コンビニチェーン「ココエブリィ」の社長・浅羽(中村倫也)が突然解任されるという衝撃の展開を迎えたTBS系火曜ドラマ『この恋あたためますか』。第6話が11月24日に放送された。
樹木(森七菜)は会社を去る浅羽を追いかけ、車の窓越しに「好きなの!」と告白。だが浅羽は発車、樹木は追いつかず、茫然と駐車場で立ちすくんでいた。浅羽が去った「ココエブリィ」は神子(山本耕史)が社長代行を務め、浅羽が力を入れていたスイーツの開発も見送られることに。
浅羽が会社を去り、さらにはアップリンの開発も中止になり、仕事に身が入らなくなった樹木。新谷(仲野太賀)も浅羽が(もちろん樹木のことも)心配で、樹木を誘って浅羽の家へ向かう。2人の心配をよそに、自分の時間を満喫、「適当にくつろいでくれ」とぞんざいな浅羽。そんな浅羽の様子に、さすがにイラっとして、樹木も新谷も心の声が漏れていたのが可笑しかった。
「終わったことをあれこれ弁解しても仕方がない。(中略)しばらくゆっくりさせてもらうよ」とどこか他人事の浅羽に、アイドルをクビになった当時の自分を重ねた樹木は、「気持ちってね、動いてないと腐るよ」と一言。そして、自分の古巣である「ココエブリィ」上目黒店で浅羽を働かせることに。さすがにそこは弁解しないと、浅羽!な展開(笑)。
性格上、自業自得ともいえる成り行きで浅羽が振り回されている姿に、思わず笑わずにはいられない。それを面白がっている樹木の久々の笑顔が、実にキュート。立場逆転し、元社長に容赦ない(けど愛もある)上目黒店の面々のブレない感じも楽しい。店舗でバイトしているところを里保に見られて、思わず胸の"研修中"のプレートを隠す浅羽のはじらいが新鮮だった。
社長室に異動になった元スイーツ課課長・一岡(市川実日子)は、浅羽のPCのメールを整理しながら、浅羽が解任される原因となった「ココエブリィ」の売却を実は思いとどまろうとしていたことを知り、それを神子に伝える。だが証拠が足りず、話はやぶの中へ。一岡は浅羽の本意を復帰したスイーツ課の面々に伝え、樹木や里保を安心させた。上目黒店に来た里保は、浅羽がバイトをしていること、それを楽しんでやっている浅羽の変化に驚く。
「驚きと発見の連続で面白いんだよ」と語る浅羽の言葉に、里保は複雑な表情を。浅羽に変化をもたらしたのが、樹木だったからだろう。浅羽自身は里保に心配かけまいとしたのかもしれないが、会社を追われた理由も、店でバイトしていることも、何も知らせてもらえなかった里保が「今度から私に何でも話してね」という言葉が切なかった。
上目黒店の店長(飯塚悟志/東京03)や、バイト仲間のスー(古川琴音)、碓井(一ノ瀬颯)に "研修"と称した温泉旅行に強引に誘われ、しぶしぶ参加させられた浅羽。樹木もスーの計らいで、旅行に同行することに。行きの車中で「うるせーな」とぼやきながら、騒がしい"連中"を見やる浅羽の目が優しい。道中の買い出しでも、新事業のヒントを見つけるなど、団体行動することも含めて、浅羽にとって実りある旅行になっていた。一方、里保は自分が企画したスイーツのテスト販売の反響が上々で誰よりも先に浅羽に伝えたいのだが、浅羽と連絡がつかず...。
新谷は病気の父親に代わって、実家の洋菓子店を手伝うことになり、里保も助っ人に呼んでいた。里保に樹木に頼めばよかったと指摘されるも、「見栄だよ、好きな子にカッコ悪いこと見せたくなかったんだ」と新谷。自分の弱さを見せられない恋心に、共感必至。
