前回、藤井(鈴鹿央士)と小杉(志田彩良)が加わり、7人となった東大専科のメンバーが生き残りをかけた東大模試を受けることになった『ドラゴン桜』第7話。模試で合格の見込みがないと判断された者は、専科をやめばければならないという高いハードルを掲げた桜木(阿部寛)。新たな特別講師役としてゆりやんレトリィバァが登場したり、東大模試6カ条を発表し、生徒たちの繊細な思いが噴き出すスリリングな展開となった。

まずは桜木が招集した英語特別講師・由利杏奈を演じたゆりやんレトリィバァ。相変わらず講師の名前は安直だが、教えている内容は合理的。彼女が教えるのは英語のリスニング力。英語試験の配点で四分の一も占めるリスニング問題は、東大英語を制するためには必須である。アメリカ留学の経験のあるゆりやんにとっては、ぴったりな講師役といえるだろう。とはいえ、ポップなダンスを踊りながらの英語の授業は面白過ぎた。特に瀬戸(髙橋海人)の下手(?)な踊りは貴重なシーンといえるだろう。ちなみに2005年版の『ドラゴン桜』で英語講師の川口洋を演じたのは金田明夫。ジャケットを脱ぎ捨てランニングシャツになった川口先生はビートルズの恋の歌を、エアロビしながら生徒たちと一緒に復唱するという指導を。。当時、不満をこぼしながらも山下智久や長澤まさみがエアロビしながら歌うシーンは、かなり衝撃的である。

一方、桜木は専科の生徒たちに東大模試で合格の見込みがないと判断された者は専科をやめなければいけないということを伝える。その言葉に一番、困惑したのが早瀬(南沙良)だった。実際、試験中に焦りから追い詰められていたこともあり東大模試の結果が芳しくなかったことは本人が一番分かっている。やめなくてはいけないと思い込み葛藤する彼女に「E判定っていうのはな、合格率20%ってことだ。それは100回受験すれば、20回合格できるってことだ。お前は生まれ持っての幸運、運を持ってる。その20回に当てはまる可能性だってある」と桜木は言い切った。いやいや、東大受験はそんな甘くないだろ!と思ってしまったのは筆者だけではないはず...。

これに元気づけられた早瀬だが、この桜木の言葉より、注目したいのは直前のシーン。あの"隠れ東大専科"のメンバーともいえる小橋(西山潤)と岩井(西垣匠)が早瀬を励ましたシーンである。海岸のベンチで落ち込む早瀬に声をかける岩井と小橋。「いやぁ、目標があって頑張れるだけいいじゃん。なんつうか、青春っしょ、そういうの。がむしゃらに勉強なんて、今しかできないんだからさ。な」(小橋)「おぉ、うちなんて卒業したら実家継ぐの当たり前みたいになっててさ」(岩井)。ホントにいいヤツなんです、この2人。桜木先生、2人を東大専科に入れてください!って直訴したいほど。しかも「桜木先生信じてがんばってみなよ」(小橋)「あいつ結構、いいヤツだよ」(岩井)って、完全に桜木の信者のようになってしまった2人だった。

そして今回、桜木が掲げたのが「東大模試6カ条」。

その1 東大模試は年6回うける
その2 国語は必ず古文から始める
その3 数学は言葉で方針を書く
その4 必ずおやつを持っていく
その5 社会は既習範囲しか出題されない
その6 リスニング試験でメモをとるな!

説明を聞けば、いちいち納得。こちらも効率的に得点を取ろうと思えば、至極もっともなことばかりでタメになる。それにしても、途中で「おやつはいくらまでですか?」と聞く小杉に藤井が「遠足かよ」とツッコミを入れたが、同じツッコミをした人も多かったに違いない。第4話でもその片鱗を見せていたが、東大模試の会場で弁当を広げる小杉に驚いただろう。小杉が手に持つ弁当箱はとてつもない大きさ。その弁当箱もさることながら、ほかにも肉じゃがやサラダ、フルーツにピーナッツにドーナツなど、食いしん坊キャラが全面に押し出されていた。ちなみに瀬戸が東大模試に持ってきた弁当が、弁当箱でなくタッパーであり、炒飯らしきご飯が入っていたことも、演出が細かいと言わざるをえない。姉が作ってくれたのであろうか? もしかしたら瀬戸が自分で作ったのかもしれない・・・なんて妄想をふくらましてしまう。

また試験当日、天野(加藤清史郎)がラップでYouTubeチャンネルに投稿していた動画が10万再生を超えるという事件(?)が発生。このラップ、なかなか見事なもので授業中に見せた天野の決めポーズつきラップに桜木も「excellent」と褒めている。会場で不安になっていた天野は、YouTube内にあるコメント欄のメッセージを見て奮起することができたのだった。

とはいえ、試験直前の天野の落ち込み方はひどかった。せっかく、"あの"藤井が「どうした顔色悪いじゃん、ビビってんの? そんな調子じゃいい点取れないぞ。もし東大専科クビになっても俺が勉強教えてやるからさ」って、またもデレを見せたのに、いっぱいいっぱいの天野は藤井をはねのける。「集中したいから僕には話しかけないで」と天野から言われ、うなだれてしまう藤井がかわいそう過ぎた。

さらに藤井はこの東大模試でD判定だったことで自分の不甲斐なさに悔し涙を流す。そんな藤井は試験当日の態度について謝った天野と「こっち見んな」「なにその言い方」「僕なんてE判定なんだよ」「ふふ」「今、笑ったでしょ」「笑ったよ」「ねぇ」というやり取りを・・・完全に藤井はツンデレキャラに昇格したようだ。

結局、瀬戸、早瀬、楓(平手友梨奈)、天野はE判定だったが、桜木は東大模試でE判定だからといって、東大専科を辞めさせるつもりはなかった。「俺はE判定だったらクビにするなんて1度も言ってねぇぞ。合格の見込みがないと判断した者と言ったんだ」という桜木。勝手に勘違いした早瀬の「テヘ」が可愛いが、まぁ、確かに「テヘじゃねぇよ」という瀬戸がツッコミを入れたい気持ちもわかる。

次回は理事長退任や学園売却計画が発覚。生徒たちにもまだまだ問題が出てきそうで見逃せそうもない!

(文・MAIMAI/イラスト・たけだあや)

【第8話(6月13日[日]放送)あらすじ】

東大合格者が5人出たら学園は売却される・・・。

桜木(阿部寛)宛に送られてきたファイルから、先代理事長・恭二郎(木場勝己)による久美子(江口のりこ)の理事長退任と学園売却計画が発覚。その背後に不穏な動きもあり・・・。

最大の危機に見舞われる一方で、桜木は生徒7人にオーダーメイドの勉強法を伝授する。それぞれの学力を考慮した受験科類と選択科目の提案、それに合わせた攻略法だ。また、水野(長澤まさみ)からは夏休みを前に変わった対策法が伝授される。

そんな中、楓(平手友梨奈)は一人悩んでいた。桜木はその様子に気づくが・・・そして、アクシデントが楓を襲う。

さらに、桜木の前に意外な人物が現れる・・・

◆放送情報
『ドラゴン桜』
毎週日曜21:00からTBS系で放送中。
地上波放送後、動画配信サービス「Paravi」で配信される。
2005年放送『ドラゴン桜』も配信中。