ついに東大専科の5人目の生徒が決まった『ドラゴン桜』(TBS系)の第5話。語彙力を増やすトレーニングとして懐かしのゲームが登場したり、東大専科と藤井(鈴鹿央士)のリベンジマッチが実現したりと怒涛の展開となった。

理事長・久美子(江口のりこ)の提案で東大専科と一流大学コースが再度勝負することに。しかも試験科目は大学入学共通テスト。東大を目指す者にとっては第一関門となるレベルの高い試験だ。とても今の東大専科の生徒たちでは一流大学コース唯一の生徒・藤井に勝てるとは思えない。負ければ、クラスは即廃止にも関わらず、桜木はなぜか自信満々の様子。不安を隠せない水野(長澤まさみ)に「こっちにも超優秀な生徒がいる。秘密兵器だ」という桜木。その生徒とは・・・昆虫が大好きな生徒・健太(細田佳央太)である。

その言動から健太が発達障害であることは一目瞭然だったが、桜木の指導により天才的な一面が引き出されていく。ここで思い出すのは名作映画『レインマン」。ダスティン・ホフマンが演じたレイモンドが自閉症にも関わらず、天才的な記憶力を持っていたことを思い浮かべた人も多かったのではなかろうか。2012年に放送されたドラマ『ATARU』(TBS系)も中居正広がサヴァン症候群のアタルを演じ、その特殊能力で犯罪事件を解決したこともあった。健太もレイモンドやアタルと同じく、才能を開花させたのだ。

それにしても健太を見下す藤井は最低過ぎる。健太を「虫けら」扱いして、「生きてる価値もない」と言い放つ。藤井を演じる鈴鹿央士の迫真の演技があまりにもすごい。彼の演技力があるからこそ、藤井の最低っぷりが際立っているのではないだろうか。というのも鈴鹿は2019年に映画初出演作『蜜蜂と遠雷』で天才ピアニスト役を演じて報知映画賞、ヨコハマ映画祭、毎日映画コンクール、キネマ旬報ベスト・テン、日本アカデミー賞で映画賞の新人賞を総なめにした若手実力派俳優。とんでもなく嫌なヤツだが、制作陣が藤井にかけている期待値が高いことがわかる。

一方、東大専科が語彙力を強化するため取り入れたトレーニング法が"マジカルバナナ"。バナナと言ったら黄色、黄色と言ったら・・・と続けていく連想ゲームである。おそらく若い人は知らない人も多いだろう。それもそのはず、これは1990年から1999年に放送された『マジカル頭脳パワー!!』(日本テレビ系)というクイズ番組で流行した人気クイズだからだ。当時、高視聴率番組だったこともあり、覚えている人はとても懐かしかったはず。リズムに合わせて連想した言葉を紡いでいくのだが、現高校生の東大専科の生徒たちが知っているのもちょっと不思議である。ただし、東大専科で行う"マジカルバナナ"は少し難易度が高い。お題の言葉から連想される同義語、反対語、類似語、関連する言葉をリズムに乗って漢字2文字の言葉で答えなければならない。確かに難しくて楽しいので、受験生にとっては効果的かも。ぜひ試してみてほしい!

結局、健太は聴覚的短期記憶能力が低いことが発覚。聞いた言葉はすぐ忘れてしまうが、目から記憶したものは絶対に忘れない。その記憶能力は英語の辞書一冊が頭に入ってしまうほど。そして虫が好きな健太だが、単に昆虫が好きなわけではない。担任の田村先生(山田キヌヲ)が用意した昆虫標本は見向きもしなかった。虫には居心地のいい場所で伸び伸びと生きてほしい健太は、昆虫が閉じ込められてしまう標本など大嫌いだったからだ。田村先生は真剣に健太のことを思って向き合ってきたが、やり方が間違っていたのだ。しかし、そんな田村先生と幼なじみである麻里が勉強を強制することなく自由を尊重したからこそ、健太は勉強に抵抗なく取り組むことができたのだ。数学で健太が198点を取ったことが発表された時に見せた二人の湧き上がる感情がそれを裏付けているようだった。

藤井との勝負は東大専科が勝ったが、今回の桜木は負ける覚悟を口にしていた。健太は事前に試したテストで英語の試験でリーディングは100点でもリスニングは0点。国語も暗記ものができても読解問題は難しかった。つまり健太だけでは藤井に勝てないと桜木も分かっていたのだ。「あとはあいつらがベストを尽くすしかねぇ。さもなきゃ俺は人生で初めて土下座だ」という桜木の言葉を聞いた専科の生徒たちは、健太のためにも麻里へテストに参加してほしいと頼んでいた。健太が来たことによって専科の生徒は自主的に遊びながらできる勉強方法を編み出し学力を上げ、心をひとつにしていた。勝負のあと、素直に喜ぶ瀬戸(髙橋海人)ら東大専科の生徒たちの姿が印象的だった。

今回も爽快に終わったが、小杉は東大専科を辞退。その原因は、どうやら親にあるらしい?ことが最後のシーンで明かされている。まだ楓(平手友梨奈)の親問題も保留のままである・・・第6話も見逃せない。

(文・MAIMAI/イラスト・たけだあや)

【第6話(5月30日[日]放送)あらすじ】

東大専科は3日間の勉強合宿を行うことになった。桜木(阿部寛)が声をかけた麻里(志田彩良)も健太(細田佳央太)の付き添いとして参加し、先日の勝負に破れた藤井(鈴鹿央士)も約束通りやって来た。

合宿初日、16年前に地獄の合宿で飛躍的に成長した経験をもつ水野は、地獄のカリキュラムを発表する。しかし、桜木が発表したカリキュラムは驚くべきものだった!そしていよいよ始まる東大専科の合宿。受験に挑むために最適な食事、運動、生活習慣などあらゆるメソッドを駆使し、令和の合宿に挑む一同。藤井、麻里の存在が彼らに与える影響とは・・・

そして更なるレベルアップを目指し、桜木はくせ者の国語講師を招へいする。東大合格に向けて着実に前進しているかにみえる彼らに不穏な空気がただよっていた・・・

◆放送情報
『ドラゴン桜』
毎週日曜21:00からTBS系で放送中。
地上波放送後、動画配信サービス「Paravi」で配信される。
2005年放送『ドラゴン桜』も配信中。