番組では、『R-1ぐらんぷり2020』『キングオブコント2020』『女芸人No.1決定戦 THE W 2020』『M-1グランプリ2020』という主な4つのお笑い賞レースについてざっくり、そして約1時間深く語られた。
まず最初に、『M-1グランプリ』でも優勝を果たしたマヂカルラブリー・野田クリスタルが栄光の座を手にした『R-1ぐらんぷり』について語り合うことに。それぞれが印象に残った芸人に語る中、すゑひろがりず・南條庄助のネタを振り返り塙から「(ネタの最初に設定を)説明しないのが良いのか?悪いのか?」という議題が投げかけられ"大会でネタをする"ことについての持論が展開されていくことに。
塙はバカリズムの説明をせずに粛々と展開されるフリップネタ「トツギーノ」のネタを引き合いに出し、説明しすぎるのはよくないんじゃないのかと熱弁。とある芸人はあまりにも説明しすぎだったと、「3分~4分しかない中でやるのはもったいない。それを気にしすぎて、あまり面識ないのに急に楽屋に行っていったことがある」と驚きの事実を明かした。そんな塙の意見に田中も共感し、自身が審査員を務めた『THE W』でゆりやんレトリィバァのネタにも同じことを思い、現場でアドバイスをしたんだとか。
一方、佐藤は「劇場でネタをどれだけかけたかで変わってくると思う」と言い、ファイナリスト全組のネタに注目が集まる大会と、目的を持って観に来たお客さんの多い劇場ではその姿勢が変わってくると語る。そして、「本当は説明せずに入って、一発目がドンと来れば理想だけど、来ない可能性があれば・・・」と説明しすぎてしまうことの理解を示した。その意見に塙らもうなずきつつ、「(意見が)割れますね!」と初っ端からの熱い議論に楽しそうな表情を見せた。
また、『キングオブコント2020』の話題では、空気階段が披露した"占い師"のようにキャラクター性の強いネタが増えてきていることなどについて触れ、佐藤は「ボケの数が多いわけじゃないけど、その次が見たいっていう気持ちに・・・」と近年のネタの面白さを語り、「ニューヨークの一本目が良い。積み重ね芸でしょ。みんなの想像より行ったじゃん、それが上手いコンビだなって。『そこまでやんのかよ!』って」と評価した。
そして、田中の「ドリルの時の嶋佐の顔が良い、普通の人がやってもああはならない」という話から、"キモかわ"芸人として活躍していた田中だからこそ分かる、ネタの中で"気持ち悪い"キャラクターを演じる際に気を付けるべきことなどが語られた。
生配信では、プロの芸人から届いたネタのお悩み相談に応えるコーナーも。パーパーのほしのディスコからは、ネタを作る際に最初から大会の既定の時間内でネタを仕上げるのかどうかという質問が飛び、そこで佐藤から2009年に優勝を果たした『M-1グランプリ』で披露したネタの裏話が明かされることに。
2009年は『M-1』に照準を合わせて舞台に立っていたと言い、ひとつのネタを何度もし披露し精度を上げていくため、最初の1分から1分半は設定に準じたボケなどを展開し、後半はどの位ほとんど同じボケを展開するという"システム"を作り上げていったという。
佐藤は『M-1』のことを研究し、「センス多い奴が多すぎて勝てないのよ!『M-1』はセンスというより漫才競技、競技なら攻略法がある」という意識で取り組んだと言い、そんなパンクブーブーの姿勢に塙は「ソフトバンクみたいな戦い方。聞いたことねぇな」と感嘆していた。
そこから『M-1』のことについても熱く語られることに。大会後話題になっていた"マヂカルラブリーのネタは漫才だったのか"という議論が話題になったが、佐藤は「なんで!?漫才中の漫才じゃん!」と熱い想いを爆発させ、「振りがあってボケて突っ込んで、台本で見たらきっと綺麗な王道の漫才」とマヂカルラブリーのネタ構成を評した。
田中は「あのスタイルで優勝したことも話題になったよね」と語り出し、「審査員の中でしゃべくりを重要視する人もいて、ファイナルには残っても最終的な優勝を取りにくい構成になっていると思うけど、その中で3票を取って、他の組に2票ずつ入って優勝したというのは価値があると思う」とコメントした。
一般視聴者が増えてきたのもこの議論の一因という話の流れで、審査員として出演していた塙はフィギュアスケートの審査に置き換えて持論を展開。「視聴者投票だけでも良いんじゃないかという声もあるよね。あるコンビでは一般の方から見るともっと点数高くても、というのがあるけど、例えば僕たちは"もっとジャンプ高く飛んでほしい"とかいうのがある」と、芸人目線での審査の仕方について色々と語った。
審査の話では、佐藤が「(『M-1』での)不満は塙君の点数の付け方くらいかなぁ」といじると、塙が「やめてください!へこんでるんですよ。寝れない時もあるんだから(笑)」とタジタジになり、佐藤に対して「(審査員)やって下さいよ!」と投げるも佐藤は「家で観るのが最高!」と返答。そんな佐藤の態度に塙から「俺も家で観たい!1年目は楽しかったんだけどなぁ(笑)」と思わず軽い本音も飛び出していた。
生配信では他にも「(視聴者の方は)面白くないところを探そうとしてる、面白いところを探してよ」などの芸人としての叫びが明かされたり、それぞれの大会で印象に残ったネタの凄さ、賞レースでネタを披露する際の心持など、芸人ファンには興味深いさまざまな議論が交わされた。
『土曜ワイドラジオTOKYOナイツのちゃきちゃき大放送presentsナイツ塙のネタ座談会~今年のネタは今年のうちに~』は、Paraviでアーカイブ配信中。生配信の後に行われたアフタートークの模様も後日観ることが出来る。
- 1