一方、里保も「(浅羽)拓実は私に弱いところを見せようとしない」と新谷に明かす。「(浅羽は)言葉が足りない人だから、昔から」と新谷がフォローするも、「本当にそれだけかなぁ」と里保が考えこんでしまう。だからこそ、"研修=樹木もいる温泉旅行"だと分かった時の新谷と里保の気持ちは、計り知れない。
いい意味で「信じられない」と浅羽の変化を受けとめつつも、「樹木ちゃんといる時の拓実は私といる時と、全然違う。心を開いているように見える」と不安がる里保が、「樹木ちゃんって、拓実のこと...どう思ってるんだろう」とポツリとつぶやく。里保や樹木の心情を知っている新谷が何も言えなくて...樹木や浅羽がその場にいずとも、ある意味、修羅場のように見えた。
第6話で際立ったのは、浅羽の変化と本来の魅力。会社を追われたにも関わらず弁解もしないで自宅で一人、優雅にハンモックで趣味の本を読み、仲間との協調性もなく、車でエンヤを聞いている...そんな趣味&性格の浅羽の中にあった人間味が、樹木や上目黒店の面々によって、どんどん引き出されていた。
店舗のレジで無理やり言わされるも、超キラースマイルだった「お弁当あたためますか?」。浴衣姿の男前・浅羽もさることながら、髪が濡れたままの湯上がり姿の樹木を見て、「そのままじゃ、風邪ひくぞ」と言っちゃう優しい一面。花火のろうそくの火をつけるのに、「ちょっと手、貸して」と樹木を呼び、火をつけた後に見せた笑顔や、「火、ちょうだい」と樹木の手持ち花火から自分の花火に火をつける様子も...樹木目線で見ると萌えポイント高し!
露天風呂で店長と碓井に樹木をどう思っているか聞かれ、「しいて言えば、チンアナゴ。見てて飽きない」と言っていた浅羽(まさかのチンアナゴ被り! ※第5話参照)。彼にとって、樹木は自分を無防備にさせる存在なのだろうと思う。「思ってもみなかったな、職場の連中と旅行するなんて」と言った浅羽の言葉を、「"連中"じゃなくて"仲間"っていうんだよ」と改める樹木。孤軍奮闘していた社長時代の浅羽を思うと、本当に"信じられない"展開だ。いつも言葉足らずな浅羽が、自分の夢を熱く雄弁に語る姿も印象的。そうした浅羽の一面を引き出したのも、話を聞いているのも彼女の里保ではなく、樹木で...そんな関係性の2人だからこそ、里保が不安になるのも当然のことだろう。
ドラマの最後では、「君に伝えなきゃいけないことがある。あの日言ったよな、俺に。好きだって」と浅羽がついに樹木の告白に言葉を返そうとする。会社のことは弁解しないのに、そこはちゃんと伝えるんだ!とツッコまずにはいられないが、花火のように寂しさが残るのか、雪のように幸せが舞うのか...樹木のドキドキがMAXなラストからどうなるのか、見逃せない!
(文・小松加奈/イラスト・まつもとりえこ)
【第7話(12月1日[火]放送)あらすじ】 勢いで伝えた「好き」の言葉が、実は浅羽(中村倫也)に聞こえていたことを知り、さらに浅羽から「伝えなきゃいけないことがある」と言われ、動揺する樹木(森七菜)。
そんななか、ココエブリィ上目黒店では、温泉への研修旅行で浅羽が思いついた「コンビニの新しい形」がスタートした。だが、そこで働く浅羽と里保(石橋静河)の姿を後から知った樹木は、気持ちを切り替えようとする。
一方、一向に変わらない樹木との関係を前進させるべく、新谷(仲野太賀)はある決心をする。
◆番組情報
『この恋あたためますか』
毎週(火)22:00よりTBS系にて放送中
地上波放送後には動画配信サービス「Paravi」でも配信中。
Paraviオリジナルストーリー『その恋もう少しあたためますか』も独占配信中。
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