おじさまと猫の心温まる日々を描いた桜井海による人気コミックを原作とした、草刈正雄主演のドラマ『おじさまと猫』第4話が1月27日に放送された。

ふくまるとおじさま・神田冬樹(草刈)の運命的な出会いのシーンには、実は続きがあった。店員・佐藤(武田玲奈)は「大切なこと、伝えなきゃ」と言い、こう続ける。

「去勢手術のほうもよろしくお願いします」
「手術!?」

うろたえる冬樹に「つまりですね、タマタマをとるんです」とわざわざ補足してくれたが、そこから冬樹の苦悩が始まっていた。

手術をするなんて可哀想・・・というのは、実はどの飼い主も通る道だろう。『はじめての猫 飼い方・育て方』などの本をいろいろ読んでみるが、どこでも猫の去勢や避妊手術を勧めている。佐藤によると、稀に発情しない猫もいるものの、「それにすがるのは無責任かもしれません」。発情してから手に負えなくなって病院に連れてくる人もいること、神経質になったり大声で鳴いたりするのは序の口で、「地獄」なのはオス猫のスプレー行為(おしっこを部屋中に散らすこと)だと教えてくれた。

なかなか恐ろしい話のようだが、「一番可哀想なのは猫ちゃんかも」ともいう。ペットとして過ごす猫にとって行き場のない発情は、かなりのストレスなのだ。

佐藤に手術を早めに受けさせるよう言われたことを思い出しながら、思い詰めた様子の冬樹。そこに職場の同僚たちが声をかける。

「実は手術しなきゃ」と言い、慌てて自分ではなく猫の話だと説明するが、そこで皆、笑ったり茶化したりせずに共感してくれる温かい職場。森山(小関裕太)に至っては「きっと決心できるときがきます」と背中を押してくれる。しかも、手術当日の朝、LINEで激励の詩を送ってくれるのだ。つくづくなんて良い職場なのだろう。

いよいよ手術当日。ご飯をねだられても手術前はあげられないし、キャリーケースに入ってもらうのも、警戒されてしまって一苦労。猫は非常に勘が良い生き物なのだ。

ようやく獣医のところに連れてきたは良いが、今度は冬樹が別れられず、抱きしめて何度もスリスリとほおずりしてしまう。見かねた獣医師も「あと3スリスリだけ、いいでしょう」とやっぱり優しい。

手術時間は1時間程度。まるで大病の手術を待つ人のように落ち着かずウロウロし、思わず時計を見ると「・・・2分!」。まさかの2分!!(ここ、強調したいところ)。「こんなに長い1時間は初めてだ」と嘆く冬樹に、気が遠くなりそうなところ、救世主が現れた。

偶然通りかかった親友・小林(升毅)だ。困っているときにいつでも助けてくれる存在の小林は「俺はお前の心配性なところが心配なんだよ」と言い、笑わせてくれる。トシを重ねてからの親友って本当にありがたいものだ。

そしていよいよ手術後のふくまるとの再会だ。「頑張ったよ」(ふくまる)「頑張ったね」(冬樹)というやりとりが交わされる。今にも泣きだしそうな、なんて優しく愛おしい表情をするのだろう。このやり取りを見ながら、ふと冷静に、ふくまるが芝居上ではぬいぐるみであることを思い出す。役者ってすごいなあと改めて思ってしまう場面だ。

獣医師はふくまるについて「落ち着いていて、良い子でしたよ」と言い、「引き渡しの時にあんなに粘る飼い主さんはあんまりいません(笑)」と付け加える。そして「ふくまるくん、良いお父さんだね」という嬉しい一言も。

一度は通らなければならない苦難の道「去勢手術」を一緒に無事乗り切ったふくまると冬樹の絆は、さらに強まったように見えた。

(文・田幸和歌子/イラスト・月野くみ)

【第5話(2月3日[水]放送)あらすじ】

ふくまる(声:神木隆之介)のおかげもあって、音楽教室の子供達にも大人気の神田(草刈正雄)。レッスン後、森山(小関裕太)と話していると、神田の幼少期の思い出を垣間見ることになる・・・。
そして帰宅途中、小林(升毅)に遭遇し、猫グッズが並ぶ雑貨屋に入ると、すっかり猫好きになった神田は次々と猫グッズを購入する。ところが、ふと目に入ったマグカップから、かつて妻・鈴音(高橋ひとみ)とこの雑貨屋を訪れた時のことを思い出す・・・。

◆番組情報
ドラマParavi『おじさまと猫』
毎週水曜深夜0:58からテレ東で放送中。
動画配信サービス「Paravi」では毎週水曜21時から独占先行配信中。