前にして、真剣に現状報告や悩み相談をする。有田と小峠も彼らの言うことに耳を傾け、本気のアドバイスを送る。今までのネタバトルとは打って変わった落ち着いた雰囲気。だが、そこには新たなドキュメンタリー的な面白さがある。

配信番組ということもあり、地上波と違ってじっくり話をすることができる。だからこそ、あまりボケたりツッコんだりすることもなく、真剣に芸人として生き残るための相談をしている。この企画が生まれたきっかけについて、プロデューサーの田村恵里氏はこう語る。

「ウチの番組ではもともと収録後に飲み会があって、そこで有田さん、小峠さんと若手芸人の反省会をやっていたんですね。コロナもあってそういうのもできなくなってしまったので、改めてそういう形の収録をやろうという話になったんです」

どうすれば売れるのか。これからどうしていきたいのか。芸人同士の「反省会」の模様は、地上波のバラエティ番組では見られない刺激的な内容だった。演出の岡田純一氏は収録の様子をこう振り返る。

「反省会でいつもそういう話を聞いていて、すごく面白いけどテレビだとこういうのはなかなか見せられないな、と思っていたんです。だから、そういう感じをお届けできたのは良かったですね。有田さんの脳みそを垣間見られる、というか」

有田は後輩芸人に対して深い愛情を持っている。だからこそ、真剣に向き合い、ときには甘いことを言う彼らに厳しい言葉を投げかけることもある。それを聞いた後輩は背筋を伸ばし、気分を改める。そんなちょっとした緊張感が漂う場面も見どころだ。

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真剣なトークだからこそ、有田と小峠の実力と見識の高さが浮き彫りになる。有田が中心になって話を進めていき、小峠が要所要所で的確なフォローをする。この2人のコンビネーションが絶妙だ。

演出の岡田氏によると、有田のすごいところは「自分で全部の空気を作るし、全部の展開を作る」という点。小峠のすごいところは「一言一言のパンチラインがすごくきれいで面白い」という点。それぞれが高いレベルの話芸を備えているので、真面目な反省会が良質のエンターテインメントとして成立している。

相談者である18組の芸人は、それぞれ芸風も立場も違う。蛙亭やヒコロヒーのように他のバラエティ番組でも順調に活躍している者もいれば、ネルソンズやジェラードンのようにいまいち伸び悩んでいる者もいるし、ゴスケやスルメのようにまともな会話も覚束ないアングラ芸人もいる。

それぞれの立場に合わせて、適切な薬が処方されるように励ましの言葉が投げかけられる。ここはドクター有田のメンタルクリニックであり、視聴者が目にするのは本気の芸人カウンセリングである。

華やかな世界の舞台裏で苦悩する芸人たちの素顔が垣間見えるParavi版の『有ジェネ』は、お笑いファンはもちろん、そうではない人にもおすすめできる番組だ。

(文=ラリー遠田)

◆配信情報
『有田ジェネレーション Season1~ようこそ。迷える子羊芸人』
動画配信サービス「Paravi」で独占配信中。
Season2が2021年7月19日(月)から配信開始される。
(C)TBS