「母親だって仕事で羽ばたきたいし、恋もするでしょ」

さてさて、いよいよそれぞれの恋がジェットコースター並みの盛り上がりを見せてきた『恋する母たち』(毎週金曜22:00からTBS系で放送中)である。4話における、杏(木村佳乃)、優子(吉田羊)、まり(仲里依紗)の恋に勝手に名前を付けるとすれば、それぞれ「純粋」、「暴走」、そして「声の恋」といったところだろうか。

合間に「息子にとって最初の女は母親」という名言も飛び出す、奔放な母たちによる恋の現状報告会が開かれたりもする。一方で、親が隠しているつもりでもそれなりに子供たちはしっかり見ていることがよくわかる「息子会」も開催。森田望智演じるのり子や瀧内公美演じる由香といった恋敵たちも強烈だった。

離婚という形で筋を通し、結ばれた杏と斉木(小泉孝太郎)の恋は、他の2組の恋模様と比べて、あまりにも純粋すぎてこちらが恥ずかしくなるほどだ。おやつは「甘い方としょっぱい方」両方準備する「ハンサムすぎる」斉木や、ハイになったり嫉妬したりで忙しい杏と、息子を差し置いて高校生のような恋をしている。

恋に燃え上がっている赤坂(磯村勇斗)に対し、「私たちは今性欲に支配されているわ」とあくまで平静を装う優子。とはいえ、その仕草一つ一つから伝わってくるのは、優子の、赤坂の若さを恐れ、夫や息子への罪悪感に慄きつつも、抑えきれない赤坂への感情である。

まりは、やはり丸太郎(阿部サダヲ)の声に惚れている。落語の独演会における丸太郎の声に惹かれ、その声はやがて、電話越しになんでも相談できる彼女の精神的支柱となった。そして孤独に過ごすはずだった旅館で聞こえてきたまさかの「声」(丸太郎による落語)に吸い寄せられるように、彼女は自ら丸太郎の元に駆けつけてしまう。夫婦水入らずの温泉旅行は一転、妻を置いていく夫・繁樹(玉置玲央)の酷さも相まって、丸太郎との禁断の不倫旅行へと転じてしまった。

そして、3話の直接対決において完全に敗北したかと思いきや、服毒自殺を仄めかして繁樹の気を引こうとする、相変わらずのしぶとさを見せる繁樹の浮気相手・のり子。さらに、いきなり杏の元に押しかけ、「亭主と駆け落ちした女の元ダンと傷なめ合って生きていくって、だっさいけど、なんか、人生よね」という迫力の台詞を笑顔でぶつける、斉木の元妻で、杏の元夫・慎吾(渋川清彦)と駆け落ちした由香。お金を置いて「サッパリした」と去っていく彼女には爽快感すらあった。

瀧内公美と言えば、キネマ旬報ベスト・テン主演女優賞を受賞した映画『火口のふたり』(2019年)だけでなく、『凪のお暇』(2017年、TBS系)におけるマウンティング女子・足立役がとてもリアルで魅力的だった。また、のり子役を演じる森田望智も、『全裸監督』(Netflix)だけでなく、『一億円のさようなら』(NHK BSプレミアム、NHK BS4K)等のドラマで見せる多彩な表情から目が離せない、注目の女優である。

不倫ドラマにヒール役は必須だ。華やかなヒロインたちをより引き立てるダークな魅力は、実力だけでなく大胆さも兼ね備えた彼女たちだからこそ。

『恋する母たち』の魅力は、主役たちだけでなく、渋川清彦や玉置玲央といった色気のあるダメ夫たち、奥平大兼、宮世琉弥、藤原大祐ら繊細で美しい息子たち、そして、恋敵の瀧内、森田といった、サブキャラクターたちの絶妙な配役にも秘密があるのである。

(文・藤原奈緒/イラスト・月野くみ)

【第5話(11月20日[金]放送)あらすじ】
赤坂(磯村勇斗)との密会を夫のシゲオ(矢作兼)に見られた優子(吉田羊)。ついにシゲオから「限界だ」と言われてしまう。さらに故郷の与論島でフリースクールを立ち上げようと準備をしていて、息子の大介(奥平大兼)も連れていくと告げられる。大介も麻蔵学園高校を退学し、シゲオについて行くつもりでいた。仲良く引っ越しの相談をする2人を前に、優子は居場所がなかった。しかし、疎外感を感じていたところに思わぬ声がかかる。
一方、杏(木村佳乃)は息子の研(藤原大祐)のことで頭を悩ませていた。研は、斉木(小泉孝太郎)が自分の父親の駆け落ち相手の元夫であることを知り、ナーバスになって未だ家に帰ってこない。多感な年頃の研を心配した杏は、しばらく会うのをやめようと斉木に伝える。しかし、会えなくても、杏の好物を買い家の玄関先にそっと差し入れしてくれる斉木のさり気ない優しさに喜び、会えなくても心は通じ合っていると思われた2人だったが・・・。
その頃、まり(仲里依紗)は、温泉旅館で丸太郎(阿部サダヲ)と一晩を過ごし帰宅。先に帰っていた夫の繁樹(玉置玲央)から、浮気相手ののり子(森田望智)のことを謝られ複雑な心境だった。その繁樹が、辣腕弁護士の特集でテレビの密着取材を受けることに。まりは張り切って準備しようとするが、息子の繁秋(宮世琉弥)のことで意見がぶつかってしまう。子どもの気持ちなど考えず、見栄を張ることしか頭にない繁樹に、まりは一層不信感を募らせる。
夫と息子が与論島へ行き、一人で東京に残ることになった優子は、コジカフーズの社長から千葉支店への異動を打診される。千葉支店の営業部で成果をあげて本社に戻れば、出世コースだ。シゲオとの一件依頼、優子のことが気がかりな赤坂だが...。そんな中、優子は赤坂の元彼女の有馬(結城モエ)から、呼び出される。
数日後、すっかり仲良くなった杏と優子とまり。喫茶店でいつものように女子会が開かれていたが、優子の口から飛び出した結婚時の衝撃的な告白に2人は驚愕する。

◆放送情報
金曜ドラマ『恋する母たち』
毎週金曜22:00よりTBS系で放送中。
地上波放送後に動画配信サービス「Paravi」でも配信。
さらに、Paraviオリジナルストーリー「恋する男たち」も配信中。