いよいよ天下分け目の関ヶ原の始まりやー!
長らく行方不明だった葉山(向井理)が帰国。待ちに待った本命VS対抗の恋愛バトルの幕が落とされた『着飾る恋には理由があって』(TBS系/毎週火曜22:00より放送)第6話。先手は、シャチ社長こと葉山の少年スマイルから始まりました。
最終兵器葉山、ついに本格始動です
それにしても誰ですか、身長182cm、超絶小顔の向井理に"少年性"なるものを見出した天才は。
トルコから帰ってきたもののスーツケースを置き引きされた葉山は、しばらくシェアハウスで一緒に生活をすることに。今回はそんな葉山のちょっとしたおっちょこちょいで、ゆるゆるなキャラクターがしょっぱなから全開でした。
朝から香子(夏川結衣)のつくったご飯をおいしそうに食べる葉山。40手前の中年男性の寝起きなんて見られたものじゃないのに、なんだあの清涼感は。いまだにビオレのCMができそうなくらい爽やか肌男です。
ご飯をかきこんでむせるところでまず100点。そのあと、湯呑みが熱すぎて、「あっつぃ!」ってなるところで、もう100点。顔が真っ赤になっているところもいいですが、ポイントはお茶を飲んだあとの左手です。熱そうに湯呑みから手を離して宙に浮いてる手の感じにめちゃくちゃキュンとなる。これはもう向井理に3000点。
しかし、真骨頂はそのすぐあと。もう一度、ご飯をかきこんだあと、唇の端に一粒だけ米粒が残っている。それを指で口の中にそっと押し込む向井理に100万点。断言しますが、あれは500%わざとなんですよ。わざと一粒だけ口元に残した。そういう"さりげあざとい"ことができちゃう人なんですよ、うちの向井プロは(誰目線)。
料理の腕を褒められサムズアップをキメる駿(横浜流星)に、Wサムズアップで返すのもいい。無邪気かよ。
しかもこのドラマ、何か足りないかと思っていたら、そうなのです。おうちモノなのに、男性陣がパジャマを着てないんですよ。なぜパジャマを、なぜパジャマを着せないのだと恨みがましく思っていたら、それは最終兵器葉山のためでした。ストライプのパジャマを着た向井プロは、程良いリラックス感。というか、最終兵器葉山はこの回だけでパーカー&パジャマ&スーツの豪華フルコース。贅沢すぎて、僕がミシュラン審査員なら確実に3ツ星をあげている。
そして極め付きは何と言っても、犬のこうじとわしゃわしゃする葉山。ボーダーコリーと戯れる向井プロなんて、それだけでも日本の治安がちょっと良くなるくらい幸福度が高いのですが、とどめとなるのが、そのあとに見せたくるみ(川口春奈)をちらっと見上げたときの笑顔。大きく口をあけ、歯を見せて笑うその顔はまるで子どもみたい。
そう。このちょっとヌケてる、まったく邪気のない葉山は、少年がそのまま大人になったみたいなんですよね。社長という地位を捨て、またゼロから再出発できるのも、葉山が夢を追い続ける少年だから。
「いつかこんなことをやりたい。そんないつかは来ない。今からやるしかない。成功より挑戦を目標にしたい。とにかく前に進む」
そうまっすぐに前を見つめる葉山は、思考は大人。決して向こう見ずというわけではなく、ちゃんと戦略をもってアクションを起こしているのだけど、根っこにあるのはキラキラとした目で宝の地図を広げた少年の心のままで。そんな"少年性"が、ビジュアル以上の魅力となっているのです。
そして、性格的にもめちゃくちゃ好感度の高い葉山さん。駿はもちろん、気難しい羽瀬(中村アン)や、駿のことを思って最初は警戒気味だった陽人(丸山隆平)とも普通に仲良くなっている。コミュニケーションの天才すぎて、葉山に壺を買ってくれと頼まれたらすんなり買ってる自信がある。どうしよう。今のところまったく欠点が見当たらない。よっぽどアブノーマルな趣味があるとか、江波杏子みたいな姑がいるとか、そんなことがない限り葉山を選ばない理由がねえ!
