テレビ東京では2月15日(月)20:00からドラマスペシャル『神様のカルテ』が4週連続で放送される。2時間×全4回=8時間という初の試みで放送される本作は、シリーズ累計330万部を超える夏川草介のベストセラー小説が原作。長野県・松本を舞台に、「24時間、365日対応」の地方病院で働く風変わりな医師・栗原が、 患者や恩師との別れ、地方医療の現実を経験し、「良い医者とは何か?」を追い求める軌跡を描くヒューマンドラマだ。テレビ東京ドラマ初出演・初主演となる福士蒼汰ほか、清野菜名、大島優子、北大路欣也がオンライン記者会見に登場。撮影のエピソードやドラマの見どころなどを語ってくれた。

主人公の医師・栗原一止(いちと)を演じた福士は、「原作を読んでまず、こんなにひっ迫した医療の現場が実際にあったということだったので、『あぁ、こんなに大変なんだな』と思いました。でも同時に、医師や看護師さんの柔らかい空気感も一緒に感じたり、家に帰ると奥さんがいて自分を包み込んでくれたり。厳しい環境でも、一人一人、人が人を支えていると感じた作品でした。ドラマ化にあたってもその部分が、ストレートに脚本に書かれていたので、これはすごくやりがいがあるなと感じました」とコメント。

20210215_kamisama_03.jpg

一止の妻・栗原榛名(はるな)、通称・ハルを演じた清野は、「個性的なキャラクターたちに引き込まれていきました。登場人物の言葉が心にすごく響くし、前向きになれます。とても大変な医療現場で、医療技術だけではなく、心から患者さんに寄り添っていく優しさに、私も台本を読んで触れて・・・。本当に涙なしでは見られない作品だなと思いました」と感想を述べた。

20210215_kamisama_04.jpg

病棟主任看護師・東西直美役を演じた大島も、「私も台本を開くたびに、涙をしてしまいました。読むと泣いちゃうので、なかなか手につかなかったです」と告白。「東西だということを考えて読んでみた時、それまで看護師として支える、見守る、救う側のことを私は考えたことがなかったんですが、『そうだよね、看護師さんも人間だよね、感情や想いがあってサポートしているんだよね』ということを初めて実感できました」と演じた手応えも口にしていた。

一止の師匠である医師・板垣源蔵=通称・大狸先生役の北大路は、「今、世界中の皆さんが、医療やケアに携わる方々に感謝の気持ちでいっぱいだと思いますが、私もその一人としてこの作品に参加をさせていただきました。『医師は治療するだけじゃない』という一止の言葉があるんですが、この作品は、人間としての器量が非常に大事なことだという提議をしている気がします」と語り、「第1話を見たんですが、一止を中心に、登場人物それぞれが素晴らしさを奏で合い、プラスプラスになっていって・・・。これはものすごく大事なことだなと思いました。僕も、そのように邁進しなきゃなと思いましたね」と続けた。

役作りについて聞かれると、福士は「今回は非常に難易度が高いというか、医療用語だけでなく、文学的なセリフも多くて、『これは、どうしたものかな』と。字で見ると分かるんですが、耳で聞くだけだと分からない言葉もあって、一個一個、言葉の意味を調べたりしました。それをまくしたてるシーンも結構多くて。感情を込めて、説得力あるように、難しいセリフをしゃべるのが大変で、毎日毎日プレッシャーでした」と吐露。「だけど、周りに支えられて優しさに包まれていたからこそ、僕が栗原一止として現場にいることができたんだなと同時に感じました」と充実した表情も浮かべていた。

清野は、「疲れて帰ってくるイチさん(一止)を、とにかく癒したいという気持ちで撮影をしていました。一方で、ハルは山岳写真家ということで、私もドラマの撮入前に、初心者コースでしたが、実際に山を登ってみたんです。どんな気持ちになるのか想像しながら登ったんですが、大きなカメラを提げて、荷物を背負って歩くというのは本当に大変だったし、最後までそれを成し遂げるのは、かなり強い女性じゃないとできないな、と。そういったタフさがハルにあるからこそ、イチさんを優しく大きく迎えられるのかなと思いました」とコメント。そんなハルに「むちゃくちゃ、癒されました」と言う福士に対し、大島が「私も癒されたい、清野さんに!」とうらやましがり、清野が思わず照れていた。

