夫になるはずだった男を殺して冷凍庫にいれた女を待つ運命とは!? 本仮屋ユイカ主演のラブサスペンスドラマ『私の夫は冷凍庫に眠っている』の最終話が、テレビ東京にて5月15日に放送された。
冷凍庫にあった死体が消え、驚く亮(白洲迅)は、人を殺して冷蔵庫に入れても平然としている女・夏奈(本仮屋)への疑念がぬぐえなかった。次の日、3つの花瓶に花を生けようとしていた夏奈に、昨晩帰りが遅くなったことを詫びる亮は、夏奈が怒っていないか気にかける。夏奈は、けがをしている亮が心配だったからというのだが・・・。
その頃、木芽(浅田美代子)のクリニックに、唐沢(青柳翔)が脅しにやってくる。クリニックを後にする唐沢とすれ違った探偵・阿久津(おかもとはじめ)は、木芽がトラブルに巻き込まれているのではと察するが、木芽は騒ぎにしたくないと阿久津に告げるのだった。
夏奈は木芽から呼び出され、親子水いらずで食事をすることに。夏奈は何か隠してないかを問うが、取り繕う木芽に対し、「木芽さんって私と同じで強いでしょ。少しぐらいの傷なら、痛くても一人で我慢しちゃう」と語りかける。そうした心の傷を「忘れようよ」という木芽に対して、「私はちゃんと覚えてる。私の犯した罪。忘れたふりしたって、付きまとって消えない」という夏奈。夏奈の犯した罪とは一体なんなのか。
外出する隣家のミステリー作家・孔雀(斉藤由貴)を見送った亮は、なぜか孔雀の家に侵入し、探し物を。しかし、そんな亮に感づいてか、出かけたはずの孔雀が戻ってきており、亮に、「せっかく来たんだから、ゆっくりしていったら。久保田奏くん」と声をかけた。孔雀は、もし生きているのが亮だったら、戻ってきた日にそう言えばよかっただけで、そうしなかった奏が亮になりすまし、夏奈を錯乱させようとしたのではと推測。そして、奏と亮がどこで入れ替わったのかを問う。
亮は「最初に冷凍庫に入っていたのは俺です」と告白。夏奈が殺したのはやはり奏。遺体を冷凍庫に入れたが、何と奏は生きており、自分を助けだした亮を殺して代わりに冷凍庫に入れたのだった。孔雀は、入れ替わった1週間のうちに奏自身も夏奈のことが好きになったのではと指摘し、「もうわけわかんねえ」と混乱する奏に、自分の小説だと思って聞いてほしいと、ある話を始める。それは夏奈の過去の話で・・・。
夏奈が中学生の頃に母が再婚。だが義父は母や夏奈に暴力をふるっていて、ついには義父が母を殺害。夏奈は衝動的に義父を殺してしまう。そんな夏奈を助けを求めたのは児童養護施設のカウンセラーをしていた木芽で・・・。そんな過去の回想が、孔雀の家、夏奈と木芽の食事・・・と別々のシーンながらもリンクする演出が秀逸で、見ているほうも不思議な感覚に襲われる。そして、シーンは再び夏奈と木芽の場面へ。
夏奈は木芽が再び助けてくれたと言うが、木芽は「助けたんじゃない。私はあなたに惹かれてたのかも」と意外なことを言い出す。すると、夏奈は少し笑みを浮かべ、「この数日、気づいたことがあってね。私は、きれいな生き物でいたいって、ただそれだけを思って生きてきたんだと思う」と語り、「ありがとう」と感謝を口にして夏奈は木芽の元を去るのだった。
誰もいない夏奈の家には唐沢の姿が。そして、唐沢が亮の遺体を見つけていた! そこには夏奈の両親と思わしき白骨死体もあり...。唐沢は夏奈の秘密を知り、不気味な笑いがこみ上げる。そこへ、夏奈が戻ってきた! 唐沢は夏奈に「あんた悪魔だね」とつぶやくと、夏奈は「私の人生を邪魔する人、要りません」と唐沢を殺害。その躊躇のなさが、本当に怖い!
そして孔雀も、以前、奏に伝えていた、夏奈をモデルにしたという死ぬ前に出す小説を暖炉で燃やし、「これで、あなたの物語もやっと終わる。いや...始まるのかもしれない」と意味深につぶやくのだった。
奏が、家に戻ると、夏奈はウエディングドレスを着ようとしていた。背中のファスナーをあげる奏に、「結婚式は予定通りだから」と告げる夏奈。何か言いたげな奏の言葉を遮るかのように、「大丈夫。あなたを縛るもの、もう何もない」と夏奈が言った時、床の下から携帯のバイブの着信音が鳴り響き・・・!
床下を気にする奏の視界を自分に戻して、奏にキスをする夏奈。すると「どっちでもいいんだから、私がこのままずっと幸せでいられるなら。亮でも奏でも。どっちでもいいんだから」と衝撃発言を! 「俺が幸せにできなかったら?」と問いかける奏に、夏奈は「そうだなぁ」と微笑み、床を見て「こっちはもう、いっぱいなんだよね」といい、「あっちかな」とつぶやいたその先には...。
最終回では、ついに夏奈の悲しい過去とおぞましい本性が明らかに! 1シーン1シーンに含みがあるような演出がなされ、これまでの伏線を考慮して見ると、恐怖や複雑な感情が入り混じって浮かび上がってくるような感覚にさせられた。生きていた亮は、やはり双子の暴力的な兄・奏であったが、自分が幸せだったら「(亮でも奏でも)どっちでもいい」という夏奈の発言がサイコパスすぎて、どんな境地なんだろうと思ってしまった。
そして、花瓶に飾られた白いバラは、何と遺体の数とリンク! 「私はちゃんと覚えてる」と木芽に伝えたように、夏奈は白いバラを生けながら、自分の罪と向き合っていたのだった。そんな夏奈の心の内は、本当に計り知れない。底知れない恐怖の世界が美しく描かれ、体感したことのない不思議な後味が残る作品。緻密に練りこまれた伏線、キャスト陣の繊細な感情表現・・・など様々な違和感や恐怖がそこかしこにあり、あっという間に世界観に入りこませながら、見終わった後に思わず考察せずにはいられない魅力もある衝撃作。気になる方は、ぜひ、Paraviで細部までチェックを!
(文/小松加奈)
◆番組情報
サタドラ『私の夫は冷凍庫に眠っている』
動画配信サービス「Paravi」で全話配信中。
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