コンビニスイーツ開発の現場を舞台に、恋の四角関係が展開されるTBS系火曜ドラマ『この恋あたためますか』の第5話が、11月17日に放送された。

コンビニチェーン「ココエブリィ」の本社・商品部スイーツ課でスイーツ作りに新たな夢を懸ける樹木(森七菜)は、社長の浅羽(中村倫也)に恋するも、同じスイーツ課の先輩・里保(石橋静河)と浅羽が抱き合っていたところを目撃、元恋人同士であることを知り、浅羽への恋心を断ち切ろうとする。そんななか、樹木は共にスイーツを開発するパティシエの新谷(仲野太賀)に帰り際、突然キスをされて・・・。

新谷にキスされたことを友達の恋愛話と称して、里保と一岡(市川実日子)に明かす樹木(それは樹木自身の話だと勘づく2人)。新谷に彼女がいると勘違いしている樹木が事のあらましを2人に話すと、「ありえない」「ろくでもない」「最低」とブーイングの嵐。さすがに樹木も顔をしかめていた。その話をきっかけに里保の恋愛話となり、元カレ(浅羽)とやり直したいという里保の気持ちを聞いてしまう樹木はカラ元気で2人を応援する言葉を投げかけるが、その心中はかなり複雑だろう。

新谷は樹木にキスのことを謝り、彼女がいることも誤解であることを説明。ここぞと思い告白しようとするも、樹木が呼び出され、ここでもまたタイミングの悪い新谷。キャラがブレない残念な展開に妙な安心感を覚えるのは、あのキスの衝撃のせいかもしれない。

樹木に取材依頼が舞い込み、社長と二人で写真撮影へ。カメラマンから、画角に収めるために距離を縮めるよう指示されるが浅羽を意識してしまいそばに寄れない樹木。その腕を浅羽が引き寄せ、思わず樹木もドキッとしてしまう。戸惑って表情が硬くなる樹木に、浅羽が「もっと笑って」と小声で言う。浅羽への想いがめぐり、「(笑うのは)無理だよ」と言いながらも、意を決したかのように"やけ笑い"する樹木の様子が切なかった。

取材で「甘いものは人を幸せにしますから」と語る、甘いもの嫌いの浅羽。里保は「リップサービス」だというが、「子どもの頃は好きだったんだよ」と新谷が明かす。その様子は何か知っていそう・・・。「誰であれ、クリスマスを一緒に過ごしたいと思う相手がいることは幸せなことです」という浅羽の言葉を聞く、恋する3人それぞれの表情が意味深に見えた。

休憩後のインタビューで、浅羽は樹木のことを「噓がつけない人。(中略)どこまでも真っすぐで、熱があって...。まあ少々、熱すぎる時はあるんですが」と語り、樹木のよさを力説。それを聞いてニンマリする樹木。その言葉がいつものリップサービスだとは思えない里保が、曇った顔を見せる。一方、樹木は自分の夢を聞かれるも・・・「何も言えなかった」と自宅で猛反省。それが後々につながる展開は、想像以上のものだった。

新谷は、口コミで人気のスイーツのリサーチとして樹木を遊園地へ誘い、2人きりでお出かけすることに。不運にもスイーツが買えず撃沈する2人だが、偶然会った「ココエブリィ」の常連・ゆり子(佐野ひなこ)から「よかったら、1つどうぞ」とスイーツをもらい、1つのスイーツをシェアすることに。ゆり子に2人の様子を"デート"と称された新谷の、何とうれしそうなことか! ウキウキで樹木の手を引きアトラクションに誘うも、乗り物慣れしない新谷の"頑張ってる感"が愛らしく、コロコロと表情が変わる様子も楽しい。

水族館では、突然キスしたことを改めて謝罪し「今まで通りじゃ、やなんだ。樹木ちゃんといると、毎日こんなに楽しんだなって。俺、樹木ちゃんに会えてよかった。だから・・・樹木ちゃんの特別になりたい。今すぐじゃなくていい、いつか特別になりたい」と真剣に語り、ほほ笑む新谷。ちゃんと樹木の気持ちが自分に向くまで待とうとする姿勢も含め、かなりの言葉数で丁寧に伝えた新谷らしい告白が、ストレートな樹木や浅羽とは対照的だなと思ってしまった。

一方、里保と浅羽は下町デートへ。何気ない風景が特別なものに見えるぐらい、絵になる2人。恋する里保がとにかくキュートで、デート時の浅羽も男前! 浅羽の手を取り「何も感じない?」という里保を、抱き寄せる浅羽。甘えてる里保の姿は、これまでの展開からすると貴重! クリスマスを一緒に過ごすことを約束し、何で甘いものが嫌いになったのかを聞く里保に、「昔、食べ過ぎて・・・」と話を濁す浅羽。クリスマスケーキを作ろうとしていた里保だが、「嫌いならやめとく」と物分かりのいい対応を。そんな里保の一面も、新谷同様、樹木とは対照的だった。

