おじさまと猫の心温まる日々を描いた桜井海のコミックを原作とした、草刈正雄主演のドラマ『おじさまと猫』(テレビ東京)第9話が3月3日に放送された。ふくまる(声・神木隆之介)とマリン(声・松本穂香)の"姉弟"が再会を果たした前回。仲良く戯れる二匹を見ながら、神田冬樹(草刈)は「仲良いですねー、私たちみたいで」と冬樹は目尻を下げて笑う。
一方、冬樹を長年一方的にライバル視してきた日比野奏(平山浩行)の心中は複雑だ。
(俺とお前が、仲が良いだと? バカ言うな! 俺はお前のことなんか・・・)
しかし、ウサ耳をふくまるにつけジャーン!とばかりに意気揚々とと見せてくる冬樹に「撮ります?」と聞かれると、思わず吹き出し、マリンにもウサ耳をつけて「か~わい~い」と骨抜きになるのだ。
ある夜、冬樹は日比野のコンサートのチラシを見ながら「最後まで聴きたかったなあ」とため息をついていた。妻を亡くして以来、ステージに立てなくなったばかりか、コンサート会場にも行けない状態の冬樹は悩んでいた。そこへ親友・小林(升毅)がシュークリーム片手にやってくる。机上には「退職届」が置いてある。その理由を尋ねた小林に「もうすぐ生徒の発表会があるんだ」「コンサート会場に私は行けないんだ。先生失格なんだ。あの子たちを悲しませたくない」と語るのだ。
それを聞いた小林が「音楽教室の人達に相談したのか?」と尋ねると、「いや」。すると、「やっぱりな。どうせお前のことだから、誰にも相談しないで勝手に一人で決めたと思ったよ」「神田。なんでそうやって決めつけるんだ? いつもだ、お前はいっつも一番大事なことを誰にも言わないんだ。もっと周りを頼れよ。親友だろう?」と小林は声を荒げる。
「みんなに迷惑をかけたくない」という冬樹に小林は「お前がそれを決めるな! それを決めるのはみんなだ!」と苛立ちを見せる。2人の友情に胸が熱くなってしまった。
さらに翌日、退職届を出した冬樹に、音楽教室の室長(浜田信也)も「受け取れません」「周りを頼ればいい。私たちもサポートしますから」と小林と同じ言葉を投げかけるのだった。冬樹の人望の厚さを感じられた。
一方、冬樹の事情を知らず、日比野のコンサートに連れて行ってしまった音楽教室の同僚・森山(小関裕太)は、責任を感じていた。しかし、冬樹の退職が撤回されたことで安堵し、冬樹のピアノのCDを全部聴いたことや、自身のバンドマンとしての夢を語る。
さらに「先生の歌も聴いてみたいです」と言われた森山は、思い切って自身のライブのチラシを渡す。
「また誘ってくださいと言われて、すごくうれしくて。どこに誘うかずっと考えていたんです。一番先生を誘いたいところは俺のライブでした」
これは、コンサート会場より小さな会場なら大丈夫じゃないかという配慮でもある。
そこで、冬樹は小林に助けを求める。すると、小林は「森山先生のライブ前に、1回行ってみるか」「助けてほしいと初めて言われた。嬉しかったよ」と笑うのだ。
「荷物は捨てるか持ってもらうかしないと、軽くならないんだぜ」
今はふくまるに心の荷物を持ってもらっていたんだと言われ、冬樹はハッとする。しかし、本人は自覚していないものの、実は小林も少年時代、つらい思いをしたとき、冬樹のピアノの音色に心の荷物を持ってもらっていた。
「お前の荷物くらい持たせてくれよ、神田」
友情のありがたさを感じるとともに、人は気づかないうちに誰かに荷物を持ってもらっていたり、逆に自分が持っていたりするものだと気づかされる良回だ。
(文・田幸和歌子/イラスト・月野くみ)
【第10話(3月10日[水]放送)あらすじ】
同僚の森山(小関裕太)のバンドライブに誘われた神田(草刈正雄)。しかし、コンサート会場での一連の出来事から不安を抱えていた。親友の小林(升毅)に相談すると、事前に別のライブに一緒に行ってみようと提案される。
ピアノのコンサートとは全く違った、ロックの激しくて騒がしい空間に、神田は圧倒されてしまう・・・。果たして、無事会場に居続けることはできるのか?さらにステージ上で意外な人物にも遭遇してしまい・・・!?
◆番組情報
ドラマParavi『おじさまと猫』
毎週水曜深夜0:58からテレ東で放送中。
動画配信サービス「Paravi」では毎週水曜21時から独占先行配信中。
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