――台本を読んだ時の感想を教えてください
女性が、オシャレなお店でオシャレなごはんを食べるドラマを想像していたんですけど、読んでみたら女性が行きづらいお店にガツガツ入っていく物語で、そこがまず興味深いと思いました。私が演じたつぐみも、ひねくれた女の子。つぐみが一人でごはんを食べている時の頭の中が、どこかハートフルで、クスッと笑えるんです。つぐみが心の中で自虐を言っているところや、その際の言葉のチョイス、妄想癖があるところも面白いと思いました。これまで、つぐみのような役を演じたことがなかったので、新境地な感じがしています。
――役作りのためにしたことはありますか?
私自身、"ボッチ飯"をすることが普段から多いんです。そういう時に「隣に座っているご夫婦は何をされているんだろう」とか、「このご家族は、誰かが誕生日なのかな」とか考えながら、ごはんを食べたりしているので、つぐみの心の中をリアルに感じることができました。
だから、役作りというよりも、自然とつぐみとしてごはんを食べながら、リアクションを取っていく感覚でしたね。"実際に店内にこういう人がいたら、そう思うだろうな"という共感もあって、つぐみが私の気持ちを代弁してくれるかのようでした。心の声だからこそ言えることを、バンバン躊躇なく妄想で膨らませて、誰も傷つけないのがつぐみの良いところですね。
――演じる"つぐみ"は陰キャのフリーターという設定。ちなみに、飯豊さん自身は、"陰キャ""陽キャ"、どちらだと思いますか?
自分では明るい性格だと思うし、母も「陽気だね」ってよく言うんですけど、役ではなぜか暗い役が多いんですよ(笑)。努力が報われないとか、恋するけど結ばれない、とか。心に闇を抱えているキャラクターを演じることが多いんです。
でも、私は人のいいところを見つけることが得意な性格で、「あの人どうせ〇〇なんでしょ」というつぐみのキャラクターは私の中にはない部分だったので、演じていて面白かったですね。とはいえ、私は一人っ子ということもあり、つぐみのように妄想癖がすごいんですよ。手相を見てもらったら、「妄想線がある」って言われたこともあります(笑)。
――撮影はいかがでしたか?
お店に入ってから出るまでが1シーンなんですけど、それだけで台本が11ページぐらいあって、撮影に12時間くらいかかるんです。12時間かけてご飯を食べる経験は初めてだったので、「これがグルメドラマ・・・!」と感動ました。1カット1カット、例えば「箸上げ(食材を持ち上げている瞬間)」「食べる口元」「お米をよそう手元」など丁寧に撮影していきました。
現場はチームワークが素晴らしく、スタッフの皆さんを尊敬しっぱなしでした。ハードな撮影でしたが、だから"いい形"になるんだろうなって。見ている皆さんが、「おいしそう~!」「ボッチ飯、いいな」って思ってもらえたら嬉しいですね。
――食べるシーンの時にアドバイスはありましたか?
それが、何のアドバイスもなかったんですよ(笑)。でも、「食べれないものは食べてほしくない。本当においしいと思ってもらいたいから」「第1リアクションが大事だから、リハーサルは食べなくていいですよ」とは言われました。けど私は、食べる一口の量を確かめたかったので、リハーサルから食べさせていただきました。私が満腹になって苦しくなってしまわないか気を使ってくださってたんですが、私はご飯が好きなので、ぺろりと食べちゃいました(笑)。
実は、子どもの頃に「食べてるところを見られたら、どんな感じかな?」と食レポされる自分を妄想して練習したこともあったんです。それに以前、番組で山口智弘さんから、「箸を持ち上げた時にゆっくり口に運んで、口に入れる時は勢いよく食べよう」という食レポのアドバイスをもらったこともあります。
そういう経験の集大成が、この作品に詰め込まれています。最初はどう映っているのか心配だったんですけど、「ご飯を口に入れる姿が、とてもきれい」褒められました(笑)。
――ご自身もよく"ボッチ飯"をするとおっしゃっていましたが、普段よく食べるものや"ご褒美飯"は?
ほとんど毎日、ご褒美飯ですね(笑)。栄養をつけたい時は、いつも一人で定食屋さんに行ってお魚定食を食べます。なので、ご褒美飯=定食です(笑)。お魚のおかずとごはん、小鉢の野菜を食べると「がんばろう!」って気持ちになるんですよ。ラーメンとか、焼き肉とか、お寿司も好きなのですが、それは誰かと一緒に食べる時のほうがおいしいと感じます。
――挑戦してみたい"ボッチ飯"は?
撮影を通して、昔ながらのお店にはおいしいものが詰まっているんだと思いました。どこのお店も「プライベートでまた行こう!」となる場所ばかりで、ぜひまた足を運びたいです。
――飯豊さんの"ボッチ飯"のこだわりは?
私はお腹いっぱい食べたいので、定食にプラスしてハーフサイズのおかずを頼みます(笑)。でも以前、餃子の専門店であれもこれもとついつい頼み過ぎてしまい、ほとんど全部お持ち帰りしました。お店の人にも、「これ、一人の量じゃありません」って言われました(苦笑)。
"ボッチ飯"だと、食もちゃんと味わえると思うんですよね。「このお米、甘いな」とか、一人だからこそ見える景色があると思っています。一人でご飯に行くと、お店の人と話せたり、友達ができるきっかけも生まれますよね。ごはんを通じたお付き合いって、人との距離を縮めてくれるので、"ボッチ飯"のそんな部分に魅力を感じています。――思わず夜食に手が伸びそうになる本作ですが、深夜にグルメドラマを見る楽しさは?
「明日、ゆっくりだから、見ちゃおうかな?」みたいな、夜にラーメンを食べる感覚で見ていただけたらと思います。食べるって、生きていく上での基本だと思うんです。食べたくなるって幸せなこと。だから、ぜひ、我慢せずに食べてほしいです。私もこの間、夜中まで撮影して、天むすを食べてましたから(笑)。我慢しないで、食べることで幸福度が上がります。テレビの前で、私と一緒にご飯を食べていただけたら!
――改めて、本作の注目ポイントは?
つぐみのモノローグが面白いです! 女性の方はきっと共感してくださるでしょうし、男性の方もクスッと笑いながら見られると思います。"女性が一人で、男性がよく行くようなお店にいたら、多分こういうふうに思っているのかな"と思いながら演じていたので、そんなふうに楽しんで見ていただきたいです。
◆番組情報
「ひねくれ女のボッチ飯」
放送時間:毎週木曜深夜1時~1時30分
放送局:テレビ東京、テレビ大阪、テレビ北海道、テレビ愛知、TVQ九州放送
※TVQ九州放送は7月12日(月)深夜0時30分放送スタート
放送・配信:動画配信サービス「Paravi」にて全話独占先行配信中
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