このドラマのお姫様は、もしかしたら駿なのかもしれない
一方、駿はと言うと、葉山の登場により完全に撤退モード。くるみが壁を叩いても応えないし、わざと出勤時間を早くして避けようとする。どう見たって気になっているくせに、気になっていないふりをする、ザ・面倒くさい系男子になってしまいました・・・。
でもその面倒くささには理由があって。最初から撤退を決め込むのは、戦って失うことが怖いから。大事なものをなくした経験がある駿は、何かを持つことを極端に恐れるようになってしまったのではないでしょうか。一度手にしたものは必ずいつかなくしてしまう。その苦しみや痛みを味わうくらいなら、最初から持たない方がいい。自由で自立しているように見えた駿こそが、誰よりも臆病で、何かに依存してしまいやすい性格なんだと思う。
あ〜も〜駿を見ていると、好きならこっちから行かなくちゃ 待ってるだけじゃ奇跡は起こらないと僕の心のSPEEDがWake Me Up!してくるのですが、画面の向こうの彼には当然届きません。そんなじれったさにウズウズしていたら、最後の最後にとんでもない大砲が待っていた。
「俺はもういいよ。そもそもこだわんないから。誰が来て、いなくなっても。余計なものはいらない」
そういつもの飄々とした口調でへらへらとおどける駿。くるみはそんな駿を睨みつけ、これ以上聞いていられないとばかりに立ち上がって駿の口を手で塞ぐ。そして一言、「黙れ」。
男性が口封じのために強引にキスをするシーンは今までいろんなラブコメで目撃してきましたが、女性から「黙れ」なんて命令形の台詞で口を塞ぐところなんて、ほとんど見たことがなかった。でも、それがとってもくるみらしくて。そうだ、ウジウジ悩んで我慢してばかりの昔の少女漫画のヒロインみたいじゃなくて、思ったことははっきり言う、よく笑って、よく怒るくるみだから、このドラマは心地いいんだと。改めて自分が何に惹かれているのか、その答えを教えてもらったような気持ちになった。
そこから駿の唇をつまんで、「いい? よく聞いて。藤野さんが好き」と改めて想いを伝えるくるみはとてもかっこよくて。唇が塞がれた分、感情が瞳に溢れてしまった駿がせつなくて。ラブコメに王子様とお姫様の役割を担わせるのは今どき時代錯誤かもしれないけど、それでもあえて言うならば、このドラマの王子様はくるみで、塔のてっぺんに幽閉されたお姫様こそが駿なんじゃないかという気がした。過去の傷が枷となって動けずにいる駿を救い出すために、くるみはシェアハウスにやってきたんだ。
すっかりいつものラブコメのテンションで本命VS対抗の恋愛バトルを期待したけど、くるみの心は最初からまったく揺れてなくて、ずっと駿一筋だった。天下分け目の関ヶ原なんて、『着飾る恋には理由があって』にはないのかもしれない。ラブコメとしては弱いかもしれないけど、でもそこにこのドラマの美学があるんだと思う。
あの葉山の台詞は、駿に対する牽制なのだろうか
ただ、それはあくまで現時点での話。問題なのは、まだ葉山が積極的に攻撃を仕掛けていないこと。リビングにテントを張ったとき、「真柴だったんだよな」「トルコで荷物、誰に送ろうかなって思ってたときに、一番に思い出したのは」と葉山はつぶやいた。駿と2人きりになったタイミングであの話をしたのは、わざとだろう。それは、駿に対する牽制なのか。だとしたら、天下分け目の関ヶ原はここから法螺貝を吹く気もする。
そして、駿の元カノ(山本千尋)というもう1つの火種もまだ残っている。優しい性格の駿だ。元カノが困っていたらほっておけないだろう。そして、感情豊かなくるみはもし2人が再び急接近したら嫉妬を隠せないはずだ。そんな中で、最終兵器葉山が砲撃を開始したら・・・。まだ何が起きるかはわからない。
桜の季節から始まった恋はゆるやかに高まりを見せ、次の季節を迎えようとしている。憂鬱な梅雨を終えたとき、誰と誰の心に虹が架かるのだろうか。
追伸:それはそれとして、陽人への好意を自覚しながら、陽人にヌードモデルをお願いする羽瀬ちゃんのメンタル太すぎませんか? ある意味、この登場人物の中で最も策士なのは、羽瀬ちゃんな気がしてきた・・・。
追伸の追伸:今のところ葉山は部屋着からスーツまで衣装もいろいろバリエーションがあるじゃないですか? そこで、1回、葉山のスーツを駿が借りるとか、そういう展開ないですか・・・? いかにも上等そうなスーツ&ジレをビシッと着こなす横浜流星が大変見とうございます。最終回までにここはひとつ、何卒よろしくお願いします。
(文・横川良明/イラスト・まつもとりえこ)
【第7話(6月1日[月]放送)あらすじ】
真柴(川口春奈)は「やりたいことは、やれ」という駿(横浜流星)のアドバイス通り、以前から気になっていたランプの買い付けをするため、生まれ育った故郷・初島へ向かう。しかしランプ工房の主人に提案を拒否され、真柴は落胆する。そんな中、なぜか祥吾(向井理)が真柴を訪ねて初島にやってくる! 対応に追われる真柴だったが、真柴の母・すみれ(工藤夕貴)は、真柴と祥吾の仲を疑って・・・。
一方、2年前に自分のせいで閉店したはず店が、場所を変えて営業をしていることを知った駿は、抱えきれない後悔にさいなまれる。さらに陽人(丸山隆平)は、羽瀬(中村アン)の依頼でデッサンのモデルになってから何かモヤモヤとした気持ちを抱いて接していたが、ある時思い切って羽瀬の気持ちを尋ねてみることにしたが・・・。
真柴は祥吾と共に初島での時間を過ごすも、とんでもない状況に発展してしまうことになる!
◆放送情報
『着飾る恋には理由があって』
毎週火曜日22:00よりTBS系にて放送中
地上波放送終了後、動画配信サービス『Paravi』にて配信。
Paraviオリジナルストーリー『着飾らない恋には理由があって』も独占配信中。
(C)TBS
- 1