コンビニチェーン「ココエブリィ」の社長を解任された浅羽(中村倫也)は、樹木(森七菜)の発案でなぜか店舗でバイト(!)をすることになり、店舗の研修と称した温泉旅行へ向かう。旅先で、樹木の告白に浅羽が返答しようとする第6話ラストだったTBS系火曜ドラマ『この恋あたためますか』。その後が気になる第7話が、12月1日に放送された。

浅羽から「君の気持ちには応えられない」と告げられた樹木は、ショックを隠すかのように、謝ろうとする浅羽を遮って「あの...あれは冗談です」と言い、その場を取り繕う。すると、「君の好意に対してどうやって返事をしようか、少なからず頭を悩ませたあの時間を返せ」と淡々と浅羽節で憎まれ口を。自分の告白が本当に伝わっているのかを気にして、それとなく浅羽の反応を探っていた樹木を思うと、「しっかり聞こえていた」にもかかわらず何のリアクションもなかった浅羽が理不尽過ぎて、モノ申したい気持ちにならずにいられない。

走ってその場を立ち去った樹木は、自宅に帰っても意気消沈。浅羽にもらって大喜びしたスノードームを前にして、「分かってたよ、社長の答えなんて、最初から。でもさ、面と向かって言われるとやっぱ...」とテーブルに顔を伏せる樹木の姿が切なくて、泣けてくる。そんな樹木に何も言わず、そっと樹木の背中に身を寄せるスー(古川琴音)の優しさにも、じ~んとさせられる。

一方、自宅に帰った浅羽は、里保(石橋静河)に「お土産は?」と尋ねられ、袋を2つ差し出す。里保が最初にあけた袋は、温泉旅行のお土産。そのお土産を樹木が選んだことを知った時に、里保は一瞬複雑な表情をするも、すぐに笑顔を見せる。里保が、浅羽が行った旅行に樹木がいたことを気にしていたにもかかわらず、何も言えない里保の心情も、なかなかしんどいものだろう。

もう1つの袋は、里保が企画したスイーツが発売されたことへのお祝いのネックレス。ネックレスをつけてくれた浅羽に、「ありがとう!」と抱きつく里保がキュート。そのアツアツっぷりが、浅羽のことを忘れようと決めた樹木の状況とは正反対で、切な過ぎる。そんな冒頭から、第7話は思わぬ方向へ動き出した。

樹木たちと温泉旅行に行った浅羽に嫉妬する新谷(仲野太賀)は、浅羽たちが旅行中に自分が里保と一緒にいたことを伝えて、「心配するでしょ」と浅羽に軽めの先制攻撃。でも、「お前はそういうことする男じゃない」と新谷を信頼する浅羽の真っすぐな言葉に、妙にやりきれない新谷。そんな新谷の様子をさすがに察して、「言いたいことがあるならちゃんと言え。言葉にしてくれなくちゃ分からん」と浅羽が言う。「それ、拓兄(浅羽)にだけは言われたくないわ」と思わずツッコむ新谷に、全視聴者が同感!(...きっと)な1シーンだった。

旅行先で浮かんだ移動コンビニ計画を始動させ、さっそくコンビニカーを走らせる浅羽。新谷も新谷で、頑張っている周囲の仲間に感化され、自分なりのスイーツを作ろうとしていた。それを里保に偶然目撃され、「みんなすごいよなぁ。(中略)俺も、もう逃げないことにした。自分の道をちゃんと見つけたい!」と決意表明。自分のスイーツを作る新谷の顔がキラキラしていて、すがすがしい。初めてスイーツ作りに挑んだ時の樹木の顔も思い出された。

新谷は自分が考案したケーキを樹木に最初に食べてもらうことに。樹木の反応を待つ、新谷のドキドキ感がたまらない! 見た目も味も好感触で、「よかった~」と心から安堵する新谷。そして、樹木に「いつか樹木ちゃんの特別になりたい」と言ったことを、なぜか前言撤回!? 「待ってても、その"いつか"は来ないってわかった。付き合ってほしい、俺と」とストレートに告白する新谷が、実に男前で胸キュン! 「樹木ちゃんのクリスマスまでの期間を俺にください。(中略)その日までに、俺が樹木ちゃんの"特別"になる」と伝え、クリスマスを一緒に過ごすことをお願い。傷心の樹木の心を揺れ動かすには、十分すぎる言葉だ。

新谷のことをスーに報告した樹木に、スーは「ここで考えてても答え出ないよ。だったら前へ進んでみたら?(中略)新谷との恋の始まるきっかけ、今かもしんないよ」とアドバイス。まんざらでもない樹木だった。

休日、上目黒店に立ち寄った樹木は、バックヤードで浅羽と2人きりに。ぎこちない会話を交わすなか、急に店の電気が落ちる。思わずぶつかり、急接近し見つめ合う2人のドキドキな展開に。停電が原因だったが、動揺を隠すかのような樹木のオーバーアクションが、コミカルでかわいらしかった。

