新谷(仲野太賀)とのデートで告白の返事をするはずだった樹木(森七菜)。だが、その場に浅羽(中村倫也)が現れ、「君が必要だ」と一言。樹木の気持ちはどうなるのか・・・ちょ~~~気になる第9話ラストからのTBS系火曜ドラマ『この恋あたためますか』の最終回・第10話が、12月22日に放送された。

新谷にも浅羽にも答えを伝えられず、そのまま自宅に帰った樹木は、ルームメイトのスー(古川琴音)に今日あったことを報告。浅羽の行動に「デレカシーがなさすぎ!」と怒りながらも、樹木の気持ちは確実に揺れ動いていた。

感情がぐちゃぐちゃな樹木、新谷、浅羽だが、そんな中、本社に戻ることになった浅羽のお別れパーティーをするため、樹木の家にスーが上目黒店の仲間や浅羽を連れてくる。急な展開にあせる樹木だが、パーティーの終盤でとあることをきっかけに、浅羽が樹木を押し倒してしまう。ドキドキする展開なのだが、現場を酔って寝ていたはずの店長(飯塚悟志/東京03)らにしっかり見られてしまい・・・。この時は何もなかった2人だが、ここからは、いっぱいありまくり(きゃ~!)の展開に。

自分の気持ちを整理した樹木は、話があると言って新谷を連れ出す。だが、返事をしようとするもなかなか言い出せない樹木を見て、新谷は「拓兄(浅羽)とクリスマス過ごしたい。そう言おうとしたんだよね」と口火を切る。これまでも、そして今も変わらない新谷の優しさや気持ちを思って何も言えず、ただうつむくだけの樹木。そんな樹木の心情をすぐに感知し、自分が振られるだろうと分かっていても樹木の本当の気持ちに向かい合おうとする新谷。2人の心情は計り知れないが、これまでのたくさんの想いが詰まった場面に、見ている方も胸を締め付けられた。

「・・・ごめん。私、社長が好きです。だから、ごめんなさい」と涙を流しながら頭を下げる樹木を見て、心にぽっかり穴の開いたような様子の新谷だったが、意を決し自分の涙を拭いて「拓兄のところに行きな(中略)樹木ちゃんの幸せが、俺の幸せだから」とにっこり笑いかける。どこまでいい人なの~と、新谷の男前度・爆上がり! あんなに樹木が好きだった新谷を思うと切なすぎるが、新谷の、いつもと変わらない"いい人"具合に、どこか救われるような気持ちも覚えた。

本社にて、樹木がクリスマスも甘いものも嫌いになっていた自分のためにクリスマスケーキを開発していることを知った浅羽は、すぐさま電話をかけて樹木に会いに行く。運命的に出会ったり、出会えなかったりしてきた樹木と浅羽だが、ようやくお互いの想いが通じ合い始めた。樹木を抱き寄せ「好きだ」という浅羽。すると樹木は「社長。私の方が100万倍、社長のことが好きだよ。(中略)社長が好きになる前からずっと!」と改めて告白。「もっかい言って」と好きのおかわりをせがむ浅羽に、樹木がキスをして応える・・・超~極甘な展開!!! ようやくハッピーな笑顔がこぼれるアツアツの2人に、しっかり心が"あたため"られた。

一方、へこむ新谷を、応援してきた店長や碓井(一ノ瀬颯)がカラオケ店でフォロー。樹木にカッコつけて言った「拓兄のところに行きな」というセリフを「もっかいお願い」と店長がせがんで言わせるくだりが、樹木と浅羽のシーンとの"てんどん"になっていて、切なくも・・・もう可笑しさのほうが勝ってしまう(笑)。

新谷の失恋話を肴にしつつも、店長は「井上さんも幸せだよね、まこっちゃん(新谷)みたいな人に愛されてさ」とフォロー。すると新谷は「感謝ですよ。(中略)俺の方こそ樹木ちゃんに会えて。これ以上の恋はできないと思います。それぐらい樹木ちゃんのことが・・・大好きでした」と涙。

「その胸の痛み、誇りに思いな」という店長の優しい言葉でさらに涙があふれる新谷。店長が予約した失恋ソングの「M」を新谷が歌うオチ(笑)も含め、どこまでもコミカルで、切なくもほっこりさせられるシーンだった。

浅羽が起こしたコンビニカー事業は順調で、古巣の上司や「ココエブリィ」の株主の後押しで、海外進出することに。樹木、新谷、里保が開発をがんばってきた「アップリン」も無事発売。取材を受ける里保と新谷が今後のスイーツ開発について聞かれ、里保は浅羽がくれたチャンスに応えようと意気込みを語り、新谷は浅羽への感謝を口にする。取材後、浅羽とのわだかまりが吹っ切れた新谷が言う「おかえり」、それに「ただいま」と答える浅羽のやりとりが、とてもすがすがしかった。

