――配信が決定した時の心境をお聞かせください。

ラジオのスタッフと雑談で「そういう企画があればねー」と話したことはあったのですが、いざ実現して「本当にやるんだ!」と驚きました(笑)

――番組の構想は、いつ頃からあったのでしょうか?

僕だけでなく、お笑い芸人は『M-1グランプリ』『キングオブコント』とかの賞レース後に、皆でネタについて話すのが好きなんです。ネタを作っている芸人は特にですね。だから、ナイツで話してもあんまり盛り上がらないんですよ。土屋が全然分からないから(笑)。

――ゲストは田中卓志さん(アンガールズ)、佐藤哲夫(パンクブーブー)さんですよね。

僕が漫才で、田中さんがコントの人で、哲夫さんが両方できる方なので。この3人で話せば面白いものができるのでは、と今から期待しています。

――どんな内容になるのでしょうか。

分析になっちゃうかもしれませんが、1つのネタについて「こう思った」「こうしたらもっと面白いんじゃないか」とか話したいですね。というのも、ネタの面白さって賞レースに出ている当人が、一番分からなくなるものなんです。僕らもM-1には3回出ているんですが、今になって見返すと「もっと面白いのはこっちだったなあ」「なんでこうしなかったんだろう」って思います。そのほか、賞レースのルール作りについてもディスカッションできたらいいですね。

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――賞レースで"絶対にウケる"ネタはあるんでしょうか?

それはやってみないと分からないですよ。決勝まで来ているということは、ネタ自体は成功してる。後は出すネタが、当日の空気に合っているかどうかだけなので。芸人は皆、ここで苦戦します。システムチックな漫才がいいのか、毒舌風がいいのか。僕らもネタ番組で手ごたえがなくて、収録後にどんなネタがその日の空気に合っていたのか悩むことはしょっちゅうあります。

ネタって面白さの7割は内容で決まるけど、残り3割は、2人の呼吸だと思うんです。めちゃくちゃ上手い2人がやった時に、お客さんは"芸を見た"ってなるじゃないですか。「センスいいな」「面白いな」は思われるかもしれないけれど、"芸"の域までいくのはなかなか大変ですね。呼吸って音楽なので、そこが上手く奏でられたら強いですよね。

―――コロナ禍で、劇場での温度感の変化は感じましたか?

こういうご時世でなくともお客さんが少ないことはあるので、客席がまばらなこと自体は慣れているんですが、コロナ禍では笑いを抑えたり、マスクで笑い声が小さくなることに違和感を感じましたね。最初は「すべっているのかな」と思いました(笑)。

――Paraviでは『キングオブコント』と『歌ネタ王決定戦』を配信しているのですが、その中でチェックしておく部分はありますか?

『キングオブコント』については話したいことが山ほどあります。とあるネタを見ながら、見せ方が4通りくらいあるな、とか、自分ならこれの後にこれをやっていたなあ、と考えることが楽しくて・・・。僕はいつもそういうことばっかり考えてます。田中さんや佐藤さんとも話していけたらいいですね。

歌ネタは番組の中で披露するのが特に難しいですね。芸人が滑る時って、どういう時かと言うと、"求められることをできてない時"なんです。歌が入ると、そのハードルが上がる。

でも『歌ネタ王決定戦』は、一般的なネタ番組に当てはまらない歌ネタをやってもいいですよ、という場。なので、実はこの番組のおかげで成仏出来たネタもあります。お客さんも歌があるって分かって見てくれるから、そこは価値のある大会だなと感じていますね。

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――最近は、コアなお笑いファンも増えてますよね

これはほかのことにも言えますが、好きならその対象をとことん突き詰めるじゃないですか。お笑いが好きな人は、お笑いのことばっかり考えているからやっぱりコアになってきちゃいますよね。単純に娯楽として楽しんでいる人もいると思いますが、見ているうちに、ただ見るだけじゃ満足出来なくなっちゃう。今回の配信は、そういう人向けにやる予定です。なので、裏を返せば、そんな見方はしたくないという人は、絶対見ないほうがいいですね(笑)。

――とても濃い内容になりそうですね。1時間では足りなさそうです(笑)

僕、NHKで今が旬の野球のキーワードを毎回1つピックアップして掘り下げる約1時間の「球辞苑」という番組の司会をしているのですが、まさにそのお笑い版みたいなところがあります。実際に、お笑いと野球って少し似ているところがあると思いますし。

――野球ですか

例えば、東京と大阪の笑いの違いって、パ・リーグとセ・リーグみたいなところがあるんです。パ・リーグって平均球速が速い傾向にあるんですけど、ここでいう"球が速い"は芸人でいえば突っ込みが強いみたいなことだと僕は勝手に思ってて。めちゃめちゃ突っ込みが強いと、それに合わせてボケも強くなる。関東はどちらかというと優しい突っ込みが多くて。それぞれの文化圏から分析すると・・・ってここで話すといつまでも話せちゃうので、詳しくは配信で(笑)

――お笑いだけでなく演劇などでもオンライン配信が増えましたが、その難しさは感じましたか?

オンラインはDVDを撮っている感覚とあまり変わらなかったですね。実際に生でネタをお届けしていた時も、いくつかの都市はまわりますが、全ての場所に行けるわけではないので、配信は沢山の方に見ていただける機会が増えて良いのではないでしょうか。

――配信を楽しみにしてくださっている方に一言お願いします

お笑いが好きな人は一緒に共感してほしいし、これを見て「お笑いって作れるんだ!」と思ってもらえたら。お笑いって、別に芸人だけしかやっちゃいけないルールはないじゃないですか。小学生でも誰でもできる。実際に僕も、小学生のころにネタを作ったことで認められたりもしました。

これから芸人になりたい方、ネタ作りをしたい方が見ても楽しめる内容です。お笑いネタを作ることは楽しいことなんだ、ということを伝えたいですね。

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◆配信情報
『ナイツ塙のネタ座談会〜今年のネタは今年のうちに〜』
12月26日(土)20:00より動画配信サービス「Paravi」にて配信
【出演者】塙宣之(ナイツ)、田中卓志(アンガールズ)、佐藤哲夫(パンクブーブー)