――清野さんが本作を書き始めたきっかけは?

清野:それまでは居酒屋やスナックなどに通いつつ、そこで体験したことを描いていたんですけど、40歳に差し掛かってあまり刺激を感じなくなってきたのと、人と密に付き合うことに疲れてきちゃって、それで「じゃあ心霊スポットに行こうかな」と思ったんです。人間との関わり合いに疲れてしまって(笑)。幽霊だったら別に気を使わなくてもいいし、昔から怪談が好きだったので一石二鳥かなと。そんな深い意味はないです(笑)。

――この実写化のオファーが来てどう思いましたか?

清野:実写化はそもそも期待していなかったし、内容的に不謹慎な部分もあるので・・・。自分が楽しいように描いていたんですけど、今思うと漫画の中で怪談スポット以外にも、パワースポットと言われるような縁起のいい場所にも結構行ってるんですよ。あとボルサリーノ関さんの開運メシをいただいたり、陰陽師の方に運気が上がるお手製のお札を作ってもらったり。そのおかげではからずも、そっち方面の力を証明しちゃったのかなっていう。幽霊がいるかどうかに関しては漫画で100%の答えを出すことはできなかったんですけど、こんな内容の漫画が、こんな豪華なメンバーでテレビ東京さんでドラマ化しちゃったわけじゃないですか。パワースポットにも行っていたおかげかなと(笑)。

杉野:なるほど。じゃあもっとパワースポットメインの漫画を描いていただいて、僕そこに行きます(笑)。

清野:意外とそっち系を描いてる方がたくさんいるんですよね(笑)。誰もやったことがないことをやりたいという思いがあるので、グルメ要素のある怪談系の話はあまりないかなと思って描き始めたきっかけのひとつですね。

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――怪奇酒体験をしてからそのアイデアが浮かぶようになったようですが、それもパワースポットのおかげなんでしょうか?

清野:怪奇酒はおばけとの戦いであり、己との戦いと思っていて。普通だったら率先してしないようなことをあえて進んでやることにより、自分の頭をびっくりさせるんですよ。例えばペットボトルを唐突に蓋が開いてる状態で倒したり。脳で考える前に行動すると脳がびっくりするんですけど、脳がびっくりした分だけ、それまでなかった新たな価値観が得られると思うので、怪奇酒はまさにそういうことなんです。脳トレみたいな。経験することで今まで思い浮かばなかったことがアイデアや表現方法を得られたんじゃないかなと思っています。

――杉野さんは本作の撮影を通してそのように感じたことはありますか?

杉野:そうですね、今お話を伺っていてジェットコースターじゃ駄目だったのかなって(笑)。でも撮影中、確かに途中から生きてることへの実感なのかなと考えるようになりました。

――大城さんはいかがですか?

大城:あ、えっと~いや、もう本当に・・・あの~。

杉野:聞いてなかったでしょ(笑)。

大城:そんなことないです! あの、壮大だったんでね、『怪奇酒』が壮大でどこから喋ろうかと(笑)。いや本当に、お酒を飲むのとおばけを見るというのを掛け合わせたというのは・・・清野さんは天才的な発想をされるなと。

清野:あれ、なんか緊張されてるんですか(笑)?

大城:さっき楽屋ではもっと流暢でしたよね、僕。

清野:はい(笑)。

杉野:(笑)。

大城:勝とうとしちゃダメらしいですね。

杉野:何に?

大城:勝負に。

杉野:何の?

大城:こういう仕事上手くいかせようみたいな。

杉野:今取材中ですよ(笑)。

大城:あ、そっか。

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――大城さんはドラマ初出演ということで撮影中も緊張されていたそうで。

大城:セリフがやっぱり棒読みになってしまって・・・杉野さんやスタッフの皆さんに助けていただきました。

杉野:1話で僕に「これ持っていくといいよ」ってモノを渡してくれるシーンがあって、そこのセリフも一緒に頑張って乗り越えたんですけど、その後に監督から「ちょっと怖い顔して振り返ってください」というオーダーが入ったんです。そこでの表情が面白くて・・・(笑)。僕は大城さんの後ろ姿を見送るというシーンなんですけど、大城さんの先を見るとスタッフの皆さんがモニターを観ながら面白くなっちゃってみんなゲラゲラ笑ってるんです。

大城:あの時は(初めてのドラマ出演で)追い込まれてたので(笑)。びっくりするぐらいで寒い外のロケで、僕の棒読みがNG連発で。

杉野:僕はその時大城さんがどんな表情してるか分からなかったんですけどみんな笑っているの見て笑いそうになっちゃって。「もうやめてよ、大城さん」って思ってました(笑)。その後、監督が大城さんの表情があまりにも漫画っぽすぎるということで普通の顔をしてくれって言ってて、どんな表情だったんだろうと気になってたんですが、後日映像を見せてもらったら本当に漫画のような表情をしていて面白かったです(笑)。ぜひその顔を楽しみにしていただきたいです!

清野:ちなみにチャンスさんが杉野さんにご自身が体験した話をされるシーンがあるんですけど、そこは実体験のお話なので、割といつも通り自然体な感じでしたよね。

杉野:そうですね、ナチュラルでしたね。

清野:そこからの外のそのシーンがね(笑)。

杉野:ギャップがすごかったですよね(笑)。

大城:セリフを追わなくていいって。普段通りにしゃべっていいと言われたんですけど、普段通りが分からんようになりまして。記事にもしていただいてましたが、僕はチャンス大城ですら演じれないのかって。でも楽しかったです! 皆さん良い人で。

清野:僕も初対面でいきなり本編の撮影だったら無理だったかもしれないですね。その前にボルサリーノ関さんの開運メシの撮影があって、それから本格的な撮影が始まったのでまだギリ大丈夫でしたけど。いきなりカメラの前でこんなイケメン俳優さんと演技するのは緊張しちゃって無理ですよ。

杉野:でもラジオのシーンとか面白かったですよね。実際に清野さんとラジオ収録してそれが本編で流れてるんですけど。

清野:あそこで話したことは自分の気持ちそのまんまですからね。あれが最初だったらもう少し早く打ち解けられていたかもしれないですね。最後に撮影したから。

杉野:そうですね!

清野:杉野さんとお話してると気持ちよかったんですよね。気持ちよくさせていただける方だなって楽しかったです。

杉野:本当ですか? 良かったです!

清野:でもやっぱりプロの俳優さんや監督さんの前で演技するというのは緊張がすごくて・・・そこでセリフが飛ぶというのはトラウマですね(笑)。恐怖でしかないです(笑)。

杉野:え、そうなんですか。

清野:でもこれも自分の中では脳をびっくりさせる良い経験だと思ったので楽しくやりました。

杉野:本当ですか、それなら良かったです!

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――後編では、お互いの印象やチャンス大城の不思議体験などを聞いた。

◆放送情報
『東京怪奇酒』
2021年2月19日(金)深夜0:52からテレビ東京ほかで放送開始
動画配信サービス「Paravi」では1週間前に先行配信されている。
さらにチャンス大城、松原タニシら"怪談オールスターズ"によるオンラインイベント(https://www.tv-tokyo.co.jp/kaikizake/event/)も実施される。
(C)「東京怪奇酒」製作委員会