樹木は来年に向けてのクリスマスケーキの試作を急ぎ、イヴに浅羽にそのケーキプレゼントしようと開発に精を出す。浅羽の家のツリーの飾りつけをしながら、樹木はクリスマスが嫌いだと言っていた浅羽に「今年は楽しくしようね」と優しく声をかける。「(サンタさんに)叶えてもらおう」となぜか七夕のようにツリーに短冊をかける樹木と、それは本来のクリスマスではないと楽しそうに否定する浅羽の甘いやりとりがここでも。あま~い! だが浅羽は海外出張でイヴは日本にいられないことが発覚。

上海に出張した浅羽のLINEを見て、「仕事バカ」とつぶやきながらも、心とは裏腹に「がんばれ」というスタンプをおくる樹木。浅羽のためのクリスマスケーキも完成し、いよいよクリスマスイヴの夜を迎える。1人、上目黒店に立ち寄った樹木。浅羽から送られた「上海、寒い」というLINEのメッセージと一緒に、しっかりおいしそうなカニの写真も添えられていて、妙にジワる(笑)。

実家の洋菓子店を手伝う"シングルベル"な新谷を気にして、里保姉御が手伝いにくるのも優しくて、神子(山本耕史)の告白を受け、神子とその娘の共に一岡(市川実日子)が過ごす時間もあたたかい。ゆえに、上目黒店の店先で1人寂しそうな樹木が際立つが・・・。

そこへ、まさかの浅羽が登場! 上海への商談をまとめて急きょ帰ってきた浅羽を前に、うれしさがダダ洩れの樹木。自分をイヴにひとりぼっちにさせたことへの恨み節が止まらない樹木に、浅羽がキス! ため息が出そうなほど胸キュン過ぎる展開に、樹木も思わず「ズルい(照)」と顔を緩ませていて・・・。はぁ~、何と幸せそうなことか!

温泉旅行では樹木に贈ったスノードームを返された浅羽が、「改めて、君に贈りたい。今度は返させないから」ともう1度スノードームをプレゼント。これまでのストーリーが思い起こされて、何とも幸せな気分にさせられる。

一方、樹木のインスタに、コンビニスイーツ以外に、新谷が樹木のために作ったケーキもしっかりとアップされていて・・・。傷心の新谷も救われるような展開にもホッとさせられた。

スーは漫画家になる夢を叶えるチャンスを掴み、ツリーに願い事の短冊をつるした樹木が、「ほらほら、願い事、叶ったしょ」と浅羽にドヤ顔を。そんな樹木に、めずらしく浅羽も賛同。「それから、もう1つの願い事も」と言いかけ、浅羽がクリスマスと甘いものを好きになりますようにという樹木の願いに対しても、「すごく好きになった」と応える。その笑顔が何と幸せそうなことか!

上目黒店で樹木が作ったクリスマスケーキをほおばりながら、今年のクリスマスも、来年のクリスマスにもワクワクする2人。樹木はインスタに"今年はいろんなことがありました。甘いものは、人を幸せにします。"とメッセージを投稿。自分がありのままでいられる人、大好きな人と過ごすことの幸せを、何気ない会話で描いたラストだった。

最終回は、登場人物たちの笑顔で見る人の心をあたためてくれる回に。2020年、激動の年だったからこそ、作り手の願いを込めたメッセージが心にしみる。スノードームやクリスマスケーキ、インスタなど、これまでの物語で登場した何気ないものが、最終回でも期待以上の感動を! それぞれのハッピーエンドを描き切った脚本が素晴らしい。そして、心の機微を繊細に演じたキャスト陣の芝居や演出も見事で、見ていてこんなにも心を動かされるのかと毎回思わずにいられなかった。

「誰とクリスマス過ごしたい?」という問いかけは、見る人それぞれの大事な人を気付かせてくれたことだろう。そして、それは自分だけでなく、「誰かを幸せにしたい」という想いとともに描かれていて、改めて、人のあたたかさやありがたみ、一人一人が持つ熱量も感じられる物語となっていた。

いつもハイテンションだけど何かといい人な店長と、お客さん・ゆり子(佐野ひなこ)の関係も気になるところ。Paraviの「その恋もう少しあたためますか」も、ぜひチェックを。そして、すっかり恋があたたまった樹木と浅羽が、来年もどんなクリスマスを過ごすのか・・・気は早いが、この先の幸せへの期待感も残してくれた、後味のいいドラマだった。

(文・小松加奈/イラスト・まつもとりえこ)

◆番組情報
『この恋あたためますか』
動画配信サービス「Paravi」で全話配信中。
Paraviオリジナルストーリー『その恋もう少しあたためますか』も独占配信中。