山里亮太の短編小説を原作とし、主演・山里亮太役を仲野太賀が演じるテレビ東京の『あのコの夢を見たんです。』第6話が、11月6日に放送された。山里が実在する女優やアイドルを題材に、さまざまな妄想を繰り広げるオムニバスで、今回のヒロインは山本舞香だ。
ここまでで最もベタともいえる「妄想」ストーリーの相手は、可愛い顔と華奢な身体で、鬼のように強い「天才空手美少女」だ。しかも、「交際」をかけた長い長い戦いである(冒頭では「999日目」[=約2年9カ月]と出ていたほど)。
高校生の山里は「青春なんてバカバカしい」と言い、クラスメート、教師などに、片っ端から毒づいていく(※全て心の中だけ)。この設定、ホントに好きね・・・と思うが、そんなひねくれ陰キャ男子が、すれ違う美少女の笑顔に目がくらみ、思わず「好きです! 僕と付き合ってください!」と言ってしまうのだから、ベタだけど、やっぱりワクワクせずにはいられない。
しかも、この突拍子もない告白に、山本舞香は爽やかに軽く「いいよ。ただし、私に勝ったらね」というのだ。勝負方法は、どんな手段を使っても良いから舞香の髪に結んだ赤いハンカチを奪うこと。簡単そうに見えて、ものすごく厳しい戦いだということも、長期戦になることも、まるでラムちゃんの頭の角をつかんだら勝ちという、高橋留美子の「うる星やつら」のような展開である。
最初は自分から1ミリも舞香に触ることが出来ないほどの惨敗っぷり。なかなか勝ち目がないのも当たり前。舞香は空手のチャンピオンなのだ。実際、山本舞香自身が空手の黒帯だそうで、その身体能力の高さが見事に発揮されていた。
正面から挑んでもなかなか勝ち目がない山里は、カポエラをやってみたり、「カバディで挑めば良かった」と悔やんだりする。そんな中、土手での戦いで風が吹いてきて、一瞬スカートの裾がめくれそうになったり・・・という展開も、お約束だ。
毎日、放課後に2人きりで「戦い」を続ける山里と舞香。なんなら永遠にこの戦いが終わらないでほしい、なんて思う人もいるだろう。ちょっと痛いけど。
しかし、思いきり蹴りを入れられ、殴られ、それでもあきらめない山里は、次第に強くなっていく。筋トレ、シャドーボクシング、ランニング・・・着々と鍛えられてきていることが、走りのフォームの変化によってよくわかる。もちろんBGMは"ロッキー風のテーマ"だ。
そんなある日、天才空手美少女と有名アスリートの熱愛記事がネットに出る。失意の山里。さらに、いじめっこで乱暴者の鬼瓦(関口メンディー)も交際をかけた戦いに乱入。そして山里はついに・・・。
どこまでも限りなくベタが盛り込まれた第6話。このマンガのようなベタな物語を、リアルに実写化できてしまう山本舞香という素材は、すごい。ちなみに、顔面で正面からパンチを受けに行っても可哀想に見えず、きっちり笑える「鬼瓦」のメンディーの安定感は、ちょっと反則的だ。
(文・田幸和歌子/イラスト・まつもとりえこ)
【第7話(11月13日[金]放送)あらすじ】
集まっては人の悪口を言って盛り上がる山迫(仲野太賀)率いる男子4人組、通称「闇4」。そんな彼らにいつも分け隔てなく接してくるクラスメイトの大友(大友花恋)。サッカー部のマネージャーで仲間思いの大友は、まさにクラスのヒロインそのものだった。そんな大友が気に入らない「闇4」は、一泡吹かせるために、サッカー部へ嫌がらせを行う。しかし、そんな「闇4」にも優しく接する大友に4人は次第に惹かれていく。
◆番組情報
ドラマ24 第60弾特別企画『あのコの夢を見たんです。』
毎週金曜深夜0:12よりテレビ東京系にて放送中。
(※テレビ大阪のみ、翌週月曜深夜0時12分から放送)
地上波放送後には動画配信サービス「Paravi(パラビ)」でも配信中。
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