テレビを観て、こんなにも笑ったのは久しぶりだった。3年のブランクを経て、ついに帰ってきたドラマ24『バイプレイヤーズ~名脇役の森の100日間~』(テレビ東京系/毎週金曜深夜0:12~)。

観る人をほのぼのと幸せにしてくれたおじさんたちは、3年経っても、まったく変わっていなかった。むしろこんなしんどい世の中だからこそ、ドラマを観て「くっだらね〜」とお腹を抱えて笑えることが、どんなに尊いことなのか、改めて再発見するような第1話だった。

名脇役の森で生き残りをかけたバトルが勃発!

シェアハウスで生活したり。無人島に遭難したり。シリーズごとに設定を変えながら、視聴者を楽しませてくれた『バイプレイヤーズ』。今度の舞台は、郊外の撮影所・バイプレウッドだ。昨今の社会情勢により、都内のスタジオがどこも埋まっていて使えなくなったため、民放各局がこぞってバイプレウッドに集結。各ドラマの制作チームが時に火花を散らしながら撮影に臨む様子をコミカルに描いていく・・・というのが、シーズン3の大まかなストーリー。

第1話でスポットが当たったのは、テレ東による新ドラマ『チーム7』。主役を演じるはずだった役所広司さんがスケジュールの都合で急遽降板。残されたメインキャストが、若手チーム(柄本時生、志田未来、杉野遥亮)とベテランチーム(勝村政信、渡辺いっけい、近藤芳正)に分かれて、主役の座をめぐり、バカバカしくも本気のバトルを巻き起こす。

もうとにかく次々と飛び交うネタがくだらなくっていとおしい! 主役争いを制すべく、若手チームがイマドキ若者系でキャラづけすれば、ベテランチームはヨボヨボの老人メイクで応戦。勝村さんとか息しか吐いてないよ! 言われなきゃ勝村さんだって気づかないよ!

バトルはどんどん激化して、若者チームが『古畑◯三郎』『ス◯バン刑事』『◯る大捜査線』VSベテランチームが『相◯』『刑事コロ◯ボ』『太陽に◯えろ!』のコスプレで対決。思わずスタッフに「これは放送できないですね、いくらテレビ東京でも・・・」とか言われてる。近藤芳正さんが高いところから紅茶を注ぎながらくるっとターンをするのとか、いい感じに遊びが効いてて思わず何回も観ちゃいます。

そもそもこの『バイプレイヤーズ』シリーズの面白さは、俳優が本人役として出演しているところ。いくら本人役といっても、あくまでフィクションの世界ではあるんだけど、キャラ設定が絶妙にその人っぽいのがツボ。

柄本時生さんの「役者一家で先輩に余計なこと言いがち」とか、柄本さんご本人のことはまったく知らないけど、なんとなく「っぽい・・・(笑)」と思ってしまうし、「芝居のために戸籍以外なら捨てられる」志田未来さんが「もしもっとダルそうにとかだったら言ってください。本番前に歯抜いて断食してきますんで」ってがっつくのとか前のめりすぎて笑ってしまう。

そして、そんなベテランチームと若手チームにはさまれながら、最後は漁夫の利を狙いに行く濱田岳さんのしたたかなのび太くん感が、本当全然濱田岳さんの素なんて存じ上げないのですが、めちゃくちゃ"濱田岳"っぽい。最後にみんなに囲まれてクルクル回されているところも"濱田岳"らしいイジられ感が出ているし、さりげなく積極的に回しているのが勝村さんっていうところも、勝村さんのキャラクターが見えるよう。

だから、フィクションだとわかっていても、なんだか撮影現場の裏側を見ている気持ちになるし、出てくる俳優さんたちに他の作品よりもずっと親しみを感じてしまうのです。

何でもアリの世界観に、出演者たちのアドリブが火を噴く!

そんなテレ東十八番のモキュメンタリー(フィクションをドキュメンタリーのように見せる演出手法)の代表格である『バイプレイヤーズ』。すっかりテレ東のお家芸となった「テレ東イジり」もたっぷり放り込まれています。

柄本さんが「テレ東だから視聴率気にしなくていいしね」と言えば、高視聴率を祝しての社長賞はバナナだし、社長賞がバナナであることにショックを受けた松重豊さんが「『釣りバカ』も?」と仕掛ければ、濱田さんが「『孤独』は?」と言い返す出演作イジりが炸裂。しかも監督の松居大悟さんのインタビューによると、これは台本にはない台詞で、松重さんと濱田さんが現場で勝手にやりだしたものなのだとか。そんな軽妙な笑いのセンスも名バイプレイヤーと呼ばれる所以です。

シーズン1、シーズン2ではメインのおじさんたちが話の中心でしたが、第1話を観る限り、シーズン3では各ドラマチームの出演者たちがメインとなって、それに遠藤憲一さん、田口トモロヲさん、松重さん、光石研さんのおなじみメンバーが関わることで、さらにドタバタが起きたり、問題が解決するという流れになりそう。

次回は、思わず低視聴率に喘ぐ6チャン日曜9時の看板番組『大合併』が巻き返しを図って奮闘する物語に。どう見ても、TBSのあの超人気ドラマをパロっているとしか思えない『大合併』。だけど、何をやっても、きっとテレ東だから許してもらえることでしょう。

緊急事態宣言が再び発令され、なんとなく気持ちが重いなという方、ぜひ『バイプレイヤーズ』を観てください。目の前の問題は何も解決しないけれど、まあ明日も笑って楽しく生きしていこうかと、ちょっとだけ気持ちが明るくなる、そんなエンタメがここにあります。

追伸、それにしてもこの番組、役所広司さんのこと好きすぎません・・・?

(文・横川良明/イラスト・まつもとりえこ)

【第2話(1月15日[金]放送)あらすじ】
視聴率1位となり、バイプレウッドに大波乱を巻き起こした7チャンの「チーム7」まさかの展開に民放各局の視聴率競争がヒートアップ。その影響を一番に受けたのは6チャン日曜9時の銀行ドラマ「大合併」。向井理を主演に、地方銀行の合併をめぐる物語だが、視聴率最下位にまで転落!現場は最悪の状況に・・・。そこで主演の向井に"決め台詞"をつけてドラマをバズらせる作戦を決行!しかしこの作戦が誰も予想できなかった結末に・・・!?

◆放送情報
ドラマ24『バイプレイヤーズ~名脇役の森の100日間~』
毎週金曜深夜0:12からテレビ東京ほかで放送
※テレビ大阪のみ翌週月曜深夜0:12から放送
地上波放送後には動画配信サービス「Paravi」でも配信。
第1シリーズ、第2シリーズも全話配信中。