おじさまと猫の心温まる日々を描いた桜井海のコミックを原作とした、草刈正雄主演のドラマ『おじさまと猫』第10話が3月10日に放送された。神田冬樹(草刈)は、久しぶりに眠れぬ夜を過ごしていた。妻を亡くして以来続いていた、不安で途中で起きてしまう日々を変えてくれたのは、ふくまる(声:神木隆之介)だった。

そして今、冬樹は新たな一歩を踏み出そうとしている。ステージに立てなくなり、コンサート会場に行くだけでも過呼吸になってしまう自分に、「もっと小さな会場なら大丈夫では」と音楽教室の同僚でバンドマンの森山(小関裕太)がライブに誘ってくれた。さらに、ライブに行く前の練習として親友・小林(升毅)と別のライブに行くことになったのだ。それは、厳しい母に反対されつつも、小林の影響で隠れて聴いていたロックのライブだ。一方、小林もまた、不安を抱えていた。もしこれを機に、さらに冬樹の症状が悪化してしまったとしたら・・・。冬樹、小林だけでなく視聴者もドキドキする展開だ。

いよいよライブ会場に足を踏み入れた冬樹。

「小林・・・平気みたいだ、大丈夫だ」

安堵する冬樹だが、ステージ上には目を疑う存在が。お互いの猫を通して交流するようになったピアニスト・日比野奏(平山浩行)がギターを持って登場したのだ。
しかし、動揺しているのはむしろ日比野のほうである。なぜなら、勝手にライバル視してきた冬樹の存在が目障りで、「神田冬樹のいない世界に行きたかった」ことから始めたのが、ギターだったからだ。

「え? なんでなんで? いたよね? 神田、いたよね? チクショー! 帰れよ!!」「帰れよ~~! この野郎~~!」

平静を失い、感情をストレートにぶつけまくる荒ぶる演奏をしてしまった日比野。しかし、反省する彼に、仲間たちから思いがけない称賛が送られる。

「すげえよ、あんた!」「あんた、情熱的にも演奏できんだな!!」

さらに「日比野さん! しびれました!!」と"出待ち"していたのは、まさかの冬樹である。日比野の多才ぶりを褒める冬樹に、「見え透いたことを。あなたなら、私との実力の差くらい気づいてるでしょう」と、とうとう積年の思いを語り、コンサートの途中で冬樹が帰ったことで傷ついた思いをぶつけると、そこで冬樹はステージに立てなくなっている事情を全て打ち明けるのだった。

自身が冬樹を誤解していたことがわかり、わだかまりが解けたうえ、突然現れた冬樹の親友・小林に「よろしくな! 日比野!」とグイグイ来られ、また新たなつながりができた。

ところが、万事めでたしでは終わらない。

実はその一方で、最大のピンチが訪れていた。流れ星にパパさんのことをお願いしたいと願うふくまるは、星をつかもうと窓をひっかくうち、偶然に窓を開けてしまい、外に出て迷子になるのだった。

必死でふくまるを探す冬樹。はたして1人と1匹はどうなるのか。珍しくハラハラな気分のまま迎える次回が待ちきれない。

(文・田幸和歌子/イラスト・月野くみ)

【第11話(3月17日[水]放送)あらすじ】

ライブに出かけた神田(草刈正雄)の帰りを待っている間に、家からいなくなってしまったふくまる(声:神木隆之介)。神田のために願い事をしようと、流れ星を追ったことから迷子になってしまっていた。一方、神田はいなくなったふくまるを懸命に捜索する。ついに、ふくまるの姿を見つけ近寄ってみると、その子は、ふくまるにそっくりな別の猫だった。しかも激しく衰弱した様子で・・・。一刻も早くふくまるを見つけたい一方で、目の前の猫を見捨てることはできない。そんな神田が取った選択は・・・。

◆番組情報
ドラマParavi『おじさまと猫』
毎週水曜深夜0:58からテレ東で放送中。
動画配信サービス「Paravi」では毎週水曜21時から独占先行配信中。