翌日、樹木はキッチンで思いがけず浅羽と里保が復縁したことを知ってショックを受けるも、帰りがけに社長室に呼び出され、浅羽と一緒にインタビュー原稿のチェックをすることに。樹木にも里保と同じように甘いものが嫌いになったわけを聞かれ、里保の時と同じように「食べ過ぎたから」と答える浅羽。だが、樹木は「それは噓でしょ」と食い下がる。

「好きなものってなかなか嫌いにならないし。ほら、『甘いものは人を幸せにする』でしょ?」と浅羽のインタビューでの受け答えを引用して続ける樹木に、「それは違う。甘いものが人を幸せにするんじゃない。もともと幸せな人が甘いものを食べると、より幸せを感じられる。それだけだ。一人ぼっちのやつが甘いものを食べても、幸せになれない」と浅羽は答え、今まで見せたことのないような厳しい顔を見せる。そして語られる家族の苦い思い出に、胸が締め付けられた。
そして「そのケーキ、私が食べる。全部。丸ごと全部」と、そこでも樹木らしいド直球の言葉がぶつけられ、浅羽のトラウマも受けとめようとする樹木の姿勢にはっとさせられた。

さらに、樹木は「インタビューの時、言えなかったんだけどさ。私は、誰かを幸せにするスイーツをたくさん作りたい。社長の作りたいコンビニを、私も一緒にやりたい。それが社員としての私の仕事で、私の夢です」と誓い、浅羽に開発中のりんごプリンを食べてもらう約束をする。そんな樹木の真っ直ぐな瞳にほだされたのか、「ココエブリィ」の株を買収し、古巣の「エクサゾン」に売却をもくろんでいた浅羽は、「この話、白紙に戻します。(中略)売りません、どこにも」と決意。樹木の"熱"が、浅羽の心を"あたためた"のかもしれない。

だが、そんな浅羽は役員会議で「ココエブリィ」への背信行為を問われ、解任要求を突き付ける。解任が承認、社内で発表され、それを知った樹木はいてもたってもいられず、一人、会社を後にした浅羽を追いかける。約束したりんごプリンを持って・・・。

恋する気持ちを抑え、社員と社長という関係で浅羽のそばにいられるだけでいいと思っていた樹木が、「それすらなくなるの?」と浅羽に問いかける姿が切なすぎる。そして、「行かないでよ」と素直に引き留め、「ねぇ社長、好きなの!」と告白。食べてもらいたかったプリンを落としてしまいながらも浅羽の車を必死に追いかける樹木の姿が、その想いの強さを物語っていた。

第5話は極甘な恋模様から一転、浅羽が会社を去るという激辛な展開に。「丸ごと全部」な姿勢でぶつかる樹木に浅羽の心が動かされていることが改めて分かり、里保が気にするのも、うなずけるというもの。

また、樹木と浅羽、里保と新谷が互いに本音を話せる仲なのも気になるところ。恋愛同盟を結んでいるかのような里保と新谷は、付き合ったら案外いいカップルだよなぁと思いつつも、それぞれの恋路がどうなるのか...。そして、取材時に言えなかった樹木の夢が定まるなど、点在していた物語の断片がまるっと絡まるストーリー展開が、実に見事。

社長の夢を一緒に追いかけようとしていた樹木の夢はもちろん、樹木の"熱"が浅羽との恋もあたためるのか、期待が高まる。第6話の予告では、なぜかコンビニ店員姿の浅羽が・・・!? 次回もお見逃しなく!

(文・小松加奈/イラスト・まつもとりえこ)

【第6話(11月24日[火]放送)あらすじ】
ココエブリィ本社では、浅羽(中村倫也)を背信行為として退陣させた神子(山本耕史)が社長代行に就任し、徐々に旧体制に戻ろうとしている。
スイーツ課では、樹木(森七菜)は心ここにあらずの様子。里保(石橋静河)がプロジェクトリーダーを務めるりんごのプリン=アップリンの開発も中止になり、次の企画へ方針転換が言い渡されその対応に追われていた。
見かねた新谷(仲野太賀)は、樹木を誘い浅羽の自宅へと押しかけるとそこには・・・。

◆番組情報
『この恋あたためますか』
毎週(火)22:00よりTBS系にて放送中
地上波放送後には動画配信サービス「Paravi」でも配信中。
Paraviオリジナルストーリー『その恋もう少しあたためますか』も独占配信中。