山里亮太の短編小説を原作とし、主演・山里亮太役を仲野太賀が演じるテレビ東京の『あのコの夢を見たんです。』第7話が、11月13日に放送された。今回のタイトルは「リトルスクールウォーズ」で、ヒロインは大友花恋。

しかし、「リトル」とはつくものの、いわゆる熱血"スクールウォーズ"感はゼロ。あくまで小さくみみっちく卑怯に繰り広げられる戦いが、そこにはあった。しかも、今回は山里×ヒロインという構図ではなく、集まっては悪口を言って盛り上がる山里(この回では「山迫」)と仲間たちの男子4人組、通称「闇4」が主役である。

このメンバーがまた、ステレオタイプな「闇」タイプでないところが、なかなか面白い。ヨーロッパ企画・本多力は安定感抜群だが、「人見知り」は朝ドラ『ひよっこ』にも出演していた俳優で、バンド2で歌手活動もしている古舘佑太郎(父は古舘伊知郎)。さらに、落合モトキは映画『桐島、部活やめるってよ』の"一軍・帰宅部男子"だ。そんな彼らが、物置倉庫の片隅に集まり、双眼鏡で"リア充"たちの様子をのぞき見ては悪口を言いまくる姿は、むしろいわゆる"リア充"よりずっと楽しそうだ。

そして、「闇4」に分け隔てなく接してくれる唯一の女子が、今回のヒロインで、クラスメイトの大友である。4人に対して出席番号(ちゃんと覚えているところがポイント!)と名前の呼び捨てをし、「ま~た悪口言ってたでしょ?」と呆れ顔を見せては、「3年2組は40人! みんながいて成り立ってるの!」と健全な説教をする。その健やかさ、いかにも「サッカー部マネージャー」である。

これに対し、「なに、あの勝手にヒロイン感。めちゃめちゃムカつくんですけど~~!」(山迫)などと「闇」的リアクションをとる彼らは、大友がマネージャーを務める「愛しのサッカー部」を陥れ、初戦敗退に導くという作戦を敢行。

例えば、サッカー部でイケメン・運動神経抜群・成績優秀な「1軍」の性格の良さを逆に利用して、「1軍が君のこと、好きだって」という噂を様々な女子に吹き込み、告白させ、断らざるを得ない苦行による罪悪感でメンタルがボロボロになるのを見るという卑怯極まりない作戦を。
また、サッカー場近くでドリアンを割り、うちわであおいで悪臭をまき散らす作戦。
グランドで埴輪を発掘させ、考古学者もやってきて練習ができない状態にさせる作戦など・・・。

どこからその発想が出るんだろうと思うほど、みみっちく卑怯な"リア充"への呪い作戦の数々は、まるで森見登美彦の「四畳半神話大系」のようでもある。そういえば森見登美彦がヨーロッパ企画の代表・上田誠とコラボした『四畳半サマータイムマシンブルース』が今年刊行され、話題になっているが、そこで本多力とつながってくるのか・・・。

しかし、大友に間接的に嫌がらせをしていたはずの彼らは、結局、全員が全員、ちゃっかり個人的に大友との友情を温めていたことが判明。可愛い子のためには、友情だって裏切る。それこそが青春! 清々しく卑怯で愛おしい友情が主役の異色回だった。

(文・田幸和歌子/イラスト・まつもとりえこ)

【第8話(11月20日[金]放送)あらすじ】
才色兼備で部下からの人望も厚く、どんな仕事も完璧にこなす白石(白石聖)。すべてが順調に行き過ぎて、人生がつまらなく感じていた。そんなある日、白石は常に誰かへ嫉妬して、言葉を吐き出しながらノートにペンを走らせる庶務八課の山里(仲野太賀)を目撃する。他人への嫉妬を燃料に自分を奮い立たせる山里の生き方に感銘し、白石は山里へ弟子入りを志願する。そして山里と白石の不思議な師弟関係と嫉妬訓練の日々が始まる・・・。

◆番組情報
ドラマ24 第60弾特別企画『あのコの夢を見たんです。』
毎週金曜深夜0:12よりテレビ東京系にて放送中。
(※テレビ大阪のみ、翌週月曜深夜0時12分から放送)
地上波放送後には動画配信サービス「Paravi(パラビ)」でも配信中。