中盤からは、撮影エピソードが続々と明かされ、キャスト陣の和やかな雰囲気が伝わる会見に。撮影中の共演者とのエピソードを聞かれた福士は、「すごいなと思ったのが、北大路さん。現場が結構寒かったので、体を温めたいな思って、スクワットとか、やっている武術や格闘技の動きをしていたんです。そしたら、北大路さんが『それは何だ?』をおっしゃられて。かかとで蹴る技があったんですが、それを次の撮影日に披露してくださったんです。目の前で見たものを吸収して、それを次の時にやってくださったのでビックリしました!」と明かし、北大路は照れ笑い。練習したのか聞かれると、「悔しくてね、こっそり家でやってました(笑)」と北大路自身も大笑いし、登壇者もほっこりしていた。

20210215_kamisama_07.jpg

一方、清野は福士のオタク気質な一面を暴露。「素数の話とか、脂肪酸の話とか・・・言われても分からなかったんですけど、面白かったです(笑)」と明かされた福士は、「気になったことは調べたいタイプ。栄養について調べていたんですが、掘っていくとまた奥が見えて、もっと良さそうなものに近づいていくんですよ...それが面白くて、知識ってこういう楽しみ方があるんだなと知りました。それと、もともと理系だったので、素数の話とかをしていました(笑)」と。自身のそうした性格が「役柄に近いのかもしれない」とも振り返っていた。

20210215_kamisama_06.jpg

大島も、福士が現場でずっと歌を歌っていたことを暴露。「一回、本当にびっくりしたのが、福士さんが離れたところで歌っていたのを、ノールックで聞いてたんです。そしたら、歌声が近づいてきて・・・パッと顔をあげたら、私に向かって歌ってくれていたんですよ(笑)。福士蒼汰のソロリサイタルを見させていただきました(笑)。でも、福士さん、私を見て歌っていたことに気付いてなかったのか、目が合った瞬間にハッとされていましたね」と明かされ、「・・・ありましたね(笑)」と福士も思い出しながら、「何か、目の前にいたから見ちゃった・・・という動物的なことです(笑)」と話し、後ろを向いて照れていた。

20210215_kamisama_05.jpg

本作には、通称・古狐先生と呼ばれる医師・内藤鴨一役でイッセー尾形も出演。北大路はイッセーとの初共演を振り返り、「古狐と大狸、イッセーさんと僕の人生が、そこで初めて合ったんですが、お互いに興奮というか、うれしい気持ちに。イッセーさんとの最初のシーンは、印象的に残っています」と笑顔を。また、「福士さんとは、半世紀、年が離れているんです。時々、僕の話を黙って聞いていてくれたんですが、よく黙って聞いてくれていたなと思って(笑)」とも明かし、福士は「楽しく聞いていました。話がレジェンド過ぎるんです。『三船(敏郎)さんがね』『勝(新太郎)さんがね』という話をしてくださるので、『これは聞きたい!』と思って聞いていました」と、北大路との会話を振り返った。

また、一止が夏目漱石を敬愛していて古風なしゃべり方をすることにちなみ、キャスト陣のクセやしぐさについての質問も。福士は「清野さんは、体で表現するのがクセ。今日もそうだったんですけど、『元気?』と聞いたら、こう(万歳のポーズ)してくれるんです。(ロケ地の)お城の前で写真を撮った時も、ピースではなく、お城の形をポーズで表現していて、『上手だな』と思いました(笑)」と明かした。大島は、現場で歌を歌っている福士に対し、「同じ曲を繰り返し歌うクセがあるのかもしれないですね」と分析。清野も共演時に福士が歌っていたのが『アナと雪の女王』の歌だったことを明かし、「その日のテーマソングがあるかもしれない(笑)」(大島)と、福士のクセについて大島と清野が共感していた。

さらにタイトルにかけて、自身の神様と思う存在を聞かれ、福士は「パッと思い浮かぶのは父親」と。「自分を背中で育ててくれたと感じるし、父親から学んだことはいっぱいあるなと感じます」と続けた。そんな父親とは似ていると言われるそうで、「しゃべる時の左の手とか、声もそっくり!と言われます。『電話だと分からない』と母親にも言われた」と、プライベートな部分も明かしていた。

20210215_kamisama_02.jpg

そして最後に、福士は「お医者さんの話、患者さんの話ではあるけど、何より"人間"の話だなと思っています。人が人を支えていて、今、存在しているという価値が、このドラマでは感じられるのではないかと思います。小説、映画だけでなく、ドラマのファンにもなってもらえたらうれしいですね。すごくポジティブに背中を明るく明日も頑張ろうという作品になっていると思うので、そういう気持ちになっていただけたら」とアピールし、会見を締めくくった。

ドラマスペシャル『神様のカルテ』初回は、テレビ東京系にて2月15日(月)20:00から放送される。

(取材・文=齊藤恵)

(C)テレビ東京