山里亮太の短編小説を原作とし、主人公・山里亮太役を仲野太賀が演じるテレビ東京の『あのコの夢を見たんです。』の最終話である第12話「リアル?」が、12月18日に放送された。今回のヒロインは橋本愛。野村有志と大久明子の共同脚本、演出・監督が大九明子。大久明子×橋本愛といえば、のん主演の映画『私をくいとめて』(2020年)のコンビだし、仲野太賀×橋本愛と言えば『桐島、部活やめるってよ』(2012年)コンビという、ラストにふさわしい布陣だ。

冒頭でのお約束の喫茶店シーンでは、山里(仲野)が泣いていて、「このノートの前で泣いたのは、あの時以来だった」「嫌なことがあるたびノートに逃げるようになったのはあの頃からだ。空気のような存在の僕が自由でいられたのはいつも、ノートの中だけだった」と語られる。そう、これは全ての「原点」の物語なのだ。

今回も妄想では、教室に橋本愛をはじめとしたクラスの "一軍"たちが集っていて、山里は隅で一人座り、ノートと向き合っているといういつもの光景が描かれる。みんなのマドンナ・橋本愛が主役の演し物をやったら盛り上がるという彼らの会話に、心の中で同意しつつ、つい声を立てて不気味に笑ってしまい、注目され、逃げ出す山里。妄想の中の山里は図書室で「妄想ノート」に、自分がお芝居の脚本を書き、主役は橋本、自分は相手役と提案、それをみんなに受け入れられる展開を描いている。

「女船長のアイと腕利きガンマン亮太が仲間と共に広大な宇宙を所狭しと暴れまわる宇宙海賊団の物語だ」という。

妄想の世界に没入する山里。すると、赤いメガネ姿の橋本がやってきて、帰る山里に声をかける。あれ? ちょっと雰囲気が違う?

と思ったら、翌日、妄想ノートにはなぜか続きが書き足されていた。身に覚えがないが、自分の字である。不思議に思いつつ、お昼の特等席・階段という聖域で、いちゃつくカップルに苛立ちながらも、妄想を続ける山里。

教室に戻ると、窓辺にいた橋本が語り掛けてくる。

「ねえ、どうするの、私と一緒に戦ってくれないの?」

山里のカバンから妄想ノートを取り出す橋本。
教室の一軍男子たちは「うちのクラスにはお荷物が二つ」「可愛いから、自分は特別だと思ってるわけ?」と言い、教室の隅に目をやる。そこにいたのは、メガネ姿の橋本だった。
教室の隅で俯く回想シーンの橋本と、目の前で涙を流す橋本の姿が重なり合う。実は橋本は山里と同じ、階段で一人お昼を食べる「ぼっち」キャラで、"クラスの花形としての彼女"の姿は山里の妄想だったのだ。

共に涙を流し、一緒に妄想に走る二人。女船長アイは言う。「私たちが世界を救うのよ!」
それに対し「君はともかく、僕は君が言うような特別な存在じゃないんだ」と言う山里に「特別じゃないヤツなんているか!」、アイの怒号が響きわたる。

「戦う場所に立てたらそれだけで特別なんだ。立ち上がれたら、それだけでも特別なんだ。勝手に卑下するな!」

橋本愛の情熱に満ちた怒号は、なんて気持ちが良いんだろう。

「言ったでしょ、亮太。あなたは特別だって。足りなかったのは踏み出す勇気だけ。我と共に戦おう!」

そこから背中合わせで銃を構える二人のキラキラの笑顔。西日の差しこむ図書室で全力妄想コラボする2人がめちゃくちゃにハジけていて、たまらなく多幸感に満ちていて、ちょっと泣きそうな気分になる。

暴れまくり、爆笑し、充足感に包まれた二人が床に倒れ込むと、橋本が手を差し伸べて言う。
「ありがとう」

目覚めると、目の前にあったのは赤いメガネ。そうか、山里のトレードマークの赤いメガネって、そもそも山里の最初の妄想相手であるあのコから来ていたのか・・・。

すべての始まりが描かれた第12話は、最後にして、最高の妄想だった。

(文・田幸和歌子/イラスト・まつもとりえこ)

◆番組情報
ドラマ24 第60弾特別企画『あのコの夢を見たんです。』
動画配信サービス「Paravi(パラビ)」で全話配信中。