おじさまと猫の心温まる日々を描いた桜井海による人気コミックを原作とした、草刈正雄主演のドラマ『おじさまと猫』第3話が1月20日に放送された。

「ブサイク」と言われ続け、ペットショップで1歳になろうとしていた猫が、妻を約1年前に亡くしたおじさま(呼び名はパパさん)・神田冬樹(草刈)に飼われ、幸せな生活がスタートした。しかし、冬樹は朝からそわそわした様子でスーツに着替えている。実はこの日は、冬樹の新しい職場への初出勤日だった。

ふくまるが家に来てから初めての長時間外出となることから、ふくまるのご飯を心配したり、「高い所、のぼっちゃダメだよ。降りられなくなったら危ないから」「できるだけ早く帰ってくるから」と言ったり、完全に過保護状態で、一度は「心配で戻ってきちゃった」とまで言う。

ふくまるもふくまるで、これまでケージで一人ぼっちで過ごしてきたのに、一度愛される喜びを知ってしまうと、一人の留守番がたまらなく寂しくなる。単に出勤するだけなのに、まるで今生の別れのように、二階の窓を前足でひっかきながら見送るふくまると、手を振る冬樹。離れたくないがために、仕事に行きたくないと思わせるなんて、ふくまる、なかなかのダメンズである。

しかし、これは猫飼いにとっては案外「あるある」だ。なぜなら、猫が布団に入っているだけで起きるのがもったいない、猫が寂しそうにするから仕事に行きたくないという気持ちになるのは珍しくないから。猫はつくづく人をダメにする魅力の生き物だと思う。

出勤前にふくまるのいたペットショップに立ち寄り、店員・佐藤(武田玲奈)に名前が決まったことや、ふくまるの様子を伝える律儀な冬樹。

実は冬樹は世界的に有名なピアニストにもかかわらず、子どもたちの音楽教室で教えることになった。そのため、教室の同僚たちは皆、ソワソワ。バンドマンでもある男性職員・森山(小関裕太)も冬樹のことを知らないながらもその佇まいに「イケメンだー!」「しかもすげぇ紳士・・・」と盛り上がっている。

そんな周りの反応をよそに、冬樹は仕事中もふくまるのことで頭がいっぱいで、スマホでふくまるの画像を見つめながら「ごはん食べたかなあ」などと心配している。一方、その頃、ふくまるは留守番として奮闘していた。

「侵入者、発見にゃ!」と震えながら睨みをきかせた相手は、鏡にうつる自分であった。一人で留守番しているときの猫の様子が気になったり、その様子をこっそり見てみたいと思ったりする愛猫家の気持ちを、本当によく理解した作品である。

そうこうするうち、ようやく勤務が終了。そこに「歓迎会」という魔の手が迫ってくるが、きちんと断ったうえ、理由として「大切な人との約束がある」「約束の相手」として、同僚たちにふくまるの画像を見せる冬樹。これは結果的に大正解だ。変にごまかさず、自身の「弱点」(ふくまる)をさらけ出すことで、同僚たちとの距離も一気に近づき、良いことずくめである。

そして、出勤してきただけなのに、冬樹が帰宅するとまるで久しぶりの再会であるかのような喜びを見せる一人と一匹と、ピアノを弾く冬樹、冬樹が見つめるピアノに嫉妬して鍵盤の上に転がるふくまるという姿が描かれる。

当たり前の日常も、一つの出会いによって色づいてくるのだから、これはまるで恋のようで、深い深い愛である。

(文・田幸和歌子/イラスト・月野くみ)

【第4話(1月27日[水]放送)あらすじ】

もうすぐ1歳になるふくまる(声:神木隆之介)。神田(草刈正雄)はペットショップの店員・佐藤(武田玲奈)から早めの去勢手術を勧められていた。どの本を読んでも手術すべきだと書かれていたが、ふくまるに万が一のことがあったらと想像すると、不安でたまらない。周囲にも相談しながら、神田は意を決して去勢に踏み切る決断をする。 病院へ連れて行くと、診察台で怯えるふくまる。神田はふくまるを安心させるために言葉を重ね、獣医にふくまるを託すが・・・。

◆番組情報
ドラマParavi『おじさまと猫』
毎週水曜深夜0:58からテレ東で放送中。
動画配信サービス「Paravi」では毎週水曜21時から独占先行配信中。