離婚に向けた活動(離婚活動)をテーマとした、北川景子と永山瑛太によるドラマ『リコカツ』(TBS系)の第10話が、6月18日に放送された。いよいよ最終話である。
前回、気持ちを確かめ合った咲(北川景子)と紘一(永山瑛太)は、ここから改めて交際を始める。しかし、すでにマンションを売ってしまっていたため、咲の元カレ・貴也(高橋光臣)が買い戻そうと交渉してくれると、直接事情を聞きたいということから買い主「やまださちお」が訪れるが...。
実はマンションを購入した「やまださちお」は、咲が担当する恋愛小説家・水無月連(白洲迅)だった。ペンネームがしっくりきているだけに、本名のギャップが凄まじい。連は引き続き住みたいなら、家賃30万円を払えと要求し、躊躇する二人。
そんな中、咲は3年間のパリ研修の話を受けるかどうか迷っていた。夢だった仕事だが、紘一とまた離れなければいけなくなる。一方、紘一は連にマンション購入を考え直してくれるよう頼みに行くが、そこで咲に3年間のパリ研修の話が来ていることを聞く。
交際を始めた二人は、またしても相手を思うからこそ、勝手に一人で悩み、それぞれ一人で決断しようとしていた。
紘一の決断は、なんと自分が自衛官の仕事を辞めて、パリについていくこと。退職願も書き、フランス語も独学で始めるが、およそすぐに使わなさそうな言葉ばかりというズレぶりが、相変わらず紘一らしい。
しかし、紘一のもとに泊まりに来た咲がゴミ箱に捨てられた退職願を見つけたことで怒り、互いの思いを再びぶつけ合う二人。
「やっと君とやり直せると思ったのに、また離れることになってしまう、それは耐えられない!」と言う紘一に、咲は「離れるのは辛い。でも、この仕事は紘一さんの誇りなんでしょ?」と仕事を辞めてほしくない思いを伝える。しかし、何度もぶつかり合い、離婚もして、改めて一緒にいることを決めた二人が出した結論はこれまでと違う。
これからは大切なことは一人で決めずに、何度でも話し合おうと言い、咲はパリに行かず今の場所で頑張りながら自分の力でファッションの仕事に戻ってみせるという宣言するのだ。
しかし、そんな咲のパリ行きも二人の関係もどちらも手に入れたいという本音を知り、紘一は言う。
「37年間待って出会った運命の人だ。3年くらいなんの問題もない」「君がどこにいても思いを届ける自信がある」「自分たちの絆はそんなヤワなものではない。未来っていうのは自分たちで描くものだ。自分には咲さんと過ごす幸せな未来しか見えない」
そして、互いに「もう一度あなたの妻になりたい」「自分ももう一度、君の夫になりたい」と思いを伝えあい、咲がパリ行きを決めるのだ。
そこから「婚姻届提出まであと〇日」のカウントダウンのボードを掲げ、咲の帰国を3年間待ち続ける紘一。時差がありつつも、ビデオ電話によるリモートで「おはよう」「おやすみ」を毎日共有する二人の姿は、コロナ禍の今だからこそ海のむこうという距離を感じない。
男性側が3年間じっと彼女の帰りを待つ日々が描かれるのも、初めてのキスシーン(背伸びの足元のみだが)が結婚・離婚を経て最終回のラストシーンだったのも、実にこの二人らしい。
交際ゼロ日からのスピード婚とスピード離婚を経験し、大きな衝突を繰り返してきた咲と紘一は、ある意味、本音を言えずに長い年月をかけてゆっくり歩幅を合わせていく夫婦の道を、スタートダッシュの速度のまま駆け抜けたように見える。
そして、彼女たちの両親もまた、離婚から新たな関係を始めていた。夫婦の数だけ夫婦のかたちはあるし、人生100年時代の今、どんなことにも遅すぎることはない。そんなことを感じさせてくれる多様性に富んだハッピーエンドだった。
(文・田幸和歌子/イラスト・月野くみ)
◆放送情報
『リコカツ』
動画配信サービス「Paravi」で全話配信。
Paraviオリジナルストーリー「リコハイ」も全話独占配信中。
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