――今回、神木さんが演じる"ふくまる"は、どういった役どころでしょうか?
ふくまるは、ペットショップで売れ残っていて、ずっと孤独を味わっている子なんです。周りの猫たちの方が先に選ばれるんですけど、自分だけが取り残されて。こんな自分なんて愛されないのかな・・・って自信を失っているんです。それが草刈さん演じるパパさんに拾われて、彼の中で、孤独とか寂しさとか、冷たくなっていた心が、パパさんやパパさんの周りの人たちの愛情によってゆっくりじんわりと溶けていく。描写やセリフとか全てが、心温まるストーリーになっています。そうやって彼が愛情に触れ、外の世界と出会って成長していくという役どころです。
――最初は卑屈だけど、愛情を受けて変化していく。それを声で表現する難しさや気を付けて演じたという点は?
監督から「やさぐれたような感じで」というご指示をいただいていたので、最初はやさぐれた感じを意識してました。そこから、ちょっとずつかわいらしくなっていったり、やわらかくなっていったり・・・言い方も優しくなったり、徐々に変化していくように演じました。やっぱり最初は警戒心があるじゃないですか。拾ってもらって嬉しいし、自分にも居場所が出来たという喜びもある。でも新しい世界に行くことに対して不安があるし、その世界をいつでも失っていいような、「失うんだろうな」と思っているような子だったので・・・。それが途中から「失いたくないな」という思いに変わっていく。まだ的確ではないと思いますが、おじさまとの会話のリズムなどで表現していきました。
――これまでいろんな声のお芝居をされていますが、難しさでいうと、今回の難易度は10段階中でいくつくらいでしょうか?
それはもう、10段階中10です! Maxでした(笑)。アニメの方は声優の釘宮(理恵)さんがされていたんですが、釘宮さんは僕達アニメファンからすると、"かわいい"の体現者のような方なので。そんな方がふくまるの声をされていたので・・・僕が演じることで性別も変わって、トーンも全然違いますから、最初のうちは凄く不安でした。僕の声だからといって男っぽくするのも違いますし・・・やっぱりふくまるをかわいくて愛おしいキャラクターにしたかったので、そのためにはどんなトーンで喋ったらいいのかな、どんな風に喋ったらいいのかなとすごく工夫をしました。ある程度はこの方向性だなって決まるまでは難しかったです。
後は、"にゃん語"というか(笑)、猫語がいっぱいありまして。例えば、「~なのに?」というのが、全部「にゃにょに?」ってなるんです(笑)。全部が"にゃ"から始まるので、滑舌に苦労しました。いたるところで、"にゃ"と、"にょ"と、普通の言葉が混ざっているので、その切り替えが難しかったです。苦労しましたが、すごく楽しくやらせていただきました!
――パパさんを演じられている草刈さんと共演されてみていかがでしたか?
僕はほぼ、画面越しでしかお会いできてないんですけど、いつ見てもすごく紳士的な方だなと。本当におじさまのキャラクターそのままで、上品で、"おじさま"という言葉が似合う方だと思いました。
撮影が始まってから、2、3日遅れで僕も入って、少し不安だったんですけど、ふくまると草刈さんが初めて出会うシーンの撮影で、第一声を発したら草刈さんが「素晴らしい」って喜んでくださったんです。「かわいいよ! ほんとに」って。そう褒めていただいている最中も僕はずっとふくまるの声を録っていたんですけど(笑)、ずっと褒めてくださってて。その草刈さんのリアクションを見て「僕はふくまるという役をやらせてもらっていいんだ」「この方向性で間違ってないんだ」という確信を持てて、不安が解消されました。それからは自信を持って、毎回ふくまるを演じられるようになりました。
――実写ならではのふくまるの表現方法や、見どころはいかがでしょうか。
ふくまる自身や、心の中を表現するというのは、ほんとの動物では出来ないこともあるので。実写版だと、表情もちゃんと変わりますし、動きも感情とリンクしていて。動物の気持ちというのを凄く分かりやすく、でもどこかしら夢のあるような表現になっているんです。「うちの子もこう思ってるんだ」とか「思っててほしいな」というような。そういうことを感じられるようになっていると思います。
――動物のことをよく知っている方がふくまるを動かしているのでしょうか?
某子供番組も担当していた方らしく、僕もずっと見ていた番組だったので凄いなと! 細かい動きなどが本当にリアルで、とても苦労して動かしてらっしゃるんだと思うのですが、さすがプロの方だなと思いました。動物というのことも、キャラクターだということも忘れずに、だけど伝わりやすく、完全に動物ではなく、人間にも通じるものを醸し出しているというのが凄い方たちだなと改めて思いました。
――今回のドラマは凄くハートフルで癒しを得られると思うのですが、神木さんが最近癒された、ほっこりしたというエピソードはありますか?
中学1年の姪が「大丈夫?体調崩してない?」と連絡くれたことですね。「あー気づいてもらえてるんだなと。」ちょっと、口が悪くて生意気なんですけど(笑)。僕には年下の兄弟がいないので年下とどう接していいかわからなくて、甘やかしたりはしないので、どちらかというと好かれてないんだろうなと思うんですけど、ことあるごとに「りゅう大丈夫?」とか「地震大きいのあったけど大丈夫?」とか心配してくれて。凄くいい奴なんです(笑)。いい子ではなくていい奴(笑)。凄く嬉しいんですよね。僕も、「おーサンキューな」って返したり。そういうやりとりにほっこりします。
――では最後に、特に好きなシーンや、見て欲しいシーンなど、見どころを教えてください。
おじさまの家に初めて来て、ふくまるがカリカリ(ドッグフード)を食べる場面があるんですけど、そこで「すごく美味しい」と感じるんです。でも彼は知ってるんです、いつものカリカリだと。だけどおじさまの愛情に嬉しさを感じて、最高に美味しいと思うんですよね。その後に、彼はもっとくれとせびるんです。ほどよくあざとくて、猫らしくて、そういう動物らしいシーンが好きです。凄くかわいらしいシーンになっていて、甘い声を出してるはずなので、是非見て欲しいです!
◆番組情報
2020年1月6日(水)スタート
ドラマParavi『おじさまと猫』
毎週水曜深夜0:58からテレ東で放送開始。
動画配信サービス「Paravi」では毎週水曜21時から独占先行配信中。
(C)テレビ東京
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