――今回は、ご自身が主演されたドラマ『ミリオンジョー』(2019年・テレビ東京)の制作陣との再タッグになりますね。
スタッフの皆さんが、すごく熱いんです。作品に対する愛情もすごくて。また、同じチームでやれることってなかなかないし、そこでまた僕の名前が上がったっていうこと含め、本当にうれしいですね。その縁に感謝しています。また「北山でやってみたい」と思ってくれたことが何よりうれしいですね。
――今作はご自身としても「転機になる作品だと思う」とおっしゃっていましたが。
"転機"にならざるを得ないぐらいのディープな内容というか。そうした作品で、僕に声をかけてくださったことに、シビれたというか。だから、「やらせてください!」という感じでした。台本を読んだ時、「こんなことをするんだ!?」と、僕自身が怖くなるぐらいの内容でしたね。だから、僕の中でもかなりチャレンジです。
――今作のどういった部分が、ご自身の転機になると感じたのですか?
そうですね...う~ん、どこまで言っていいのかな...(※スタッフからのOKをもらって)あ、言いやすくなりました! 濡れ場、あります(笑)。そういうシーンは初挑戦。ファンの方の反応も気になるけど、ドラマを見る方への没入感も大事にしたいので、僕としては自分のトライとして、ちゃんと俳優として見てもらえるお芝居をしていかなきゃと思っています。
――正隆を演じる上で意識していることは?
「こんなこと起こるんだ!?」という最悪な出来事がスピーディに連続で起こっていくんですけど、正隆の心がすごく動かされていくので、正隆という人物がどういう表情をするんだろうというところが、自分でも計算できない。だから、そうした心の揺れ方を表現するのが難しいかなと思っています。
――正隆のキャラクターは、かなりひどい男ではありますが、そういう部分をどう演じていきたいですか?
正隆のやっていることを箇条書きにしていくと、サイテーなクズなんですけど、それを自分で清算できるようになっていくのは、人として成長しているからだと思うんです。だから、見ている人が「変わったな、成長したな」と思えるように説得力のある芝居をしなくてはいけないなと思います。監督ともお話した時に、視聴者側から、一本、ボーダーラインが引かれるような作品だろうなという話をしていて。でも見終わった頃には、引かれてしまったボーダーラインを飛び越えてくるような、そんな正隆を演じたいです。
プロットを読んだ段階で、「そうくるのか...。つらいな、正隆」と感じましたし、最後まで台本を読んだ時に、「本当にクズなんだけど、なんかこいつ(正隆)、かわいそうだな。実はこんなことしたくなかったんじゃないのかな」という部分も、浮き彫りになってきたんですよね。自分自身でも線を引いていた正隆の心情に対して、「ここだったら、分かるかもな」と受け入れちゃってる自分がいて。
だから、クズをクズとして演じるっていうことではなくて、もうちょっと深いところで演じないとダメだなって思ったんです。ふとした時の寂しさだったり、セリフがない時の感情の揺れだったり、正隆の人生の歯車が狂い、転落していくなか、どこまで自分の精神状態を保っていられるか...とか、そういう部分をちゃんと表現できるようにしていきたいですね。
――今作を通して、北山さんご自身が成長したいことは?
役者としていろいろな作品に出させていただいていますが、いい俳優さんだなと思ってもらえるように成長していきたいなと思います。間違いなく(北山が)こんなことやるんだ!?と思うかもしれない。見ている人のイメージを超えていくような俳優に成長していきたいです。
――北山さんから見て、正隆と雪映はどんな夫婦だと思いますか?
雪映さんは、すごくできた女性だなと思いました。夫に何をされても、最終的に「私が守る」という強い芯を感じるというか。だから、付き合ってから結婚に至るまでのエピソードが、幸せだったんだろうなと思いますね。
――ちなみに、北山さんの結婚観や結婚に対する理想は?
いずれは結婚できたらいいなと思いますけどね。結婚して、こうしたいああしたいっていうことって、もちろん相手も思っていることだろうし、その押し付け合いは違うかなと思うんです。あんまり考えずに、向こうがそう思っているんだったら、そうしてあげようかなということの積み重ねなんじゃないかな。だから、自分がこうしたいっていうのはあんまり考えていないかも。
――演じる正隆と真逆のタイプの完璧な男が、身近にいたら教えてください。
井ノ原(快彦)さんは包容力がえぐい! 優しいし、おちゃめだし、「24時間テレビ」で共演してからも連絡をくれるし、このドラマの出演が決まった時も「おめでとう!北さん、頑張れよ!」って、わざわざメールをくれたりして。そのメールの絵文字も、意外にかわいいんですよ(笑)。ちゃんと隙を見せてくれるのって、余裕がないとできないと思う。だから、井ノ原さんは、人として魅力的だなと思います。
あとは、タッキーさん(滝沢秀明)とかかな。"背中、見ときな!"っていう感じがあるんです。一緒にごはんを食べていたりすると、「いつ払ってるの?」っていうタイミングで払ってくれてるんですよ。気づかないうちに。あの人が行くお店は、きっとタッキーさんとグルな店ですね(笑)。
――ドラマでの作品の見どころは?
話が進むにつれて、オリジナルストーリーが出てくるんですよ。原作漫画の第5巻ぐらいでは、登場人物それぞれのストーリーが一つにつながっていくという流れだったと思うんですが、今回のドラマでは、もう少し正隆にクローズアップされている感じで。だから結構、正隆のパートはより深くなると思います。でも、原作よりもドラマのほうが、スッキリするかなと思います。
(取材・文=小松加奈)
◆放送情報
ドラマホリック!『ただ離婚してないだけ』
2021年7月7日(水)スタート 毎週水曜深夜0:00からテレビ東京ほかで放送
地上波放送終了後、動画配信サービス「Paravi」にて配信される。
(C)「ただ離婚してないだけ」製作委員会
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