ニュースで旅行先だった軽井沢付近が停電になっていることを知り、樹木がコンビニカーを出そうと提案。コンビニカーはボランティアじゃなく、あくまでビジネスだと反論する浅羽だったが、一人準備を進める樹木に心を動かされたのか、浅羽も同行することに。

道中、浅羽の意外な一面が見れたプチハプニングがありつつも住民の避難場所に着いた2人。コンビニカーは受け入れられ、SNSでもバズり始める。大盛況ゆえにコンビニカーの品物が売り切れとなり、客たちが残念がるなか、道の駅の店主がコーヒー豆を差し入れ。ココエブリィの契約商品ではないので...と断ろうとする浅羽をよそに、樹木は独断で、もらったコーヒーを無料で提供することを客たちに伝えた。多くの人たちを喜ばせる樹木や客の喜ぶ顔を見て、浅羽の顔もほころんでいたのが印象的だった。

そんな2人のもとへ、上目黒店から連絡をもらった新谷が、里保とともに商品を携えて浅羽の車で到着。商品の販売も再開し、樹木は新谷の何気ない優しさを目の当たりにして、里保は自分の企画したスイーツを食べて喜ぶ子どもたちの顔を見て、自然と笑顔がこぼれる。

商品を取りに行く途中、停電で星がきれいに見えることに気付いた樹木。そこに浅羽が現れ、「君が正しかったな」とポツリ。働き詰めの樹木にコーヒーを手渡しするも、樹木の手の冷たさに気づき、そっと樹木の手を自分の手で温める。星空の下で2人きり...というロマンチックなシチュエーションも相まって、ドキドキもMAX!なのだが...。

いい雰囲気のなか、浅羽のねぎらいの言葉を遮り「これ返します」と浅羽からもらったスノードームを差し出す樹木。怪訝な顔をして「いらないなら捨てれば」と正論を言う浅羽に、樹木は「捨てるなんて無理。でも持っておくのも無理...」と言葉を振り絞る。その様子を里保は陰から見ていた。

停電が解消され、住民たちが避難場所から帰るなか、樹木は新谷と2人きりに。樹木は、いつも自分のそばにいてくれた新谷に安心し、楽しい気持ちになっていたことを明かし、「(お付き合い)よろしくお願いします」と、浅羽から離したその手を新谷に差し出す。樹木に抱きつき、「世界で一番うれしい!」と喜びを爆発させる新谷。ドラマ序盤の新谷のモヤモヤを思うと拍手喝采のハッピーな展開なのだが、樹木や浅羽の気持ちの変化を思うと、複雑な心境に。

浅羽に自分の気持ちを言えなかった新谷は、今度は浅羽に"ちゃんと"樹木と付き合うことになったと伝える。浅羽は微妙な表情を浮かべるが、すぐに「じゃあ、これで送ってやれ」と自分の車のキーを差し出し、新谷と樹木を2人で帰すことに。2人を正視できず、発車した樹木の乗った車を見つめる浅羽が何とも言えない表情を浮かべていて、胸が締めつけられる。樹木が言った「バイバイ」が、浅羽との関係性を物語っているようにも思えて、切ない。浅羽と里保はコンビニカーで帰路へ着こうとするも、助手席には樹木から返されたスノードームが残されていて...。それを見つけた里保の心情は、計り知れないものが。察しのいい里保は、きっと浅羽の心の変化にも気付いていることだろう。

第7話は、樹木と浅羽の心の変化が際立だった回に。序盤では、樹木の好意に応えられず謝罪しようとしたが、ラストでは新谷と付き合うことを聞き複雑な感情を抱くほどに樹木を意識していた浅羽。一方、樹木は浅羽への想いを断ち切ろうとしながら、新谷の告白に応えることに。樹木への「よく頑張った」という言葉を、浅羽ではなく新谷が言う演出も、浅羽の切なさをより際立たせていた。

何かと2人きりになることが多い運命的な2人だが、今後も恋のミラクルはあるだろうのか!? 浅羽への気持ちが冷めかかっている樹木。ここにきて、「この恋あたためますか」という言葉は、誰から誰への言葉なのだろうと思わずにいられない。

(文・小松加奈/イラスト・まつもとりえこ)

【第8話(12月8日[火]放送)あらすじ】
付き合うこととなった樹木(森七菜)と新谷(仲野太賀)。樹木は照れつつも幸せな時間を過ごしていた。ある日、樹木と新谷は、デート中に浅羽(中村倫也)と里保(石橋静河)に偶然出くわす。浅羽のことを気にしつつ、なんとか会話をやり過ごす樹木。そんなある日、樹木はスイーツの開発担当から外されてしまう。落ち込んだ気持ちを抱えたまま、ココエブリィ上目黒店を訪れると......。

◆番組情報
『この恋あたためますか』
毎週(火)22:00よりTBS系にて放送中
地上波放送後には動画配信サービス「Paravi」でも配信中。
Paraviオリジナルストーリー『その恋もう少しあたためますか』も独占配信中。